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- 王子小劇場、2025年4月よりジャングルへ運営会社変更
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24.09/25
王子小劇場、2025年4月より運営会社変更、有限会社ジャングルによる3番目の「インディペンデントシアター」へ
王子小劇場(東京都北区)は、2025年4月1日より事業運営が佐藤商事株式会社から有限会社ジャングルに承継されることを発表した。有限会社ジャングルは大阪市で「インディペンデントシアター1st」と「インディペンデントシアター2nd」の2つの劇場を運営しており、今回の承継により王子小劇場は「インディペンデントシアター王子」(仮称)と名称を変更することを検討。また、現王子小劇場の運営スタッフや設備は引き継がれ、佐藤佐吉演劇祭等も存続の方向で動いているという。
王子小劇場は1998年7月にオープン。以来、若手劇団への積極的な支援や独自の企画を開催し、2008年にはメセナアワード「たたかう劇場賞」受賞した。
現在王子小劇場で劇場プロデューサーを務める井上瑠菜は、佐藤商事株式会社が王子小劇場の運営から離れることを、同社社長より今年の4月に告げられたと劇場のnoteで明かした。「タイムリミットは6月末まで。見つからなければ閉館という、まさに何かの作品みたいな状況」で、演劇業界、エンタメ業界で活動する多くの人たちに相談。当初は「無理なんだろうなと思っていた」という井上だが、相談を進めるうちに「王子小劇場がどれだけ愛されてきたのか思い知り」、劇場を存続させるべく奔走してきたという。
そうした中、井上がインディペンデントシアターの劇場プロデューサーである相内唯史と話す機会を得たのは5月中旬頃。当日は劇場の運営形態等の相談をして終了したが、その翌日に相内よりメールが届き、王子小劇場の運営を有限会社ジャングルが引き継ぐという選択肢を提示されたという。そして話し合いを重ね、ジャングルへの承継が決定した。
相内は、インディペンデントシアター公式ブログで王子小劇場について、運営資金の限られた民間劇場でありながら、若手の支援・発掘に積極的な劇場であることや、貸館の運営だけでなく様々な自主事業を展開している点などを挙げ、「我々インディペンデントシアターと共通する部分が多い」とし、「この近いものを持ちながら、性格の異なる二つの劇場が一緒になることで、それぞれの強みや培ってきた歴史を共有し、東西の演劇文化を融合させ、これまで以上に利用者・来場者に愛される劇場を目指していく事が出来ると確信しています」と語っている。
また、今回の決断の背景には、今年5月に閉館したこまばアゴラ劇場の影響も少なからずあったと相内は言う。「関西圏の多くのカンパニーが首都圏での公演を目指す時にその選択肢としてまず名前が挙がるのが、こまばアゴラ劇場と王子小劇場」であり、「この流れが失われてしまうことは、当劇場にとっても関西や首都圏の演劇環境にとっても大きな損失だと思います」と思いを綴り、「インディペンデントシアターが東西小劇場の『FRONT LINE=最前線』を繋ぐ存在となる事を目指します」と意気込みを見せた。
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