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芸劇「視覚障害者のための舞台説明会」

14.10/17

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東京芸術劇場は10月8日、主催公演『小指の思い出』の開場前に、目の不自由なお客様を対象とした「視覚障害者のための舞台説明会」を開催した。どのように進行し、参加者はどのように感じたのか。その模様をレポートする。(編集部:芳山徹)


【視覚障害者のための舞台説明会】
□対象公演:『小指の思い出』(9/29~10/13開催、作:野田秀樹 演出:藤田貴大)
□日時:2014年10月8日(水) 17:45~18:20
□会場:東京芸術劇場プレイハウス

「視覚障害者のための舞台説明会」は、目の不自由なお客様を対象に、上演の直前に劇場や舞台装置、物語や登場人物について解説するという、同劇場の主催・共催公演を中心に行われている情報保障の支援サービスの一つ(もう一つは「聴覚障害者のためのポータブル字幕機の貸出サービス」-こちら後述にて)。平成21年度の野田秀樹芸術監督就任記念プログラム第3弾『ザ・ダイバー』日本バージョンよりサービスを開始し、今年度は4回(この日が1回目)の実施を予定している。尚、昨年度は9回行われたという。

「あの音は、何の音?」

今回の参加者は6人(介添人、晴眼者の見学は除く)。『小指の思い出』制作担当の藤野和美さん(株式会社オフィス・REN代表)から、まずは劇場ロビーにて、以下の内容の説明が行われた。
・劇場全体の案内
・あらすじの紹介(プログラムより)
・キャスト/配役の紹介
・音響面や舞台上で表示されるものの説明

キャスト/配役の紹介では、身長やスタイルや容姿などの情報に、参加者が前のめりな反応を示していたことが印象的だった。また、そのような視覚面での情報のみならず
・役者がピンマイクをつけていること
・音楽の生演奏が舞台奥で行われること
・役者が出す音の説明(ハンマーで叩く強い音、ホースを振り回して奏でられる不思議な音)
など「舞台上で鳴らされる音が、どのようなものか」についても多くの説明がなされた。

ロビーでの説明後は、全員で舞台上に移動し、まずは床(べニア)を触ってみる、ということから説明が再開された。その後、
・舞台の幅、奥行きを実際に歩いて体感
・袖幕を吊ってないので、舞台袖が客席から丸見えという演出面の説明
・舞台美術の説明(触ってみながら)
・高さのあるイントレの説明(「ここに役者が上ります」という補足も)
などが舞台上で行われ、参加者は、ウォーミングアップ中の役者もいる、実際に芝居が行われる空間を体感した。

全体を通して、藤野さんの説明にはプロフェッショナルなホスピタリティと、温かみのあるユーモアに溢れていて、終了後に「これまでにも経験があるのですか?」と伺ったところ「いいえ、初めてです。目の不自由な方が観劇するにあたって、どのような情報が有意義だろうか、ということをひたすら考えました」とのこと。また「本当は、キャスト(役者)に触れる、ってこともやろうと思ったのですが、時間が足りずに残念でした。それと、女性の参加者が多いと事前に聞いていたので、だれだれがイケメンで、って説明もしてみたのですが、喜んでもらえて良かったです。やっぱり気になりますよね!」と笑顔で語ってくれた。

説明会参加者からは、終演後に「難解な物語だったので、事前に説明を聞いておいてよかった」「“何をたたいて”出している音なのかなど、事前に説明があったためイメージしやすかった」「観劇の良いきっかけになった」といった感想が寄せられたという。

「聴覚障害者のためのポータブル字幕機の貸出サービス」も

また同日の公演では、同じく情報保障の支援サービスとして、「聴覚障害者のためのポータブル字幕機の貸出サービス」も行われた。上演台本の全文に会場アナウンスを加えたものが、手持ち型のタブレット機器に表示されたという。この日の貸出台数は4台。利用者の中には、NPO法人シアター・アクセシビリティ・ネットワーク(TA-net)理事長の廣川麻子さんの姿もあった。後日、メールで感想を伺ったので抜粋して紹介したい。

「言葉遊びのセリフが多かったので、複数の読み方ができる漢字や、難解な読み方はルビをつけたほうがいいと思いました。今回は出演者が多く、一人二役などもあり、どの出演者がどの役柄を演じているのかが分かりにくく感じたので、配役対応表のようなものがあると良かったかも。音楽に関しても、単純に(音楽♪)だけでなく、どのような音楽なのか、イメージしやすい説明があれば、とも感じました。いずれにしても、野田さんの世界観を、藤田さんという注目の若手演出家の手で表現した公演を、ポータブル字幕という方法で体験できたことはとても嬉しいことでした。」

同劇場の次回の「視覚障害者のための舞台説明会」及び「聴覚障害者のためのポータブル字幕機サービス」は、『ポリグラフ―嘘発見器―』10月25日(土)19時30分開演の回に行われる。申込締切は実施日の前日まで(但し定員に達し次第締切)。

◎関連サイト◎
障害をお持ちの方への福祉サービス対象公演|東京芸術劇場


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