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申請書やリリースどう書いていますか?「助成金申請から学ぶ、自身の活動を魅力的に伝えるためのWS」

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はじめまして。舞台制作塾事務局の斉木香苗と申します。制作塾の運営や、チラシの作成、SNSやブログの更新など、色々なことを担当しています。

 

突然ですが、このブログを読んでいるみなさんは日頃、どのように助成金申請書や、プレスリリースや、チラシの原稿を書いているでしょうか?私たち事務局でも、制作塾の活動をどんな風に伝えていこうかと、日々試行錯誤しています。

 

6月9日(日)、舞台制作塾では、オープンセミナー「助成金申請から学ぶ、自身の活動を魅力的に伝えるためのワークショップ(WS)」を開催しました。助成金申請を題材に扱ってはいるものの、これは色々な場面に応用できる「自身の活動を魅力的に伝える言葉」を導き出す方法を身につけるためのもの。TACT/FEST国内枠プログラムディレクターなどを務める樺澤良さんのファシリテートのもと、「魅力的に伝える言葉」を導き出すプロセスをグループワークと個人ワークで辿りました。
参加した方の振り返りや、参加出来なかった方の制作業務のヒントになればいいなと思い、その手順と様子をレポートしたいと思います。

 

WSの手順

1. 参加者全員で、知っている舞台芸術団体(劇団など)を出来るだけたくさん挙げて、そのうち知っている人の多い数団体に絞り、数人の班に分かれて1班1団体を担当する。

 

2. 参加者全員で、助成の目的を出来るだけたくさん考え、挙げていく。

 

3. 参加者全員で、芸術団体の思いや考えを考え、出来るだけたくさん挙げていく。

 

4. 班ごとに、各団体の特徴(独創性、先鋭性など)についてディスカッションし、出来るだけたくさん挙げていく。

 

5. 4で挙がった特徴を使って、各助成制度の目的に適うように、個人で作文をする。

 

6. 出来上がった作文を、参加者全員の前で発表する。

 

例えば、芸術文化振興基金助成事業は、「地域への普及公演、鑑賞教室公演等、観客が広く芸術に親しむことをねらいとした公演活動」などが対象公演ですし、雑誌「anan」には「10代~30代の女性に向けてファッション、恋愛、ダイエットなどの女性に関連する最新事情を発信する」というコンセプトがあります。助成対象に選ばれたり、雑誌に掲載してもらうためには、「いかに自身の活動が相手の目的やコンセプトに適っているか」ということを説明する必要がありますし、相手も自身の目的に適っている活動に魅力を感じるはずです。

 

抑えるべきポイントはどこか?どんな文章文章作成したらいいか?

押さえるべきポイントはどこか、どんな文章を作成すればよいのかを考えるためには、まず「相手の目的」と「自身の活動の特徴」を考え、両方を上手くつなげていくことが必要になります。

 

2.の「助成の目的」は助成団体によって様々ですが、今回はとにかくたくさん、芸術文化の振興、アーティストの育成、国内外への文化発信、まちおこし、などを挙げていきました。

 

3.の「芸術団体の思いや考え」についても、プラス面(生の芸術を体験することの良さ、公演に参加することで分かるチームワーク、祝祭性など)と、マイナス面(経済的な困難、一般認知の低さなど)の両方を挙げました。

 

4.「ディスカッション」では、お弁当を食べながらYoutubeで動画を観たり、Webサイトを参照したりして、「団体・作品の特徴」を挙げていきました。班で話し合うと、自分一人で考えていると気付かないような特徴や、自分が感じたことのない魅力をメンバーから聞けます。話し合っていくうちに分かってくる特徴もあり、団体や作品を色々な面から見られるということがよく分かりました。

 

5.「作文」の題材に扱ったのは、芸術文化振興基金、セゾン文化財団、アーツカウンシル東京の助成制度です。すでに「団体・活動の特徴」を挙げているので、「こういう特徴がある」という文章を作成するのはそれほど難しくありませんが、「それにはこういう効果がある」というところまで説明するのは非常に難しく、苦戦した方もいました。一方、既に助成金申請を経験している方の中には、「具体的な作品・年代を明記する」、「社会の様相を文中に盛り込む」、「審査する側が知らないと思われる具体的な情報を盛り込む」といったテクニックを駆使している方もいました。

 

6.「発表」では、文章の良かったところ、直したらもっとよくなるところについて、樺澤さんからフィードバックを受けます。最後に、樺澤さんの作成したテキストの発表を聞き、WSは終了しました。

 
 

参加した方々へのアンケートでは、

「他の参加者の同じプロセスを見られたことがとてもいい経験になりました」
「相手が何を求めているのか?自分の団体は何が売りで区別できるのかを掘り下げて書きだすことが大事なんだとわかりました」
「ひとつのテーマについて集団で考えるという姿勢、経験が出来たことがとても大きいです」

などの回答をいただきました。

 

相手を想定し、相手の目的に適うように、自身の活動を分かりやすく伝えるのは難しいことですが、今回のようなグループワークを踏まえることで、自分だけではない様々な視点を取り入れることができます。また、グループワークは参加した方同士との交流にもなりますので、参加した方々がご自身の活動にこの出会いを活かしていけるといいな、と思っています。

 

舞台制作塾では、今後も色々なテーマでWSを取り入れていきたいと考えていますので、「こういったことを勉強したい」、「みんなで考えたい」というリクエストがありましたら、ぜひ事務局までお知らせください。(斉木香苗)

2013年07月16日 講義・セミナーレポート