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新長田で考える、ダンスをめぐる現場から(身体ごと投げだすかのように)/横堀ふみ vol.10

14.08/05

神戸の新長田に拠点(小劇場ArtTheater dB神戸とstudio dB KOBE)を構え、おもにコンテンポラリーダンスのプログラムを企画制作する「NPO法人DANCE BOX」の
横堀ふみさんの連載コラム!

再び、遅れての更新となり申し訳ありません。
5月にアップしてからこれまでの期間、ベトナムのハノイからは青年劇場やハノイ映画演劇大学から総勢15名の方々が来られて1ヶ月弱にわたってダンスボックスに滞在制作されたり、「国内ダンス留学@神戸 三期」が始まったりと、めまぐるしく様々なことが起こった日々でした。今日はこの二つの異なったパターンのアーティスト等滞在型のプログラムを経験した(している)ことを通して考えたことを書いてみたいと思います。

まずは、6月上旬の約2週間、ハノイの青年劇場で年間を通して、ダンサーや役者として所属している5名の方々がいらっしゃって、ヤザキタケシさん(ダンス)、いいむろなおきさん(パントマイム)、ごまのはえさん(演劇)を講師にむかえ、地元のアーティストも参加する「エクスチェンジ・ワークショップ」を行いました。
そもそもこの企画は、国際交流基金が主催するASEAN諸国向け文化協力事業のひとつである「ベトナム舞台芸術関係者中期招聘プログラム(VPAM)」として、青年劇場やハノイ映画演劇大学から総勢15名の方々が3月23日に来日し、7月までの約4ヶ月間首都圏を中心に研修を行いながら日本の舞台芸術関係者との交流を図るものとして行われました。

ダンスボックスでは、関西でのプログラムをコーディネートし、時期を2度にわけて実施しました。第一段の6月上旬の約2週間のプログラムは上述の通り。青年劇場の実演家とdB周辺で活動する実演家とがワークショップを通して交流する場をつくることを目指しました。

神戸でのゆったりとしたペースに慣れて来た頃、青年劇場の5名は一旦東京に戻り、私たちは第二弾の受け入れ準備に取りかかりました。次はフルメンバー総勢15名が滞在し、京都・松山・鳥取の西日本ツアーの後、作品制作に取り組み、最終成果上演を発表するという盛りだくさんなプログラムです。
6月23日に演出、テクニカル(照明/音響)、舞台美術、プロデューサー等を加えたフルメンバー15名が神戸入りし、怒濤の西日本ツアーを終えて作品制作にとりかかったのが6月30日。成果上演は7月7日。団体での滞在制作の受け入れは始めてでしたが、非常に興味深いことが見えて来ました。

新長田(近辺)には在日ベトナム人の大きなコミュニティがあります。これまでベトナムからのアーティストが滞在したことがありますが、人の数が違うと地域へのインパクトが明らかに違うことを痛感。晩ご飯やパーティーは近くのベトナム料理のレストランへ。(←、)そうすると地元のベトナム人の方たちとの対話が始まります。そして、日本語⇄ベトナム語の通訳を探すとき、やはり地元のベトナム人のネットワークからお願いすることになりました。このようにして、小さな繋がりが、つまり点と点で知っていたようなことが、じょじょに線になっていくプロセスを経ることになりました。新長田における新たな地図が立ち上がっていくような時間でした。最後の成果上演には、客席の1/4強が在日ベトナム人の方々でした。青年劇場/ハノイ映画演劇大学の皆さんの真摯さに加えて、15名という人数であったからこそ、浮かび上がってくることがあったのだと思います。

そして、先月7月24日「国内ダンス留学@神戸」三期が始動しました。このプログラムは、約8ヶ月間にわたって、おもにコンテンポラリーダンスに携わるアーティストや制作者を育成することを目指しています。このプログラムは、教育機関のようなものではありますが、アーティスト・イン・レジデンスのようなものでもあります。三期生は9名中7名が新長田に拠点を移し、生活と創作の拠点が新長田になる日々を過ごし始めました。7月24日の入学式で大切にしていることは新長田での挨拶廻り。これまで留学の卒業生がお世話になってきた方々、これからお世話になるであろう方々にご挨拶しながら、約2時間かけて廻りました。新長田に生活の拠点を移して来た留学生たちが、安心してこの街で暮らせるように、セイフティ・ネットとなることも目指しています。

地域の方々にとって「国内ダンス留学@神戸」はじょじょに定着してきた感を感じています。ショーイング公演や成果上演では、多い時は客席の1/3を地域の方が来てくれることも。いつも、ちょっと気にしてくれている感があって、8ヶ月という長期に渡ること、新長田に住むという覚悟できていること、時には子どもの成長を見守るような眼差しも混ざりながら、様々な要素から新たな関係のつくり方が生まれています。ざくっとした言い方ではありますが、新たなパトロンのあり方、つまり表現に携わる人々を支えるあり方を、この「国内ダンス留学@神戸」を通して追求できるのではないかと思っています。

身体ごと投げ出すように、まずはやってみることを第一の信条に、出会いから出会いへ、プロセスからプロセスを重ねながら取り組んでいる中、また新たな展開が生まれ始めています。「神戸ビエンナーレ」ならぬ「勝手に新長田ビエンナーレ!?」の実施にむけて、作戦会議が始まりました。次号へつなげていきたいと思います。



写真:倉科直弘

■横堀 ふみ(よこぼり・ふみ)■
NPO法人 DANCE BOX プログラム・ディレクター/制作
平成18年度文化庁新進芸術家国内研修制度研修員。平成20年度ACC(Asia Cultural Council)のグラントを得て、約6ヶ月間にわたり、アジア6カ国とNYにおいて舞台芸術の実態調査を実施。おもにアジア間におけるネットワークの構築を目指し、レジデンス・スペースや劇場、フェスティバルのディレクターらとの交流促進を行っている。


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