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「意識調査・支援サービス研究」の成果を共有、TA-netシンポジウム|レポート

15.04/14

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NPO法人シアター・アクセシビリティ・ネットワーク(TA-net)は3月28日、シンポジウム「より良い観劇システム構築のために今できること」を森下スタジオ(東京都江東区)で行った。TA-netが2014年度の事業として行ってきた「意識調査/支援サービス研究」の成果を共有し今後に繋げるべく、様々な立場の方々が一堂に会し、ともに考える場となった。(編集部:芳山徹)

<登壇者(写真左から)>
・TA-net理事長 廣川麻子氏
・全日本ろうあ連盟 教育・文化委員会 委員長 小出真一郎氏
・全日本難聴者・中途失聴者団体連合会 理事長 新谷友良氏 
・東京都歴史文化財団 東京芸術劇場 人材育成担当係長 橋爪綾子氏

 

情報保障そのものの理解促進が急務

当日配布資料より一部抜粋

当日配布資料より一部抜粋

TA-netが1年間かけて行ってきた意識調査アンケートの結果によると、聴覚障害者・30代の9割が、観劇への興味があるが「思い通りに楽しめないと思うから」「予約・購入の仕方がわからないから」という理由で、ほとんどの人が観劇していない(0~1回が全体<約400人>の7割)という。また、全国の劇場・劇団への調査(2000箇所に送付、回答169件)では、7割が「情報保障」(※)という言葉そのものを知らず、鑑賞サポートの実施内容のほとんどが「車椅子スペース・多目的トイレ・エレベータ設置」に留まっているという結果が発表された。情報保障そのものの理解促進が急務であることが、改めて浮き彫りとなった。

※【情報保障とは】人間の「知る権利」を保障するもの。劇場には「字幕表示」「音声ガイダンス」「台本貸出」「事前の舞台説明会」など、それぞれの障害に合わせた支援サービスが期待されている。

 

技術の進歩はすべてを解決するか?

新谷さん(全日本難聴者・中途失聴者団体連合会)は、「生まれつき音のない聾者と、中途失聴者では求めるものが違っていて、若干でも音を聴くことが出来る人にとって『音声情報の可聴化』はとても大きなニーズがあります。ちょっとでも聴こえるということが、本当に嬉しいんです」と、当事者としての実感を語った。その上で、「音声情報の可聴化・可視化のどちらも、技術進歩でかなりの部分の解決は出来るんです」という。では、技術の進歩で万事解決!となるのだろうか。

例えば音声情報の可視化には、現在では大きく分けると「タブレット機器での表示」と「スクリーン投影」の二つがある。当然、視線を大きく動かさずに済む「スクリーン投影」の方が理想的だ。では、日本語で上演される“通常の演劇公演”において、スクリーン設置へのハードルは何か。アーティストにとっては演出面への影響が非常に大きく、健常者にとっては鑑賞上の“邪魔なもの”と映る可能性が高いだろう。

新谷友良さん

「エアコンが現代では当たり前のものであるように、『舞台上の字幕表示の設置』も当然のことと認識されるようになることが大事なのですが、その過程ではどうしても『ニーズのコンフリクト(衝突・葛藤)』は避けられません。相手の事を理解し、譲るべきは譲るという姿勢が、今後より一層大事になってくると思います」(画像:新谷さん)。

「アーティストをもっと巻き込んでいくことが必要」

シンポジウム後半のディスカッションでは、廣川さんから「東京芸術劇場で行われている字幕機の貸出に、演出家の方々から抵抗感はありますか?」という質問が投げかけられた。

橋爪綾子さん

「今のところネガティブなものはなく、その必要性を説明すればちゃんと理解してもらえています。大きな問題点はやはりコスト面とスケジュール面。台本のあがりが本番直前!というようなこともあるので…」と、橋爪さん(東京芸術劇場)。「とはいえ、さらにスクリーン設置も、ということになると、やっぱり話は別だろうと思います。そういう意味でも、今後はアーティストをもっと巻き込んで議論していかないといけないと感じました」と語った。


当日配布された、「演劇実験室◎万有引力『身毒丸』観劇サポートアンケート」(1/29~2/1@世田谷パブリックシアター)の回答結果では、ロビーでの「手話による事前説明」、「触れる舞台模型」などに関して、来場者から「開場前の雰囲気が暖かく感じました」というコメントもあった。支援サービスを促進するためのヒントがここにあるのかもしれない、そんなことも感じました。

【合わせて読みたい!】
◇【レポート】「視覚障害のお客様の観劇に関するニーズについてお話を聞く会」
◇【レポート】芸劇「視覚障害者のための舞台説明会」
◇【レポート】シアター・アクセシビリティ・ネットワークの取り組みについて


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