制作ニュース
スイッチ総研のモットーは「大人げないことを、大人のやりかたで」だという。本番直前、連夜の敢行となったリハーサルでの光瀬さん(総合演出を担当)の“駄目出し”に、総研なりの「大人のやり方」が垣間見えたように思う。
☑ お客さんが腑(ふ)に落ちて、気持ちよく終われないとダメ。
☑ スイッチを押したすぐ後の、お客さんの視線が何処にあるかを考えて!
☑ お客さんにまどろっこしい思いをさせたら負け。
☑ お客さんとの距離は、普段の演技のときより一歩遠目に!(圧力を感じさせないように)
☑(いわゆる良い演技とは逆で)相手の反応は無視してOK!反応を見てしまうと、お客さんが「何か言わないといけない?」と感じてしまう。お客さんがリラックスして、安全な場所に立ち続けられるように!
お客さんとの“観る‐観れらる”関係が、心地よいもののまま完結できるように、演者は最大限の配慮を尽くす。光瀬さんはそのことを、「何の気まずさも不便さも感じさせず、お客さんを舞台上にあげて、お客さんと演者との二人芝居を貫徹し、まったく傷つけることなく舞台を降りてもらうということ」とも説明する。「その数十秒間は、演者である私が全責任を負います」という姿勢を、俳優たちに強く求めていた。
リハーサルで何より驚いたのは、光瀬さんの2、3回の駄目出しで、瞬時に“舞台”が立ち上がってくることだ。「演劇をつくる」ことを、こんなにも凝縮して、最短距離で行い得るのか。あるスイッチのリハーサルは、駄目出し無しの1発で終了。演目と配役した俳優が、見事にはまった瞬間だった。光瀬さんは「こういう瞬間が一番しあわせ!」と大いにはしゃいでいる。集まった俳優も贅沢なメンバーがそろい、“演劇の力”をまざまざと見せつけられた。
さて、「六本木アートナイトスイッチ」の実施場所/区分は5つ 。六本木商店街でのスイッチに関しては、フェスティバル事務局を通じて商店街の代表者から候補をあげてもらい、事務局やプランナーと共に挨拶に伺ったという。実現に至った12店舗は、飲食店、金物屋店、写真店のほか、パジャマ屋さん、スマホショップ、アマンド、ドンキホーテなど非常にバリエーションに富んでいる。最初に挨拶に行った際には「六本木アートナイト?あーあれか、まあ色々あるみたいねえ」という、フェスティバルに対する距離感を感じさせる反応も多かったという。
(立原金物店)
そこから、「うちの店のスイッチは面白くしてよ!〇×店のは面白かったけど、△×屋のはつまんないって、お客さんに言われたらやだからさ!」と言われるまでに店主との距離を縮め、本番直前までそれぞれのスイッチを練り上げていった。
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