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【宮永ゼミレポート】第4回『ネットワークの構築』

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Next舞台制作塾宮永琢生ゼミアシスタントのつくにうららです。ゲストをお迎えし開講した三回目の「同じ夢を見ること」、レポートはお楽しみいただけましたでしょうか?宮永ゼミも残すところあと二回、今回は四回目のレポートです!

 

宿題発表

今回の宿題はいつもと趣向を変え、「FUKAIPRODUSE羽衣の『女装、男装、冬支度』を観る(観に行かれない人はYouTubeで過去作品等の動画を観る)」というもの。

 

前回の講座では集団性について取り上げましたが、FUKAIPRODUCE羽衣は脚本家や演出家が団体を主宰するのではなく、俳優が団体を主宰する珍しい団体です。そのため、まずはそういった団体の作品を観てみることになりました。

 

本日の宿題発表は、まず宮永さんからFUKAIPRODUCE羽衣の活動について紹介がありました。その後、FUKAIPRODUSE羽衣の作風の特徴である「妙ージカル」についてや、お馴染みの下ネタの扱い、さらには公演が行われた劇場と作品のマッチング等、様々な角度から作品や団体についての意見、感想がやり取りされました。

 

私が面白いと思ったのは、大学生の受講生から出た「学生料金の設定がなかったので、団体が対象としている客層の年齢が自分達よりは少し高いように感じた」という意見でした。チケットの価格設定から、こういった視点も生まれるという新しい発見です。誰かの話を聞くことで、新たな作品の魅力や、自分以外の視点からの発想を得ることができるということを改めて実感出来た課題でした。

 

「ネットワークの構築」について

さて、本日のテーマは「ネットワークの構築」。自分たちが作品創作や発表をするうえで、どういったネットワークを構築すると活動に有効か、またそれをどのように利用していくかということについての講義となりました。

 

ままごとでは、作・演出の柴さんの作品を演劇にとどまらずジャンルレスに届けるためのネットワーク作りを行っているそうです。そのため、作品の中に教育、音楽、地域性など演劇以外の要素が内包されているかを作品創作の過程で見極め、各方面にアピールしていく活動を行っているとのことでした。

 

そして、このアピールの段階で重要になってくるのが「インフルエンサー」という存在です。「インフルエンサー」とは、主にWEBマーケティングで使われる言葉で、「ブログやSNSなどで影響力を与えるカリスマ」という意味です。アート(特に舞台芸術)のフィールドでは、自分の意見をよく発表する有名なアーティスト、評論家、ライター、劇場のプロデューサーなどをそう呼ぶことができると思います。TwitterなどのSNS以外にも、自分の意見を発信するメディア(ラジオ、テレビ、新聞等の場)を持っている人、劇場や地域での決定権を持っている人はより影響力が強いといえるでしょう。

 

こういった人々との繋がりを得ることで多方面とネットワークを構築することができ、自分たちの作品や活動を新しい場に発展させることが可能になります。では、そういった人たちと具体的にどうやって繋がっていけばいいのでしょうか?

 

宮永さんは、公演の招待状を送るのはもちろんのこと、知り合いに紹介してもらったりして繋がりをつくるそうです。ちなみに私は以前、繋がりたい人には何度も直接会いにいく(出演している公演やアフタートークを観に行く等)というのをやっていました。自分たちの活動を魅力的にアピールすることが出来れば、お互いの活動に有益な形で繋がりをもつことが出来るのではないでしょうか。

 

インフルエンサーを調べる

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本日一つ目の課題は「インフルエンサーを調べる」。宮永さんが指定した評論家、プロデューサー、アーティスト等の中から一人を選び、
 ・どういったジャンルに影響力を持つのか
 ・どのくらいの人に影響力を持つのか
などを調べました。

 

受講生は選んだ人の経歴や近年の活動を調べ、更にTwitterをやっている場合はフォロワー数を見たりすることで、その人がどのような人達に影響を与える可能性があるかを考え、発表しました。
既にその人を知っている人、そうでない人などは個人差がありましたが、自分がメインで活動している範囲以外で力を持っている人を知るきっかけとなり、この先自分は何に注目し、どこに向けて発信していくべきなのかということの参考になったかと思います。

 

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そして二つ目の課題は「自分たちの活動を、インフルエンサーを通してたくさんの人に伝える」というもの。具体的には、一つ目の課題で自分が調べた人に自らの活動を紹介し、どうしたら双方にメリットのある形で協働できるかを考え、プレゼンしました。

 

受講生からは、
 ・演劇レビューを書くコラムニストに創作現場に立ち会ってもらい、稽古場レポートの発信やメルマガでの宣伝、さまざまなツールで批評を行ってもらう。
 ・大学で開催するアートイベントにメディアクリエーターを招き、ワークショップを行ってもらう。また、そのイベントに作品を出品してもらう。
 ・離島の町長に協力してもらい、演劇を利用して島のお年寄りを元気にするためのワークショップの開催、島の人たち自身が演劇を行えるよう指導する活動を行う。
といった案が出されました。

 

双方がWin-Winな状態で共に活動するには、相手のニーズをよく理解し、自らが目指す活動としっかりマッチしているか、そうでない部分はいかにしてすり合わせていくかを考えていかなくてはなりません。また、これまでの講座で取りあげた「自分の活動を魅力的に紹介する」ということは何をするにも大前提になってくるということを改めて感じました。

 

以上で今回の講座は終了となりました。今回の受講生はコメディを上演する劇団にいる人、不条理な作品を作っている人、大学で学生演劇をやっている人などさまざまです。自分たちの作品には演劇以外の要素なんてない!と思ってしまっている人もいるかもしれませんが、これまでの作風、これからやってみたい作品、劇団員が好きなものなど、色々な角度から影響を受けているもの、コラボレーションしてみたいものを探っていくと、おのずとどんなネットワークにアプローチすればいいかがわかるかもしれません。

 

また、自分の活動範囲内のインフルエンサーだけでなく、音楽や美術など他ジャンルのインフルエンサーも知っておくことで、いざ新しくやりたいことが見つかったときにすぐ動き出せますね。
日頃から広い視野を持って活動を続けていくことが大切だと感じたテーマでした。

 
 

ということで、第四回のレポートは終了です。次回、第五回のテーマは「演劇に求められているもの」と題し、地域や社会と演劇の関わりについて考えていきます。遂に宮永ゼミも最終回、どうぞお楽しみに!

 

宮永ゼミアシスタントのつくにうららでした。

2014年03月18日 講義・セミナーレポート