制作ニュース

新長田で考える、ダンスをめぐる現場から(身体ごと投げだすかのように)/横堀ふみ vol.1

13.06/10

神戸の新長田に拠点(小劇場ArtTheater dB神戸とstudio dB KOBE)を構え、おもにコンテンポラリーダンスのプログラムを企画制作する「NPO法人DANCE BOX」の
横堀ふみさんのコラムがスタート!第一回目は、5月に参加した二つの地域のフェスティバルについてご紹介!
はじめまして。神戸の新長田に拠点(小劇場ArtTheater dB神戸とstudio dB KOBE)を構え、おもにコンテンポラリーダンスのプログラムを企画制作する「NPO法人DANCE BOX」の横堀です。
12回連載の当コラム、頂いたお題は「新長田という地域に密着したダンスボックスの活動について紹介する」こと。初回の今回は、5月に参加した二つの地域のフェスティバルのレポートから始めたいと思います。


5月19日「長田フェスティバル」に出店※長田フェスティバル…「第43回こうべ祭り」の一環で行われたフェスティバル。主催:神戸市 会場:若松公園鉄人広場

今年度より長田区と一緒に新たな事業「踊るまち新長田構想」を立ち上げ、そのお披露目とリサーチを兼ねたのである。この事業では、“ダンス”をキーワードにまちの活性化を図り、まちの新たなアイデンティティをつくることを目指している。地域・世代・国籍等でこまかく長田区に混在する様々なコミュニティを横断する為のツールとして“ダンス”を捉えてみる。その入り口に、ダンスを「エクササイズ」という言葉にひとまず置き換え、「新たな新長田発のエクササイズをつくる」ことを第一段階のステップにして、ゆらりと船出した。

「長田フェスティバル」では、「新しいエクササイズ」をつくる為の素材集めとして、アンケートを実施した。その項目は以下(抜粋)。
年代/身体で好きな部位/身体で痛いところがあるか/1週間でどれ程身体を動かしているのか その頻度・時間帯/Noの方は動かしたいと思っているのか その希望頻度・時間帯/健康のために気を使っていること/好きな音楽/

アンケートへの回答の最後に回答者には身体をぐっと伸ばす時の模様を実演して頂いた。
120通強のアンケートが回収でき、これから分析していくところであるが、10代未満から80代までの方に回答いただいた。身体の好きな部位は多様で、予想以上に日常的に身体を動かしている人が多かった印象がある。
長田区の担当者と大事にしている点は、当事業の「着地点」を定めずに、進めながら考え実践すること、年度を重ねて継続すること。私にとっては長田という地域に、「ダンス」というツールそのものを投じることで(身体ごと投げだすかのように)立ち上がってくることに、当事業の肝があると考えている。



5月25日「第25回 真陽フェスティバル」への出店とパフォーマンス※真陽フェスティバル…主催:真陽フェスティバル実行委員会 真陽地区の子ども会やPTA等で構成されている

出店では手相占いを行い、パフォーマンスでは真陽地区のおっちゃん達で構成されるコーラス・グループ「ビッグ腹ダイス」と「国内ダンス留学@神戸」の一期生を中心としたダンサー達との共演を行った。
ここでは「長田フェスティバル」で行ったようなリサーチは行わず、私たちも「真陽フェスティバル」の運営に関わる一員として、このフェスティバルを楽しく盛り上げることに徹した。このフェスティバルでは、準備段階の会合から参加させて頂いたことがよかった。この地域の共同体がどのような構成メンバーで成り立っているのか、またこれらの会合を通して緩やかにつながりながら現状を共有する場であり、このフェスティバルで大事にしていることも、よく見えてきたのだった。
占うよりも話を聞く比重が多くなるようにと思って挑んだ「手相占い」は、在日ベトナム人のお母さんには私の日本語が伝わりにくかったこと、子どもがぼそっと呟いた家庭の事情や、恋バナなど、内容は多岐にわたった。「ビッグ腹ダイスとのパフォーマンス」については、3度目のコラボとなる今回は、おっちゃん達にラップの混ざったハードな歌を思い切ってお願いした。本番1週間前にはカラオケで一緒にリハーサルを行い、本番前日も日付が変わるまで最終調整を行った。おっちゃん達のおおらかさと、猛烈な個人練習に支えられ、いい塩梅の仕上がり具合。本番は最高に楽しい時間となった。

私たちが何故このように地域に密着した活動を行うようになってきたのか、次号から書きはじめます。



写真:倉科直弘

■横堀 ふみ(よこぼり・ふみ)■
NPO法人 DANCE BOX プログラム・ディレクター/制作
平成18年度文化庁新進芸術家国内研修制度研修員。平成20年度ACC(Asia Cultural Council)のグラントを得て、約6ヶ月間にわたり、アジア6カ国とNYにおいて舞台芸術の実態調査を実施。おもにアジア間におけるネットワークの構築を目指し、レジデンス・スペースや劇場、フェスティバルのディレクターらとの交流促進を行っている。


ピックアップ記事

公募
「第7回江戸まちたいとう芸楽祭」参加団体募集

Next News for Smartphone

ネビュラエンタープライズのメールマガジン
登録はこちらから!

制作ニュース

ニュースをさがす
トップページ
特集を読む
特集ページ
アフタートーク 
レポートTALK 
制作者のスパイス
連載コラム
地域のシテン
公募を探す
公募情報
情報を掲載したい・問合せ
制作ニュースへの問合せ


チラシ宅配サービス「おちらしさん」お申し込み受付中