名女形として知られ、人間国宝（重要無形文化財保持者）の歌舞伎俳優・中村芝翫（なかむら・しかん、本名・栄次郎＝えいじろう）さんが、10日午前0時50分、肝不全のため東京都内の病院で死去した。享年83歳。

昭和3年東京生まれ。祖父は名優の五代目中村歌右衛門、父は美貌の女形として人気を博しながら33歳の若さで早世した五代目中村福助。父が死去した昭和8年、四代目中村児太郎を名乗り女童で初舞台を踏んだ。六代目尾上菊五郎のもとで演技を学び、昭和16年に七代目福助、昭和42年に七代目芝翫を襲名した。屋号は成駒屋、住まいがある「神谷町」とも呼ばれた。

六代目歌右衛門、七代目尾上梅幸に続く世代の立女形として、昭和、平成の歌舞伎界を支え、平成元年に紫綬褒章、日本芸術院会員。平成8年に人間国宝（重要無形文化財保持者）。平成18年には文化功労者に選ばれた。代表作は、「本朝廿四孝」の八重垣姫、「京鹿子娘道成寺」など。

9月1日に新橋演舞場（東京・東銀座）で開幕した「秀山祭九月大歌舞伎」に出演していたが、2日に体調不良を訴え、以降の公演を休演していた。

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