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劇団制作社樺澤良の!!!!! 「制作王子、ニューヨークへ行く~米国☆留学記~」 “制作王子”こと劇団制作社・樺澤良による、ニューヨーク“制作”留学日記。 Vol.4 I.C.P.P ファイナル・プロジェクト草稿

11.12/13

ICPPの授業を主に行っている
ウェスリヤン大学内の建物
(建物名:Allbritton)

ウェスリヤン大学のあるミドルタウンのメインストリート

皆さん、立て続けにこんにちわっ!! 連続投稿です!! ちょっと長くそうですが重要なお話ですっ

今日の一言:ホテルの部屋を出る時にチップを置き忘れた時は翌日に倍額置くべきかしらっ!?(これに関するご意見はこちらからっ:
info@seisakusya.jp または twitter ID @kt_ekimae )

本日は7月に3週間弱参加したI.C.P.Pの再開日。ファイナル・プロジェクトという3月に最終的にプレゼンする自由課題のための説明から始まりました。結局、このファイナル・プロジェクトの出来次第ですべてが決定すると言っても過言ではないのですが、これが本当に大変。これから3月までのプロジェクトのために自分がやってきた経過と調査をまとめ、1人30分のオーラル・プレゼンテーションをしなければならないのです。まじかっ!!って思ってます。 で、それにあたり、このI.C.P.Pのメイン講師のクリスティー・エドモンド氏が説明をしてくれます。

<内容>
1.これからの3日間は自分が考えているプロジェクトについての草稿をブラッシュアップしていく期間であるという事。
2.私達は今後、自分の課題を進めていくにあたり、アドバイザーを見つけて相談をしながらやっていかなくてはならないとの事。
3.そしてそのアドバイザーはあくまでアドバイザーであるため、頼りきりにならずに自らが主導となってやっていかなければならないという事。

つまり、企画立案は自らが行うが、実行していくにあたっては協力者を見つけて意見を求めながらやっていかなければならないという事ですね。この協力者を見つけるというのが私の場合は結構重要なポイントになってきそうです。

そしてこのファイナル・プレゼンテーションの各自の草稿を今一度、確認していくのですが、皆の話を抜粋して紹介します。

  • アフリカ系アメリカ人として黒人ダンスのルーツを探りたい。そして公民権運動や平等化運動についてパフォーマンスで表現するツアーを立ち上げ、様々な地域でのネットワークを形成したい。ツアーというのは埋もれた才能の再発見にもつながる重要な機会である。ツアーはそうした影響力を持っている。そして再発見されてからまた埋もれていく事についてどう考えるか。(アメリカ)
  • 照明を使用したパフォーマンスの実施。アーティストがいないながらもやる無人パフォーマンス。空間と観客との対話を求めたい。(アメリカ)
    ※この件に関しては多田淳之介さんの事例があり、私も観劇した事を伝えました。
  • 日常生活から離れて観客が特別な空間にいるかのようなものに興味があって、その作り方のひとつとして時間とアーティストの関係を探る事をしようと思っている。時計という概念を無くして、感覚によって時間が進んでいくイベントを作りたい。(フランス)
  • 演劇という分野が観客にとって認識が遅れている地域、ポートランド(オレゴン州)。その地域に現代演劇を紹介し、伝統的なリアリズムと現代演劇の接点を作り上げたい。アメリカでもアートとしての演劇の普及性は低いという自己認識がある。(アメリカ)
  • デジタルパネルを使用したイベントを作りたい。作品がどのような構成をされているのかをそれを使用した形で伝達していく。ワシントンでも行われたのだが新しい劇場の形として実際に紹介されている。(アメリカ)
  • 演劇製作会社で働いているが、そこに関わっている人は同じ場所に住んでいて農場を経営している。そして自分達の農場は演劇のスペースとして使用が可能であると思っている。また、東ヨーロッパやロシアのアーティストとコラボする事があるのだが、それらの外から関わってくるアーティスト達と会社をうまく一体化させていきたい。(イギリス)
  • 他分野との共存プロジェクトを行いたい。ロックンロールフェスティバルの中に映画祭とテクノロジーなどの同時会合を実施してそこにパフォーマンスを持ってきたい。メディア会合5日間、映画祭5日間、テクノロジー5日間などに別れている中での共存の可能性を探る。(アメリカ)
  • ケネディーセンターはストリートアートの集大成のようなものを作り上げていて、そのフェスをすべて無料化にしたい。また、伝統的な行事をフェスの中に取り入れたくて、結果それが伝統とコンテンポラリーのコラボとなる事になれば理想。サウンドスーツという音を出すスーツを使ってパフォーマンスをするアーティストなどの紹介。(アメリカ)
  • 近代都市の研究者と建築家とソーシャルワークをしている人達とアーティスト達の交流。住むべき空間、住める空間の問題を都市計画の面からディスカッションしていき、突き詰めていきたい。(カナダ)
  • はいっ!! 総勢で17名いるのですが次々と色々なアイデアが出ています。これが面白くて仕方がありません。そんな中、私の草稿もここに紹介しておきます。

    今年でSeptember 11から10年を迎えたアメリカの舞台芸術界はこれまでの10年間、社会に対して何をしてきたか。それをリサーチした上で、3.11が起こった日本は今後の10年をどう過ごしていくべきか、アメリカと日本を対比させた上で答えを探り出したい。

    震災によって日本の国の予算は復興のためにまわさなければならず、文化にまわっていく事が難しいのではないかと考えている。また、ヨーロッパのように文化予算が2,000億、4,000億に増える事は今後200年無いのは確定してしまったと思う。そのため、私達は新しいプランを考えなければならない。私はその代替案として日本にまだ根付いていないドネーションの事を学ぶ必要があると思っている。ただし、ここで問題なのは日本にはまだ寄付の習慣がない。その問題をどう解決していくか。

    私はまだ大きなものは動かせないのでまずは小さな一歩を踏み出したい。ただし小さな一歩と言ってもそれは当たり前のアイデアではなく、革新的な一歩でなければならない。実現性は低いかもしれないが、日本では寄付の習慣がないのならば現在、その制度が動いているところからわずかでも流してこれないものか。悪くとらないで欲しいのだけれどもアメリカには日本の事を友好的に思っている方も多くいると当然思っている。文化予算は800億円ながらも文化に対しての寄付は20兆円(※文化芸術以外も含む)あるアメリカの資金をわずかでもよいから持ってこれないだろうか。

    具体的な受け皿としては創造発信型の民間劇場を作りたい。100席~150席程度の劇場を運営する時に年間必要な資金(※ここでの表記は総維持費をはぶきます。)は当然ながら5ポケットくらいに分ける考え方が必要だと思っている。内訳として劇場利用料収入、自主事業でのチケット収入、支援会員制度収入、テナント収入、助成金収入が主であるが私はそこに日本にはまだない寄付による収入を組み入れる事が大きな一歩であると考えている。それはたったひとつの成果かもしれないが、寄付制度をメインに導入する民間の小さな劇場の出現は日本にとって大きな一歩であるのは間違いがない。タイトルをつけるならば「日本復興のためのアートポイントの形成」というものになる。6ポケットにして年間維持費を割り振ってみると現実味も出て来る。今、東京都でも日本国内で寄付を回せないかと画策している流れもあるが、今、日本に必要なのは復興への意思と、何よりも倒れない仕組みである。

    はぁ…と、こんな感じの事を。このプロジェクトの具体的な行動と経過をまとめて来年の3月に発表しなければならないのです、しかも口頭でっ!! 私はやっていけるのでしょうか? 蕁麻疹が出てきますね。

    つづく

    参考URL
    ICPP:
    http://www.wesleyan.edu/cfa/icpp/index.html

    東京型アーツカウンシルhttp://www.seikatubunka.metro.tokyo.jp/bunka/
    hyougikai/10kai/230126siryou6.pdf



    ■樺澤 良(かばさわ・りょう)■
    劇団制作社 代表。 1979年、東京都板橋区出身。(株)メジャーリーグにてプロデューサー・笹部博司氏に師事。2005年、制作者のみで構成される「劇団制作社」を 旗揚げし、小劇場演劇界の制作受託を中心に活動を展開。過去の主な制作受託に「庭劇団ペニノ」「劇団鹿殺し」「フェスティバル/トー キョー」「鳥肌実全国時局講演会」「劇団、江本純子」「パルコ劇場」「東京芸術劇場(『芸劇eyes』、『TACT/FESTIVAL』、『チェーホフ?!』)」などがある。その他にも、東京都初所有の舞台芸術のための稽古場施設「水天宮ピット」の運営制度の設計や、「481engine」「CoRichチケット!」といった票券管理システムの開発協力にも携わる。現在、バナナ学園純情乙女組の制作統括として従事。2011年、「Asian Cultural Council」 の助成を受けてニューヨークへ留学。最近出来た趣味は釣り。

    劇団制作社:http://seisakusya.jp

    Asian Cultural Council:http://asianculturalcouncil.org/japan/


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