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矢作勝義の「劇場オープンまでの長い道のり from 豊橋」Vol.1

12.05/12

豊橋の空からこんにちは。そして初めまして、愛知県豊橋市にある、公益財団法人豊橋文化振興財団の矢作勝義です。この3月末までは、世田谷パブリックシアターに勤務していましたので、パブリックシアターやシアタートラムのロビー、主催公演のポストトークの司会などでご存じの方もいらっしゃるかと思います。1998年4月から務めていました世田谷パブリックシアターを3月末に退職し、4月からは愛知県豊橋市に居を移しました。その豊橋市では、2013年5月つまり来年開館を予定している『穂の国とよはし芸術劇場PLAT』という演劇と舞踊を中心とした劇場を建設中で、その開館に向けての準備をしています。

豊橋市という場所をご存じ無い方も多いかと思いますので、第一回の今回は豊橋市の紹介などから始めることにします。

まずは基本情報から。豊橋市のHPによると、人口は約38万人。市域面積は 261.35平方キロメートル(世田谷区のほぼ4倍)。東は弓張山系を境に静岡県と接し、南は太平洋、西は三河湾に面しており、豊かな自然と温暖な気候に恵まれています。愛知県の中でも、静岡寄りに位置しており、新幹線の駅だと浜松の次。名古屋までは、こだまで30分、ひかりで20分、在来線快速で1時間弱。東京からだと、ひかりで1時間25分、こだまで1時間50分という位置にあります。豊川用水の豊かな水と温暖な気候に恵まれ、農業がたいへん盛んに行われています。また、露地野菜、果樹、園芸作物、稲作など多種多様な作物が栽培されているほか、日本一の飼育羽数を誇る養鶉を始め、養豚、養鶏などの畜産も盛んで、全国トップクラスの農業産出額を誇る産地です。 工業面では、三河港や豊橋港周辺は多様な業種構造を特徴とする工業地域があります。「筆」の生産地としても有名ですが、手筒花火という火薬を詰めた1本4~5キロの手筒を男衆がからだの脇に抱えもって行われる花火が有名です。それと、市内の主要交通手段として路面電車が走っています。

写真は最新のノンステップ型ですが、全国から使われなくなった車両が集まっているようです。ご当地グルメとして「豊橋カレーうどん」があり、2年前から大々的に売り出しています。カレーうどんの底にとろろご飯が埋まっているという、なかなか美味しいのですが高カロリーな食べものです。B級ご当地グルメメニューとして開発されたようです。

カレーうどん特集ページURLはこちらから→http://www.honokuni.or.jp/toyohashi/info/000015.html

さて、そろそろ劇場関連の話題に移ります。豊橋市にある主なホール施設は以下の通りです。
◎昭和42年開設の『豊橋市民文化会館ホール』(490席)
◎『ライフポートとよはし』という1,000席と300席の音楽ホール
◎昭和6年開設の『豊橋市公会堂』(600席)
◎コンサートやピアノの発表会などが行われる『駅前文化ホール』(300弱席)
◎現在改修中ですが愛知県から豊橋市に移管され来年に再オープンする施設『アイプラザ豊橋(豊橋勤労福祉会館)』(1,500席)
などです。一見しておわかりになると思いますが、演劇やコンテンポラリーダンスの上演に適した会場がない状況です。また、小劇場やフリースペースなど演劇が上演出来るような小さな上演空間も無いようです。もしかすると、私のリサーチが足りていないのかもしれませんが。また、愛知大学という私立の大学があるのですが、そこの演劇部は24時間開放のアトリエを持っていて、そこで上演活動をしているようです。しかし、大学が名古屋キャンパスをこの4月に開設し、主要学部が移転してしまったため、部員も少なくなってしまったようです。それから、東三河演劇祭や東三河の高校演劇大会などは、隣の豊川市のハートフルホール(400席)を会場として実施しています。東三河とは豊橋市、豊川市、蒲郡市、新城市、田原市などです。中心地域は豊橋市なのですが、上演に適した施設がなかったため高校演劇大会を豊橋では実施できないということをちょっと悔しく思っていたようです。(←あくまでも私の推測です。)

ちょっと硬めの話が続きますが、第一回ということでご容赦を。劇場建設の経緯などを少し続けます。
最初の構想は平成13年3月現『第4次豊橋市総合計画』の「まちなか文化創造」の主事業と計画され、生涯学習センター、図書館、芸術文化交流施設の三つの機能で構成される予定だったようです。その後、平成16年度には『総合文化学習センター(仮称)基本計画』が策定され、施設の具体的な目標が示されますが、諸事情で一旦計画は中断していたようです。その後、市の財政状況などを勘案して、三つの機能を段階的に整備することになり、まずは舞台芸術交流施設に一部の生涯学習センター機能を取りこむという形で整備することになり、名称を「芸術文化交流施設」としていました。その後、正式名称『穂の国とよはし芸術劇場』、愛称『プラット』と決まりました。平成23年4月から施設建設が始まり、平成24年5月の開館を目指して工事はほぼ順調に進行しています。
施設は、主ホール(約760席)、アートスペース〈小劇場〉(約200席)、創造活動室A・B(演劇等稽古場)、創造活動室C・D(アコースティックな音楽練習室)、創造活動室E・F・G(音楽スタジオ)、研修室大・小(研修・会議・展示室)、市民活動室(小会議室)、その他託児室や交流スペースなどが設けられる予定です。


穂の国とよはし芸術劇場イメージ図

演劇やダンスなどが上演出来るのは、主ホールとアートスペース、そして仮設客席を組む必要がありますが、創造活動室Aでの上演も想定されています。
劇場としては、豊橋出身の俳優平田満さんを芸術文化アドバイザーとしてお迎えして、劇場の方向性やプログラムを詰めている状況です。
自ら作品を創造することも目標ではありますが、劇場規模からすると、主ホールは、首都圏のシアターコクーン、パルコ劇場、彩の国さいたま芸術劇場、世田谷パブリックシアター、銀河劇場、KAATなどの中劇場規模の劇場で上演された作品が、西日本へツアーをする場合の基点となること。さらには、アートスペース・創造活動室Aを活用して、中部圏、関西圏などの劇場と協力して、小劇場の作品を豊橋にも招聘できるようにしたいと考えています。そのためにも、多くのお客様に足を運んでいただけるような劇場であることが必須となりますので、それに関しての計画をすすめていく予定です。
さて次回は、私が見つけた豊橋の魅力的なポイントの紹介や劇場オープンに向けて実施しているプレ事業のこと、新劇場に向けての計画などについてお伝えしたいと思います。
それでは、また次回!!
穂の国とよはし芸術劇場の詳細は下記URLからダウンロード出来ます。
http://www.city.toyohashi.aichi.jp/bunka/koryushisetsu/riyohohosiryo.html


■矢作 勝義(やはぎ・まさよし)■
1965年生まれ。東京都出身。公益財団法人豊橋文化振興財団『穂の国とよはし芸術劇場PLAT』事業制作チーフ。東京都立大学(現・首都大学東京)演劇部「劇団時計」から演劇に本格的に関わる。卒業後は、レコーディング・エンジニアを目指しレコーディングスタジオで働き始めるが、演劇部時代の仲間と劇団を旗揚げするため退職。劇団では主宰、演出、音響、制作、俳優を担当。ある忘年会で、当時世田谷パブリックシアター制作課長だった高萩宏氏(現東京芸術劇場副館長)に声を掛けられ、開館2年目にあたる1998年4月から広報担当として勤務。その後、貸館・提携公演などのカンパニー受入れや劇場・施設スケジュール管理を担当するとともに、いくつかの主催事業の制作を担当した。主な担当事業は、『シアタートラム・ネクストジェネレーション』、『リア王の悲劇』、『日本語を読む』、『往転-オウテン』など。また、技術部技術運営課に在籍したり、教育開発課の課長補佐を務めるなど、世田谷時代は劇場の何でも屋的な存在としても知られた。2012年3月末をもって世田谷を退職し、2013年5月オープン予定の“穂の国とよはし芸術劇場PLAT”の開館準備事務所にて事業制作チーフとして勤務中。


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