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インタビューシリーズ:TALK 〜植松侑子さん〜

15.09/02

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限られた世界のようでいて、実はさまざまな職種・活動が存在する舞台業界。そこに関わる多様な人々にスポットをあて、お話を伺います。(取材:永滝陽子、構成・文:芳山徹)

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「大学院生・制作者・NPO理事長の、三足のわらじを履いています」
フリーランス制作者・Explat理事長 植松侑子(うえまつ ゆうこ)さん

「こんなに使えるツールがいっぱいあったんだ!」。今年の春から、神戸大学の修士課程(国際協力研究科 政治・地域研究プログラム)に在籍。政治学という学問に、舞台芸術と社会を繋げるための“武器”を見出し始めている。計4年間在籍したフェスティバル/トーキョー(F/T)での制作業務、ソウルでの留学経験から、「社会や文化を自分の言葉で表現するための、べースとなるものが自分には足りない」ことを痛感。たどり着いたのが、政治学という“思考のフレーム”だった。

愛媛出身。大学進学で上京し、舞踊教育学コースに在籍する中で、制作という職業を知った。自分が観たい、つくりたい作品を、アーティストでなくてもつくれる。「これだ!」と思い、卒業後はダンスカンパニー付きの制作者に。しかし、情熱と時間を限りなく提供する日々に疲弊し、1年ちょっとでリタイア。「仕事も生活も、何もかもがゼロになってしまった」。社会に放り出されてみて、制作者以外の選択肢がまるでない自分に気が付いた。

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社会研修のつもりで飛び込んだ営業職では、自分でも驚くほどの営業成績を残し、貯金を元手に2年間の海外放浪生活(北中南米・アジア)を送った。だが、インドの「最期を迎えた人を人間らしく看取る」ボランティア施設で、厳しい現実に直面する。「国の政治が何とかしなければ。自分たちがやっていることは対処療法でしかない」。それと同時に、「自分はここでは、いち外国人でしかない」という無力感から、「自分がコミットすべき場所は日本」と強く思うようになった。

2008年の帰国後は、F/Tの立ち上げスタッフに参加。いろんな人たちの力を借りながら作品を実現していくことは、やりがいがあって楽しかった。しかし、パブリックなフェスティバルであることをどう考えるべきか戸惑うことも。その後のソウル留学中にも、「自分には『考えるためのフレーム』が足りない、専門的に学び直す期間が必要」だと痛感した。

現在は、大学院生、フリーランス制作者、NPO法人Explat(※)理事長という“三足のわらじを履く”多忙な日々だが、その先に、新しい未来を見据えている。

「いろいろ辛い国に行ったからこそ、みんなが生きやすい社会を実現したいという想いが根本にあって、舞台芸術もExplatも政治学も、そのために活用できるシステムの一つだと思っているんです」。

※NPO法人「Exprat」(エクスプラット):アートマネジメントの人材育成と労働環境整備を目指す中間支援団体。今年6月設立。
公式サイト: http://www.explat.org/

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1981年生まれ、愛媛県出身。

ヒマラヤ山脈をトレッキングしたとき、現地のガイドに「お前は山羊か」って言われました。歩くのがはやかったみたいです(笑)

【あわせて読みたい!】
◇ 「Explat」設立記念イベントレポ―ト
◇ 植松侑子の「来なきゃ分からないことだらけ from ソウル」(連載コラム/2012年5月~12月掲載)


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