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ギフトチケット導入団体振り返りの会

22.03/29

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「理念には共感するが、導入は難しい」

ただ、ギフトチケットは常に前向きに捉えられていたわけではない。導入を提案するも、新たなスキームがプラスされることへの懸念から、チケット担当者から導入に対して反対する意見も出されたという事例も発表された。

荻野さん自身も「『創客』というギフトチケットの理念に反対する人はいないが、慣れていないとオペレーションを手間に感じることからギフトチケット導入へのハードルが高く、それが一番の課題だ」とする。

初年度の目標としては理念の浸透が第一で、利用枚数を伸ばすことまでは考えていなかったと述べつつも、「導入団体としては、『1枚も売れなかった、1枚しか売れなかった』という状態では、手間をかけた分の見返りもなく、モチベーションを保つことができないだろう」と、導入を躊躇する制作者への理解を示す。

理念には共感してもらえるが、それをどう続けていくか──。

その対策のひとつとして、運営マニュアルを作成し配布していくという案が荻野さんより挙げられた。これについてはすでに準備を進めているという。「ほろびて」主宰の細川洋平さんから、「カンパニー側がギフトチケット導入のノウハウを構築していくことが大事だ」という意見が出されたが、こうしたマニュアルは劇団内でも大いに役立つだろう。

また、新たに導入する団体にとって、すでに導入している団体の予約サイトやフォームが非常に参考になったという声も紹介。今後、運営サイド側でテンプレートを用意することも検討していくという。

「ギフトチケット」を広めていくために

荻野さんはさらに、観客への働きかけも大切だと訴える。次年度の施策として、ギフトチケットそのものをアピールするチラシを舞台芸術業界で広く配布し、ギフトチケット導入公演の情報をリアルタイムに掲載していく取り組みを検討していることが明かされた。

この施策について、「チラシに公演情報が掲載されることは、劇団にとってもプラスになる。ギフトチケットというものが一般的に存在しているという認識にもつながる」と植村さん。

また、木田さんからは「公演パンフレットに掲載する次回公演の予告部分で、ギフトチケットの先行購入の告知ができないかと考えている。観劇直後の『次の公演には友達を誘いたい』というお客様の熱い思いを、ギフトチケットで叶えたい」と、劇団としてギフトチケットの新たな活用方法が語られた。

なお、類家アキヒコさん(導入団体:劇団晴天)からは「今後ギフトチケットが認知されたとしても、合う団体・合わない団体があるのではないか」という意見も。「観劇自体を好む客層が多い団体より、『推し』を目当てに来るファンが多い団体の方が、ギフトチケットをうまく活用できるのでは」と述べ、参加者からは「なるほど」という声があがった。


様々な意見が出された今回の会。最後に荻野さんは「ギフトチケット導入における『手間』の問題について、この振り返りの会を通じて改めて認識した。現場のハードルを下げることは大きな課題として肝に銘じたい」と語った。そして、参加者からも「理念」という言葉が使われたことにも触れ、「理念に共感してギフトチケットを導入してくれる団体が増えていくことはとてもうれしい」と思いを伝え、会を締めくくった。

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