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学校は「演劇ワークショップ」をどう活用するのか?世田谷パブリックシアターの事例から

14.08/05

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「世田谷パブリックシアターを学校の授業で活用しませんか?」世田谷区立の小中学校の先生に向けて世田谷パブリックシアターが作成したパンフレットのキャッチコピーだ。世田谷パブリックシアターでは、区立の小中学校で子どもたちと演劇ワークショップを行う活動『かなりゴキゲンなワークショップ巡回団』を2003年から展開している。5月24日には、劇場がどのように活動し現場の先生がどうワークショップを活用しているのかを伝える『現場の先生による先生のための活動報告会』が開催された。全国の公共ホールでは近年さまざまな演劇ワークショップが開催されているが、学校という場所で「演劇ワークショップ」はどう捉えられているのか。『かなりゴキゲンなワークショップ巡回団』の活動とあわせて紹介したい。(編集部:永滝陽子)


かなりゴキゲンなワークショップ巡回団
『現場の先生による先生のための活動報告会』

■日時:2014年5月24日(土)14:00~16:00
■会場:世田谷文化生活情報センター セミナールーム


「オーダーメイド形式」のプログラム

『現場の先生による先生のための活動報告会』は、先生同士の横の繋がりや、情報共有の手助けになればとの思いから開催された。実際に教師から劇場へワークショップを依頼するにあたり、どのようなことを希望し、活動を経てどのような感想を持ったのかを、2013年度にワークショップを活用したクラス担任の教師が自身の体験を語り、当日は区内小学校、特別支援学校など7名の先生方が集まった。

今年で11年目となる『かなりゴキゲンなワークショップ巡回団(以下、巡回団)』は、1997年の開館以来、積極的に演劇ワークショップ事業を展開してきた同劇場が、劇場に来ることができる子どもたちだけでなく、それ以外のより多くの子どもたちが演劇を体験することのできる機会を提供するため、年間を通して行っている活動である。

現場の先生からの要望を「オーダーメイド」形式でプログラムに反映させることを特徴とし、劇場担当者と「進行役」と呼ばれるファシリテーターが学校に出向いて活動を行う。2013年度は区立の小中学校、適応指導教室、特別支援学校など計31校、246回におよぶワークショップが実施され、のべ8532人の子どもたちが参加した。

報告会に登壇したのは、小学校1年生のクラスで昨年度ワークショップを活用した井戸川美枝子先生(世田谷区立中里小学校)。世田谷区が区立の小中学校教員を対象に実施する世田谷区教科「日本語」(※)の研修で、世田谷パブリックシアターが担当したワークショップに参加したことをきっかけに同活動へ興味を持ったという。一人一人は力を持っているのに、クラスという「集団」でははずかしさや失敗への不安感から思うように表現できない子どもが多いことを感じた井戸川先生は、「演劇ワークショップを活用することで、一人ではできない『誰かとのかかわり』を子どもたちが学べるのではないか」と、みんなで繋がって一つのことをすることの大切さを体感してほしいとの思いから、劇場にワークショップを依頼したという。
(※注:世田谷区は平成16年、内閣府による「世田谷『日本語』教育特区」認定を受け、平成19年度より当該教科を実施)

教師が悩む、授業への活用方法

井戸川先生から連絡を受けた劇場スタッフと進行役は、数回にわたって相談を重ね、教科の中でどのようにプログラムを実施するかを検討した。2学期は生活科の学習での「あさがおの観察」を通して、あさがおの成長に関する気づきを表現するためのワークショップを計8回、3学期は教科「日本語」の学習で絵本を使って物語を身体や道具で表現していくワークショップを計8回実施(報告会ではそれぞれの発表会の様子を鑑賞した)。どちらのワークショップも、進行役はプログラムの指針となる部分は持ちながらも、子どもたち自身から出てくる発想をそのまま発表方法に取り入れた。最初は戸惑っていた子どもたちも、次第に自由度を増し生き生きと思い切った身体表現ができるように。「ワークショップを活用して一番良かったのは、みんなで何かをすることへの土台ができ、それが『成功体験』として子どもたちの自信に繋がったこと」と語った井戸川先生。

しかし当初はワークショップを授業にどう活用できるのか悩みも多かったという。「演劇ワークショップなんだから、なんでも『劇化』しなければいけないと思い込んでいた。どの教科でそれが可能なのか、イメージが湧かずとても悩んだ」。教員側からすれば、一年間の学習計画はすでに決まっている状況で、ワークショップのようなイレギュラーな活動をどう授業に取りいれていくのか、またそれによってどのような効果的な学習ができるのか見通しが立たなければ、活用に踏み切ることは難しい。時間数に縛りのある中で、うまく発想を転換させ柔軟に考えることが教員側にも求められており、それは各教師の適性にまかせられているのが現状だ。

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