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4月24日(金)から5月6日(水・祝)にかけて、静岡で開催される国際的な演劇祭「ふじのくに⇄せかい演劇祭」(主催:静岡県舞台芸術センター〈SPAC〉)。この東京プレス発表会が17日にアンスティチュ・フランセ東京(新宿区市谷)にて行われ、宮城聰氏(SPAC芸術総監督)がその思いを語った。
(写真左から、ダニエル・ジャンヌトー氏、鈴木一郎太氏、西尾佳織氏、宮城聰氏)
会の冒頭、宮城氏は「今年の演劇祭のコア・コンセプトは、アングラ演劇50年」と切り出した。日本のアングラ小劇場ムーブメントから50年の継承・発展と、同年代に海外で登場してきたオルタナティブな表現との共時性を、合わせて観て欲しいという。どちらも「反権威・反自然主義・民族的なもの/プリミティブなものへの敬意、身体性の復権」というテーマを共有していたと宮城氏は考えており、その観点から全プログラム(6か国9演目)が選定された。
SPAC新作公演として紹介されたのは、『メフィストと呼ばれた男』。反ナチスの作家が1936年に発表した小説が原作で、宮城氏がほぼ初めて、リアリズム的な戯曲作品を演出することになる。その経緯を次のように説明した。
「日本が戦争に、戦争する国に近づいていると感じています。このような状況下で公立劇場がどうするべきかと考える際、唯一参考となりえるのが、1930年~40年代の(世界で唯一公立劇場の制度が整っていた)ドイツだと考えました」。
「(公立劇場が)地域や個人の固有の状況に対して、何がしかのヒントを提起する方法として、演劇的な『抽象化/普遍化する』という手法は、すでに機能しなくなっているのかもしれないと感じることもあるんです。今回、もし1932年のベルリンの公立劇場に居たら、という固有の状況に自分を置いて考えてみようと思っていますし、観てくれた方にも、そのように(リアルに)考えてほしいと思います」。
会では他にも、夜の闇に包まれた日本平の山中を舞台とする『盲点たち』(演出:ダニエル・ジャンヌトー(仏))、静岡市内の住宅街を「架空の町」として冒険する『例えば朝9時には誰がルーム51の角を曲がってくるかを知っていたとする』(共同演出:大東翼[(株)大と小とレフ]、鈴木一郎太[㈱大と小とレフ]、西尾佳織[鳥公園])の作品紹介がなされた。
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◇ ふじのくに⇄せかい演劇祭2015