制作ニュース

『せんだいメディアテーク 考えるテーブル「あるくと100人会議」 〜まちの再生、アートの再生~』第二部「まちの再生、アートの再生」

13.03/18

9、総括

このあといくつかの、意見と応答があり、
最後に、坂口さんからまとめの言葉がありました。

■坂口大洋さん(仙台高等専門学校建築デザイン学科准教授)
さっき、昔に戻れないといったが、今までの考え方や経験などがいろいろ通用しない局面が出てくる。ディティールでいうと、地震予知速報が流れた際に、どこで公演中止にするかというのが、打ち合わせ段階で問われる可能性がある。それを公演が始まる前にレクチャーしないといけない。また場所によって、舞台側に避難するという事になったら、そのことを最初に伝えないといけない。そういう打ち合わせ段階の安全管理の問題や、自炊所を作るなど、避難所としての想定も変わってくる。ひとつひとつを見ればすごく些細なことかもしれないが、全体になってくると大きく変わっていく可能性がある。「劇場」と「人」の関係が、かなり変わると思っている。少なくとも2011年3月10日までの考え方や経験がいくつか通用しなくなるだろうと思っている。もうひとつは、こういった問題を共有することの大事さを実感したが、共有してもこれを自分にどう取り込むのかということや、どう使っていくかということが、まだわからない。

これから先、「劇場」を「作る」のではなく、「使う」ということを考えていかなければならないが、さらに東北地方という事を考えると、施設が余ってくるので、それをどうするかという社会的な問題がある。その二つが組み合わさってくると、考え方は、相当変わって来る。ダイナミックに変わらず、1年先か5年先かだが。そして、変えるべきだとも思っている。

劇場や建築を専門にしているが、自分に近い世代の鈴木さんや伊藤さんのARC>Tでの活動に刺激を受けている。ちょっと難しいと考えているのは、こういうことをどう積み重ねていって、次のステップ、次のスキームなりに繋げていけばいいのか…どこかにジャンプがいると思っている。僕にできることがあればお手伝いしたいと思っているし、たぶん今のARC>Tのメンバーだけでは難しいだろうし、そういった意味で期待しているし、心配もしている。


震災時のリアルな出来事、そのときにあった人の反応。文化や芸術がどんな位置づけで機能し、また機能しなかったのか、人はどんな舞台芸術との関わりを求めるのか、ここに話として出ないような出来事もあったと思いますし、それが刻一刻と変化し、一瞬たりとも同じではなかっただろうと思います。その多様性と時間による変化の中ででは「劇場」とは、人々にとってどういう場所であるのか…。

答えのない課題を、考え、答えを出し、けれども、またすぐその答えを検証し、更新していく…。

震災以後に、必要になったのは、以前よりもさらに綿密な観察力と未来を見通し想像する力、対話を重ねながら行動していく力、考え方自体を更新していく力だと思いました。

第二部 了。
第三部「明日を生きるために-10、20、100年後の仙台-」に続く。

文/川口聡


固定ページ: 1 2 3 4 5


ピックアップ記事

公募
「第7回江戸まちたいとう芸楽祭」参加団体募集

Next News for Smartphone

ネビュラエンタープライズのメールマガジン
登録はこちらから!

制作ニュース

ニュースをさがす
トップページ
特集を読む
特集ページ
アフタートーク 
レポートTALK 
制作者のスパイス
連載コラム
地域のシテン
公募を探す
公募情報
情報を掲載したい・問合せ
制作ニュースへの問合せ


チラシ宅配サービス「おちらしさん」お申し込み受付中