Next舞台制作塾

【宮永ゼミレポート】第1回『貴方は私のプロデューサー』

miyanaga01_01
初めまして、Next舞台制作塾宮永琢生ゼミでアシスタントを担当しております、つくにうららです。宮永ゼミ「-Next Lab-『未来への方程式 -いくつかの症例と「ままごと」の遊び方-』」のレポートは私がお届けすることになりました、どうぞよろしくお願いします!

 

今回は、事前に行われた受講生とのプレ面談であがった【プロデュース・活動する場所の確立・地域での活動・表現活動とお金について・広報・集団性・アーティストとの関わり方】等のキーワードを元に全5回のプログラムを構成しました。舞台芸術に関わる上で直面する問題や実現したい夢を、受講生同士のディスカッションを通して考察・検証することで解決の糸口を探っていきます。

 

ということで、さっそく講座のレポートへ。1月12日の第一回目のテーマは『貴方は私のプロデューサー』。プロデュースするということについて考えていく回になりました。

セルフプロデュースについて

はじめに、宮永さんよりセルフプロデュースについての説明がありました。宮永さん曰く、「人にどう見られたいか、どういう印象を持たれたいか等、誰もが実は気にしているはずの他人からの視線。これを自分で再認識していくことがセルフプロデュースに繋がる」とのこと。

 

「プロデュース」という言葉だけでは一見難しく、また制作者ではないポジションにいる方にとっては何だか遠い存在にも思えてしまいますよね。しかし、自分自身を客観的に判断してどう見られたいかなどの指針を自分自身で決めていくことは、舞台芸術のみならず人と関わりながら生きる上でとても重要なことではないでしょうか。

 

また、説明の中で宮永さんが言っていた「現代社会の中で素直に生きれば生きるほど生き辛い」という一言は大変印象的でした。

ペアで自己紹介~ディスカッション~発表

miyanaga01_02
続いて、ペアに別れて1人5分間の自己紹介をし、その自己紹介を聞いて興味を持ったことや、疑問に思ったことなどをディスカッションしながら、「『私』が思う相手の魅力」を探りました。

 

自分にとっては当たり前の情報も、相手が自分を知る為には実は大事な要素であることも。より相手を掘り下げて魅力を見つけ出す為に、初対面の相手ながらディスカッションは盛り上がりをみせていました。

 

そしていよいよ、ペアを組んだ相手を3分間で他の受講生に紹介!情報の羅列だけでなく、時には「ナスとペンギンとタンポポが好き」「伏し目がちで色っぽい」などのユニークな情報も交えながら、自分自身で見つけた相手の魅力や人間性を伝えていきます。また、紹介の導入部分で聞き手を惹きつけるような言葉をチョイスしたり、キャッチコピーのようなものを作ってみたりと、各個人の工夫や個性が溢れる発表となりました。

 

最初の単純な自己紹介から、「この人の魅力はどこにあるか」「何を伝えればこの人の魅力は伝わるか」「どうすればこの人のことを魅力的に伝えられるか」を客観的に捉えていくことがプロデュースをする上で重要となることを、ペアを組んだ相手を紹介することで実感できたように思います。他の人とは一味違う「その人だけの魅力」を見つけ出せるかも、プロデュースの鍵となってくるのかもしれませんね。

 

具体的な症例の検証

miyanaga01_03
後半は受講生が抱える具体的な問題を取り上げ、グループに別れて検証しました。今回取り上げたのはAさんとSさんの事例。

 

Aさんは現在、とある作家さんの作品を「ひとり語り」として表現する活動を続けながら、自身の演劇ワークショップの展開を目指しています。しかし、自身の活動がなかなか認知されない、公演の広報にまでなかなか手が回らない、誰かに手伝ってほしいが誰にも頼めない等の問題を抱えています。

 

Sさんは、自身が好きな「下着」と「演劇」をリンクさせることはできないかと考え、某大手下着メーカーと共同で下着にまつわる演劇公演と下着の販売会を開催したいと考えています。しかし、企画立案の仕方や、どうしたら「下着」と「演劇」という異なるジャンルのものを組み合わせることが出来るのか等が具体的にまとまらないそうです。

 

お二人の話を聞いたあと、3人1組に分かれてそれぞれの事例はどうすればより良い展開となるのか話し合い、発表しました。

 

Aさんへの提案は、
 ・演劇ワークショップの発表会とひとり語りの公演を二部構成にする。
 ・制作面でのサポートをワークショップのメンバーに依頼する。
 ・国内の芸術祭へ参加する。
 ・他のアーティストとコラボレーションする(演奏・ダンス・衣裳・メイク等)。
 ・旅公演をし、その旅先の行政等と組んでワークショップを行う。
といった案が出ました。

 

Aさん自身も「稽古と広報活動の両立が出来ない」という問題点が分かっていること、活動自体が既に長く続いており、活動の目的等も明確であるため、受講生からも具体的な解決案が提示されたように思います。

 

一方Sさんへの提案は、
 ・ファッションショーと演劇のコラボレーション。
 ・下着の販売会場への道中で演劇をする。
 ・お客さんに動いてもらうタイプの演劇をする。
 ・商品のキャッチコピーを物語へ落とし込む。
といった案が出ました。

 

「下着」というキーワードは性別、年齢等によって認識が異なり、それが統一されていない中では具体的な意見も出づらかったように思います。「下着」と「演劇」のコラボレーションという構想は独特で、大変魅力的です。

 

この構想を今後より具体的にプロデュースしていくためには、題材となるものの共通認識をしっかりと形成することが大切になるのではないでしょうか。お二人の活動や構想はどちらも独創性と魅力を秘めたものに感じました。これまで一人で解決策が見いだせず悩んでいたことも、他の人の視点を通して考えることで新たなアイディアが生まれます。自分の問題を誰かの視点を通して考えてみる、というのも問題解決への近道なのかもしれません。

 

以上で第一回のレポートは終了です。初回ながら、受講生同士での活発な意見のやり取りが見受けられました。バックボーンも目標も違う今回の受講生たちですが、それ故に多角的な視点からの意見が飛び交っていたように思います。

 

今回取り上げたのはセルフプロデュース、個人の活動や企画のプロデュースについてが主でしたが、これを「団体」や「作品」に置き換えて考えることで様々なプロデュースへと繋がるのではないでしょうか。私も【客観的に捉えること】【魅力を見つけ出し伝えること】を大切に、プロデュースすることについて改めて考えてみたいと思いました。

 

第二回の講座では「創造とビジネス」について取り上げます。果たしてどんな意見が聞けるのでしょうか・・・。

 

ということで、宮永ゼミアシスタントのつくにうららでした。次回もどうぞお楽しみに!

2014年01月17日 講義・セミナーレポート