制作ニュース

小室明子の「北国の劇場から」Vol.1

13.02/02

北海道札幌市にある劇場「コンカリーニョ」の演劇プログラムディレクター、小室明子さんのコラムが新しくスタートしました!札幌の演劇事情をお伝えしていきます。第一回目は、シアターZOOとコンカリーニョを中心に1ヶ月に渡り休みなく上演を行う「札幌演劇シーズン」についてなどをご紹介!今回から連載を担当させていただきます、NPO法人コンカリーニョの小室と申します。札幌と北海道の演劇の状況について、お伝えしていきたいと思います。どうぞよろしくお願いいたします。
早速ですが、コンカリーニョについて。
現在の劇場「生活支援型文化施設コンカリーニョ」がオープンしたのは2006年5月。場所は札幌駅からJRで2駅、快速だと1駅の「琴似」(住所は八軒ですが)地域にあります完全なる民設民営の劇場です。私自身は、2007年4月より勤務し、現在まで演劇公演の企画制作、広報などを担当しております。

これが外観。
これが通常の舞台です。

パフォーマンススペースは13.6m×17.3m×高さ7m。席数は通常で173席、舞台の作り方によっては250人までの集客が可能です。客席も可動式(人力による)なので、囲み舞台なんかも可能です。照明バトンも昇降しませんし、あまり便利ではありませんが、その分、自由に使える劇場です。演劇、ダンス、音楽公演のほか、お笑いライブ、フォーラム、プロレスなど様々にご利用いただいています。主催企画も、舞台芸術公演から夏まつり、もちつき大会まで幅広く展開しています。


2012年6月 intro「ことほぐ」の一場面
撮影:原田直樹(n:foto)
2012年9月 yhs「つづく、」の舞台美術

近頃の札幌の劇団の集客数(300~400が大半でしょうか。多いところでも1,000人くらいです)から考えると、コンカリーニョの利用はなかなかハードルが高く、稼働率も伸び悩んでいましたが、ここ2年くらい、新たな利用プランや育成企画により少しずつ持ち直してきました。この辺りのことはまた改めて紹介するとして、今回は、現在札幌で開催中の「札幌演劇シーズン」についてです。

「札幌演劇シーズン」は、欧米のような劇場文化を札幌にも、と冬(1月中旬~)、夏(7月中旬~)の年2回、シアターZOOとコンカリーニョの2つの劇場を中心に1ヶ月に渡り休みなく上演を行うもので、2012年1月より始まりました。

札幌演劇シーズンホームページ http://s-e-season.com/

札幌で生まれた名作を再演、ロングラン上演し、札幌市民、北海道民に演劇の魅力を実感してもらうとともに、それを担う演劇人の雇用を創出していく、というのが将来の目的です。
詳細は→「演劇創造都市札幌プロジェクト」

この企画の札幌らしいところを挙げるとするならば、民間のパブリックな創造団体(北海道演劇財団、コンカリーニョ)が中心を担ってる、ということでしょうか。2012-夏シーズンからは札幌市も参画する実行委員会主催となりました。市からの補助、協力企業の力添えもあり、一劇団、一劇場の企画では不可能な大規模な広報を打てているおかげで、「演劇を初めて観ました」というお客様が本当に多くいらっしゃいます。その他、旅行ついでに来ましたという方、十数年ぶりに劇場に来ましたという方なども。3回目となった現在開催中の2013-冬シーズンでは、(まだこちら4日目を終えたばかりですが)前2回のシーズンが面白かったから、と観劇の理由を挙げてくれた方も目立ちます。本当に少しずつですが、観客層が広がってきていると感じています。

広報の一例。1日8万人が通行する札幌駅前通地下歩行空間のパネル。隣のウェディングにインパクトでは完全に負けていますが、ここで情報を知ったという方が非常に多いです。12月だけで5,000部のチラシがはけました。

上記の演劇創造都市札幌プロジェクトの呼びかけ人会議なども末席で参加しておりますが、札幌の経済界の方々が、札幌くらいの都市には100人の演劇人が食べていけるくらいの懐の深さが必要だ、と考えているのだと言葉の端々から感じます。札幌の演劇に風が吹いて来ている、と言うのはあまりに楽観的なのかもしれませんが、今までにない感触があるのは事実です。このままいけば本当に100人くらいの演劇人が食べていけるようになるんじゃないか、というこの感覚を錯覚にしないようにしなければ。

冬は雪祭り時期、夏は涼しく過ごしやすい季節に行われている「札幌演劇シーズン」。皆様もぜひ一度。

撮影:原田直樹(n:foto)
現在コンカリーニョで上演中の、劇団イナダ組「ライナス」(~2/11まで)

■小室 明子(こむろ・あきこ)■
1974年生まれ。札幌市出身。コンカリーニョ演劇プログラムディレクター。大学在学中に演劇と出会う。大学卒業後、タウン誌の編集者などを経て2001年に上京。東京ではフリーライター・エディターとして生計を立てつつ演劇の世界もうろうろ。2006年、fringe主催の「PmP2006」に参加したのをきっかけに、2007年4月に札幌へ戻り、以来、NPO法人コンカリーニョに勤務。札幌演劇の活性化、演劇人の実力の向上を願い、他地域の劇団などとの交流企画や演劇祭、在札劇団の道外公演のプロデュースなどを行っている。


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