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チラシ折り込みに関する公聴会

10.10/16

10月6日、先に行われた「チラシ折り込みに関する公聴会」にて聴取した内容についてNext社内にてディスカッションを行ないました。 【出席者】
郡山 藤原 桜井 川口 鈴木(結) 吉澤 伊藤(英) 松田
黒尾 高橋 前田 宗村 鎌田 斉木 久我 伊藤(彩)

※公聴会の中で最も印象に残る言葉に、「折り込みチラシ配布は第一に観客へのサービスとして捉えるべき」というものがあったのを受け、
ディスカッションのテーマを主に「観客の立場で考えたとき、最適なチラシ折り込みとは?」というものとした。
また、「受付枠の制限をNext主導で設定すべきか?」「今後主催者セレクト方式を制式採用すべきか?」も合わせて討議した。

【桜井】
チラシ束の厚み、訴求力を常に一定にすべきではないか。
最大でも40~50点までで収まるような受付枠の制限はあってしかるべき。
テレビCMや雑誌の広告枠と同じことではないか。
観客の意向を第一に考えれば主催者セレクト方式も理解できるし賛成だが、
選抜方法は主催者主導でも、受付枠の数はNextで決めていいと思う。

【久我】
劇場の人と劇団の人で考え方が違うなと思った。
自分はチラシが好き。だからどんなに分厚くても必ず持って帰る。むしろたくさんあるほうが楽しい。
だけど受付枠の制限はあったほうがいいと思った。主催者セレクトにも賛成。
チラシを作る側、折り込む側の意識が変わると思うから。
ただ、観客からするとそれが選ばれたものかどうか気付かないけど。

【郡山】
公聴会の後に野村さんから、チラシ束にインデックスのようなものがあればどうか、という提案があった。

【伊藤(彩)】
自分は観客としてチラシ束を受け取った場合、必要なものとそうでないものを仕分けする(必要なものだけ持って帰る)。
ただ、折り込む側の立場で考えると、受付枠から溢れた時のチラシの在庫には困る。
小さなカンパニーにとって3000とかという単位が折りこめないとなると大問題。
主催者セレクトはクオリティが重視されると思うと自分だったら自信がないからエントリーできない。
クオリティを上げらないところは落ち続けるのかな?そうなるとどうなるのかな?と思う。

【鎌田】
リトルウイングの青山さん(印刷業)が話していた「チラシデザインの閉鎖性」が興味深かった。
リンクをHPに張るだけでもいいので、Nextでデザイナーを発掘して、紹介するような事業を始めてはどうか?
受付枠の制限には賛成。お客さんが劇場でチラシを捨ててるのを見ると胸が痛む。

【前田】
Nextで受付枠の制約をかけてしまっていいのではないか。雑誌の枠と同じ。
ただ、情報公開日から受付開始までに期間を設けて、折り込み先をじっくり検討してもらえたらどうか。
折り込み束は観劇している公演と親和性の高いものが望ましいと思うが、
その判断は折り込む側が行なえばいいのではないか。
主催者セレクトは排他的な印象があるので反対。

【伊藤(英)】
リトルウイングの青山さんの意見が興味深く思った。
確かに誰に向けて発信されたものなのかわからないと感じるチラシをよく見かける。
一般のお客さんから見るとワークショップやオーディションの情報はそれ程必要としていない。公演のチラシ以外はあまり入っていて欲しくない。
チラシ束が分厚いのは嫌い。サイズもできればA4より小さいものがいい。
主催者セレクトに関しては、数量が限定されて公演のものだけ入れるというのはお客さんには親切だなと思う。

(オーディション情報など公演以外のチラシに関して)
【川口】
オーディション情報やワークショップは関係物として入ることが多いのではないか?

【伊藤(英)】
小劇場公演で入っていることが多い気がする。

【郡山】
折り込む側がターゲット設定を明確にしていないというならどうかと思うが、果たしてそうなのか?

【伊藤(英)】
確かに小劇場の観劇層の中には自分自身が演劇をやっている人もかなり多いとは思う。
ただお客さんとしての自分の感覚では、あまりいい気持ちがしない。
身内客の多さを強く感じさせられるからかも。

【川口】
観客がどの程度不快に感じるのかは人それぞれではないだろうか。
作る側と観る側が地続きにあるのが演劇というものであると思う。

【郡山】
主催者の判断に委ねればいいのではないか。
実際に「公演チラシのみ」という規定を設けられるわけだし。

【宗村】
実はチラシ束の厚みってあまり関係ないのではないか?
ある程度の量を超えたら(20枚ぐらい?)、もう、見る人は見るし、見ない人は見ない気がする。
すべての公演が受付枠に制限を設けるのは違和感を感じる。
主催者セレクトは有効な方法だと思うが、むしろ先着順限定が増えることの方が問題だと思う。
Nextが作成する束がどの公演に行っても同じもの(均質化)になってしまうのではないか?
均質化されることはクオリティを下げることではないか?
Nextのチラシ束のターゲットは誰なのだろうか?
ヘビーユーザーなのか?観劇ビギナーなのか?
そこが決まらないといつまでも答えが見つからないのではないか?

【郡山】
チラシ“束”自体にはヘビーユーザー向けもビギナー向けもないと思う。
受け取る観客の中には当然コアな演劇ファンもビギナーもどちらもいるわけだから。
折り込まれているチラシそれぞれが誰に向いているかってことでしょう?
もちろん、公演ごとにセグメントされているわけだから、それぞれの客層には傾向はあるけれど。
ある人は、「自分がチラシ折り込みをする目的は『数%のコアな演劇ファンに情報を確実に届けること』なので、
予算内で治まってさえいれば、多くのチラシが破棄されていたとしても特に疑問を感じない」と話していました。
折り込む側が目的をはっきりと持っていればそれでいいんじゃないだろうか。

【宗村】
自分の印象では今のNextの(折り込み先)ラインナップはテレビを見て好きな役者が出てるなどで観劇に向かう人が多くいる公演が多いように思う。
主催者セレクト方式は次に見る公演の選択肢を狭めてしまうのではないか?
少しでもいろいろなチラシを見せられる環境を維持していくことが大事ではないかと思っている。

【郡山】
タレント目的の人には、仮チラでも有名人の名前が記載されているチラシの方がヒットするでしょう。
つまり、カンパニーや出演者等の知名度の低いところこそ戦略を立てなければならないでしょう。
野田地図のセレクト方式の場合は、必ずしも知名度を重視するものではなかったのだから、どんなカンパニーにも可能性はあった訳で。
だから逆にそういう意味では観客の選択肢を広げていたと思うけど。

【斉木】
無制限に何でも受け付けるというものは他にないので、セレクトするのは当然だろうと思ったし、むしろそうしないことが不思議だった。
バーター関係の公平性の問題は入社してから知ってなるほどと思った。
一般客のときは感覚としてチラシ束はすべて関係物なんだろうと漠然と思っていた。
そもそもチラシ束がどんなものなのか知らない人は多いのではないか。

【郡山】
観客として、チラシをまったくもらわなかったとしたらどう思う?

【斉木】
歌舞伎ではもらわないけど特に何も思わない。なかったらなかったで別にいい。

【郡山】
公聴会では「チラシ束はお客さんへのサービスのひとつ」という声も挙がったが、実際お客さんにとってはどれぐらい欲しいものなのかどうか?

【斉木】
観に行く公演に関係あるものは欲しい。
関係ないものは積極的に欲しいわけではない。
関連性があれば仮チラシでも価値を感じる。

【松田】
イキウメの吉田さんのように「公聴会に来て考え方が変わった」という人がいたので有意義だった。
ただし、パネリストがアゴラ劇場の野村さんだったこともあってか、実際の参加者が劇場の方に偏っていたように感じる。
主催者セレクトは反対だった。折り込みして価値があるのかないのかは申し込み側が判断すべきことだと思っていたから。
でも、公聴会を経て、手放しで賛成とはなっていないが、選択肢の一つとしてあってもいいのではないかと思うようになった。
ただし、オペレーション上の負荷や、落選するカンパニーのことを考えるとせいぜい月に1公演で実施するのが限界だと思う。
折り込むこと自体が目的になってしまわなければいいなと思う。
厚さはビックコミックまでの厚さはセーフ。少年ジャンプはアウト。
はがきサイズなど変形サイズはあると楽しいが折り込むと(束から)落ちやすくなる問題もあるのでその対策も考えないと。
観劇ビギナーにとってこそチラシ束は貴重なものではないのか。
自分にとっては劇場の帰り道でに友人と次に観に行く作品を決められるのは貴重だった。
チラシは他のメディアが出てもなくならないのではないか。
Nextは突然の部数減など細かい対応ができる。
厚み云々よりも自分たちはみなさんから預かったチラシを観客に届けているんだ、という想いを大事にしないといけないと思う。

【郡山】
厚さだけでなく重さで表示するとわかりやすくなるかな?
厚さと重さはまた違うのではないか。
厚さ(量は)開演前の訴求力の問題。重さは持ち帰りの問題。

【鈴木】
外部の人の意見を聞けていい機会だった。
ゲストに制作会社の人を入れるとよかったのではないか。
主催者セレクトについては賛成。今はあまりにも情報が入り乱れてる。情報を整理すべき。
申し込み対応の状況を整えるのが先決だが・・・。
『ポテチ』のチラシなど制作さんのチャレンジが感じられるものに対してもっと対応してあげられたらいいなと思う。
あと、あったらいいなと思うサービスは、家に翌月の公演のチラシが前月頭にまとめて届くと嬉しいなと思った。

【川口】
それはユーザーとしては幾らぐらいまで出せる?

【鈴木】
ユーザー側は無料がいい。

【黒尾】
チラシ束は観客のものだと公聴会で認識をあらたにした。
主催者セレクト方式には賛成。親和性の高いものが入っていたほうが、より次の観劇につながる。
団体数限定はNextが決めずに主催者が決めるのがいい。
個人としてはチラシ束の厚みは気にしない。
自分で必要なものと置いて帰るものをセレクトする。
仮チラシは裏紙で重宝している。

【吉澤】
制作者側と観客側で考え方は異なるし、何が正解だと言えるものでもないので、
Nextとしては選択肢をたくさん用意しておくことが大事なのではないか。
個人的にはチラシ束は厚い方がいい。ただ、これも人によって異なるので、Nextとしてはチラシ回収ボックスを早く作るべき。
これも選択肢を増やすということ。

主催者セレクト方式は賛成。お客さんの立場で、好きな公演の主催者が選んでるチラシなんだと思えれば嬉しい。
ただし、セレクト基準の明記は必要。
受付枠の制限に関してはこれまで通り主催者判断でいいと思う。

スケジュール発行から申し込みまでに時間差を設けるのは(現在はスケジュール発行と同時に受付開始)、
ある制作会社さんから、「上司に確認を取る時間が欲しい」という意見も聞いているので、前向きに検討していきたい。

【高橋】
束が厚みは気にならない。
競争をどこに設定するかということがあり、折り込む際に競争するべきなのだろうか?
本来は情報を届けた後にお客さんがどの公演を見るかが競争のはじまりなのではないか。
そこまで届かないものを作っていいのだろうか?というジレンマがある。
自分でセレクトしたい。

チラシについて前向きに話す場として公聴会はよかった。
でも回を重ねるなら、皆で、どうしようといい続けても仕様がないので、もう一段階踏み出したものが出来るといいなと思う。
チラシはあくまでも宣伝ツールのひとつなのでそれだけを取り上げても答えは見えてこない。
公演によってWebなど他のツールとどう組み合わせて宣伝すればよいのかという場になるといいのではないか。
主催者セレクト方式は賛成。選択肢の多様化のひとつとして。

制限をしないところもあるといい。
野田さんの理由が面白いことが賛成の理由。
目的として大きい団体と若手の団体が出会うきっかけになるというのがいい。
チラシ束を作ることも公演の一部で劇団のカラーという考え方が好感。
お客さんの為にというところで厚みを考えても好みなので答えが出ない。
主催者が決めるのがいい。
藤原
———————–
吉澤さんと同じに束が厚くて訴求力の低下を問題にしてきたが
値上げの影響の方が大きいと思われるが
今は状況が変わってきている。
限定に関してはお客さんにとってどういう束がいいかというのは
バラバラの価値観で、Nextで決めるのではなく
主催者判断がいいと思う。
Nextで何を守りたいかというとできるだけ主催者によっての多様性を
残しておくこと。

セレクトによって漏れたら在庫になるという伊藤彩ちゃんの考えは
セレクトだからではなく限定かけたらすべてこうなるのではないか。
全団体で限定がかかることは避けるべきだとも思う。
Nextはチラシの折り込み代行だけでなく、いくつもの宣伝方法を
同時に持って、チラシ折り込みの利点を説くなりしないと
厚みや訴求力の問題に答えは出ない。
アプリなどに力を入れて分散させていくべきだと考えている。

セレクトは理念や公平性としてはありだと思っている。
意見としてチラシ見ないで判断されるのが嫌というものがあったが
でもチラシ見てからでは遅いし、セレクトの趣旨からチラシ見て
判断するのではなくプレスリリースでの判断。
ということは、これまでのチラシ折り込みと同列に考えるのではなく
別のサービスとして捉えるべき。

セレクトをNextの公式サービスとして続けていくのはきついぞと思ってる。
残業時間でデスクだけで他の案件も重なったが
100時間ぐらい費やしてる。

(高橋)
次回、セレクト方式をやるなら前回までの方法では駄目で、やるならイチから
考え直して方法を見つけないとできない。

(藤原)
セレクトをするとしたらチラシが出来るかなり前の段階で、セレクトを済まして
おいて、申し込みをしてもらうやり方でないとNextの収益性も含めてキツすぎる。
他のことより優先してやるべき事業かも含めて検討しないといけない。
郡山
———————–
感触は社内公聴会はとても充実した。
公聴会も参加者と折り込みについて考えられたことが
嬉しかった。
矢作さんの「お客さん第一」という考え方が目から鱗だったし
それを発想点の軸にしたい。
個人的にはチラシに魅力を感じる自分がいた。
折り込みサービスは頭打ちかもしれないが
チラシの可能性を追求したい。
Nextの業務とは別かもしれないが
Nextの意義として大きいことだと
思うので
チラシの別の使い方であったり
チラシカフェやチラシアプリに可能性を見出したい。
それによりまた折り込みについても考えたい。

その他(チラシに関して)
————————-
(郡山)
演劇ファンになるような人は、チラシを残しておきたいと思う性質の人がかなりいるのではないか。
一般と違って特殊な形だがそういう人が居るから、Nextのような会社を生み
ただ情報としてのチラシという捉え方ではない、文化としてチラシを発展させたのではないか?

(高橋)
チラシが好きだからそういう文化になったのではなくて、昔はチラシしか宣伝媒体がなくて
そこに力をかけた結果、それがデザイン的に凄いものになった。そこから保存する人が出てきた。
それがずるずる続いてるというのが今の状況ではないか。
チラシが好きだから何でもチラシがいいというわけではないと思う。

(松田)
美術的なものが好きな人はチラシも好きになるのでは。

(郡山)
演劇は総合芸術なので、アートの要素がある。それをくすぐってきたのがチラシだったと思う。
演劇は情報が少ないので、本などは立ち読みするとどんなものかわかる気がするし
映画も予告編を観ればわかるかもしれないけれど、演劇は作家、演出家、役者のクレジットしかないので
絵や写真を使ってみようという試行錯誤から発展してきたのではないか。
今は他の媒体や伝えられる情報量を増やすこともできるので
チラシの使い方も変わってきた。
ただ演劇を好きになるある意味特殊な人はチラシから
喚起される要素の高い人ではないだろうか?
演劇は情報の隙間がなければつまらない芸術だと思う。
その隙間を繋ぐ想像力を駆使するのが好きな人が
演劇ファンになるのではないだろうか。

(川口)
60年代、70年代はそもそも宣伝媒体がチラシやポスター、新聞広告やテレビ雑誌広告に
限られていた。その中で、広告予算をあまりかけられない演劇は
広告枠の高い新聞広告やテレビや雑誌広告は使えなかった
(使ってもダイレクトに観客増につながらなかった)。
今の小劇場は、新劇に対抗する形で、公演を劇場ではない場所(地下スペースや公園でのテントなど)で
打つアングラなどの小劇場運動から起こっている。

そういう形態であれば観客に手渡しできるチラシやどこにでも貼れるポスターというのは
有効な方法だった。同時に作品が描く世界が自分たち独自の世界観だったりするため
既存の表現の枠におさまらない表現ができるメディアとしてもチラシやポスターが
有効だったのではないか。そういうところから横尾忠則さんとかが自由な表現を行い
優れたプロのイラストレーターが誕生するメディアになった。

チラシ好きなのはその名残ではないのか。
また演劇は広告を展開する時点で、脚本やあるいは完成した作品がない状態であることが多い。
結果、チラシは演劇公演とは独立したチラシアートとして独自の発展を遂げたと思われる。

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