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限られた世界のようでいて、実はさまざまな職種・活動が存在する舞台業界。そこに関わる多様な人々にスポットをあて、お話を伺うインタビューシリーズ『TALK』。語られる言葉(意思)を通じて、読者の方々にご自身の活動への新しい発見やヒントを感じていただきたい、そんな思いで取り組みます。
パフォーマンスによるケガの予防やコンディショニングなどの方法を紹介し、「芸術家」と「専門的なヘルスケア技術」とをつなぐ団体、「NPO法人芸術家のくすり箱」。小曽根史代さんは、発足当時から運営の要である事務局長を専任し、アーティストやヘルスケアを提供する専門家たちとのパイプラインを築いてきた。
大学では舞踊系の学科に籍を置いたが、卒業後は一観客となり公演を「観る側」の立場になった小曽根さん。舞台上で優れたパフォーマンスをみせるダンサーたちに「彼らを支えるバックグラウンドの脆弱さ」を思わずにはいられなかったという。
「人は元気でいられる環境があって、より能力が発揮できるのではないか?」。この思いは小曽根さんの原動力となり、一般企業に勤めてからは主に人事での仕事にやりがいを見出だしてきた。当時から一貫して抱いていた「働く人がいかに健やかに過ごせるか」という視点は、その後も自身のテーマとなって「芸術家のくすり箱」参加へと繋がっていくことになる。
月一回の勉強会から始まった「くすり箱」の活動は、アーティストやヘルスケア従事者に向けたセミナー開催、助成プログラムの実施や専門家とのネットワーク事業、芸術家の実態調査等へと、この10年間で広がりを見せている。
活動の最終地点は、「『芸術家のくすり箱』がなくなることです」と微笑む。「壮大な目標ですが…芸術環境の中にこのコンテンツが根付き、アーティストやカンパニーが自分のための『くすり箱』を持つようになれば、繋ぎ手である私たちの活動は必要なくなりますから…それが願いですね」。(編集部:永滝陽子)
1969年生まれ、東京都出身
大学を卒業する頃、「24時間戦えますか?」で有名なドリンク剤のCMが流れていて。“働けば働くほどカッコいい”という考えに違和感を覚え、入社試験では「あのCM嫌いです!」と言いました(笑)。自分らしい時間や楽しみがあってこそ、実りある仕事や暮らしが手に入れられるはずだと。でもそんなことを言う人は当時は珍しかったと思いますね(笑)」
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◇ 6/6(土)開催、芸術家のくすり箱「ヘルスケアセミナーvol.10」芸術家のパフォーマンスに生きる17のプログラムをラインナップ!