制作ニュース

セゾン文化財団主催『舞台芸術活動と育児の両立について考える会』Vol.1

24.09/13

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制度を利用することをためらう声も


(井上美葉子さん)

講義後の質疑応答では、育児と創作活動との両立に際して、稽古の時間帯についての悩みがあげられた。例えば、依頼を受けた創作現場において、夜間に実施されることが多い稽古時間を、昼の時間帯に設定してほしいと発注者に要望することはフリーランスとしての権利であると理解している。しかし、他のスタッフやキャストの迷惑になるのではないかという懸念から、制度を使うことに「罪悪感を抱いてしまう」という声も。

こうした悩みに対して井上さんは、発注者側の意識の問題や業界の慣習もある中で「実情にあっていない面も確かにある」としつつも、法に基づきフリーランスが発注者と交渉できるようになることの強みも示す。一方で、「舞台芸術業界において、休むことは『大きな決断』だ」と井上さん。「休むことができない理由として、収入面だけでなく、仕事を探し続けなければならないという不安定な状況がある。育児、出産、労働以外にも問題があると感じる」と述べた。

子育ての問題を舞台芸術業界の問題として捉える

今回、同セミナーの共同プランナーとして名を連ねる塚口麻里子さん(舞台芸術制作者オープンネットワーク〈ON-PAM〉理事長兼事務局長)は、自身も舞台芸術業界で活動しながら二児の母として育児をしている視点から、「一般的な子育て支援策は、『子育てのために働くことをセーブしてもいい』という発想がベースにある。したい仕事をセーブしなくても、子育てと両立していけるようにサポートするという発想はその先にあって。今回の会でも、行政で間に合わないところをどう私たちで作っていくのか、民間からか、あるいは行政に訴えていくのか…など話していきたい」と語った。

最後に井上さんは「少し前までハラスメントは個人の話とされていたが、社会や舞台芸術業界全体の問題と捉えるのが当たり前になった。同様に、『子育て』に限ったことではなく、契約上の問題点や働き方について、舞台芸術業界全体の問題として捉え直す視点は必要なこと。こうした動きを自分たちで作っていかなければならない。それを後押ししてくれるのが法律。特に労働関係の法律は年々変わっており、法を追いかけていくと社会の流れもわかる。ぜひ関心を持っていただきたい」と参加者に呼び掛けた。
*フリーランス新法については、2024年6月6日時点での情報。

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