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演劇ジャーナリストの徳永京子氏と、編集者・フリーランサーの藤原ちから氏による共著『演劇最強論』が11日、飛鳥新社より刊行された。昨年秋の発行予定から延期を重ねること約1年、まさに待望のリリースとなった。
「いまの演劇の最前線を紹介する現代演劇書の決定版!」と銘打つ同書は、現在活躍する演劇人や演劇シーンを様々な角度から紹介。
演劇だけでなく、映画や音楽、マンガなど、様々な要素を演劇に取り込んだ「ジャンルオーバー」な作品を紡ぎ出す一方、60年代、80年代の小劇場ブームの立役者たちの精神性も潜在的なかたちで引き継ぎ、作品のなかに引用していく若手作家たち。その「ジャンルオーバー」な作品と、世代を越えたつながりを通し、「いまの演劇」を立体化させる。
主な内容は、巻頭カラー約30Pにもおよぶ舞台写真、小劇場作家ガイド、演劇人インタビュー、座談会、著者2名による論考、コラムなど。
「演劇人インタビュー」では、岩井秀人(ハイバイ)、岡田利規(チェルフィッチュ)、松尾スズキ(大人計画)、宮沢章夫(遊園地再生事業団)らが登場。
また「小劇場作家ガイド」では、糸井幸之介、木ノ下裕一、ノゾエ征爾ら小劇場で活躍する作家を多数紹介している。
発行に際し、藤原ちから氏は自身のブログで発行が大幅に遅れたことを詫びつつ、「インタビューはほぼ1年前に収録したものなので、内容が古びているのではないか?、と危惧される声も当然あるかと思いますが、企画当初から、書籍である(つまり数年以上残る)ことを意識してつくったので、雑誌やウェブ媒体でのインタビューのように最新作について訊くことよりも、各作家の根幹となる思想的な部分に焦点を当てたつもりです」とし、「自信をもって今リリースできる内容」と言明。さらに、「この1年で起きためざましい変化については、論考のほうでも言及しています」と、現在進行形の演劇状況にも対応したことも説明。発行が遅れたことで、より深く充実した内容となった。
同書の定価は2,200円+税。Amazonなどで購入可能。
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「演劇最強論」|飛鳥新社