制作ニュース
- セゾン文化財団主催『舞台芸術活動と育児の両立について考える会』Vol.3
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24.09/13
【参加者より】
「劇団主宰。既婚。自身に子どもはいないが劇団に育児中のメンバーがいる。座組メンバーそれぞれの希望を共有し合いたいと思っているが、とくに稽古や打ち合わせの際には育児中の人が楽になるように考えて動いている。ただ、時に育児者を尊重しすぎてしまう傾向も。子育てをしていない人に対しても、育児の大変さや舞台芸術活動との両立の難しさ、その対応方法などシェアできるサイト、意見交換の場があるといい。悩みをシェアできると心が軽くなる」
「舞台美術家。出産時、まわりに子どもがいる人がおらず、フリーランスのスタッフとしていろんな団体に関わる中で、状況や希望を一つひとつ丁寧に説明していく必要があった。創作、制作、子育てについて知り合う機会を作りたい」
「演劇ユニット主宰で脚本、演出を担当。結婚はしておらず子どもはいない。ベビーシッターの仕事もしており、子どもに舞台に親しんでもらいたいと思い、自身の稽古場では子どもがいる中で創作活動をしている。子育て世代のサポートをしたいが、劇場が閉鎖的だと思うことが多い。もっとオープンになってほしい」
「映像分野。大学時代から映画に関わり、卒業後は助監督に。すでに子どもは大きくなったが、当時はやめる以外の選択肢しかなく、出産後は現場を離れた。映像業界の働き方には問題が多く、都合で夜間や土日に撮影が集中するケース、地方ロケなどがネック。最近はやりくりする女性も出てきたが、長期間の地方出張では子連れで行って現地のフリースクールに通わせたり、都心の24時間保育を利用したりするなど、本人の力技でなんとかしている人も。そこまでしなくていいようにしたい」
「クラシック音楽の制作。室内楽国際コンクールの広報や全国の公立ホールで子ども向けコンサート、ワークショップ等を実施している。結婚するタイミングで起業。社長ではなく社員となって産休育休を取得した。復帰後は保育園を使いながら仕事をしているが、出張先に子どもを連れていかなければならないことも多く、24時間保育などを利用することも。ただ、こうしたことを誰もができるわけではない。どうすればみんなが育児をしながら仕事ができるかを考えている」
「ダンサー。夫もダンサーとして活動している。出産後に出演した公演では1か月半にわたりリハーサルがあった。その間は夫が家で子どもを見ていてくれたが、自分の出演料だけでは生活は厳しい。カンパニーのダンサーの立場では主宰者に交渉しづらい。オファーが来なくなる可能性がある。夫との企画公演では主催者という立場。育児と公演を両立させる方法を学びたい」
「カンパニーで劇作と演出を担当。妊娠、出産を経験したが、当事者になるまで知らないことが多すぎた。出産経験者が仕事を続けられる業界であれば、自分も事前にもっと情報を得られていたように思う。今回は子育てというトピックだが、今起こっている問題は『育児』だけでなく『労働問題』でもあるのではないか」
後半のパートでは、前半で参加者から共有された様々な悩み・意見をもとに「創作・公演現場」「舞台芸術業界」「公立劇場・主催者」「行政・自治体」「家庭」「労働問題」などに分類しながらディスカッションが行われた。特に意見が多く出された課題を3つ選定したところで終了。続く第4回で、さらに議論を重ね理解を深めることとなった。
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