制作ニュース
- 小室明子の「北国の劇場から」Vol.8
-
13.09/04
11月に開催される“劇場の祭典” 札幌劇場祭Theater Go Round2013
TGR2013ポスター画像
札幌市内のローソン各店舗、地下鉄駅などにまもなく貼り出されます。
札幌はすでに秋です。7月21日(土)にスタートした札幌演劇シーズン2013-夏も8月末で終わり、久しぶりに劇場が静かです。一抹の寂しさがありつつもすぐに次。現在は次の演劇シーズン冬の準備、の前に、11月の「札幌劇場祭Theater Go Round2013」の準備に追われております。私も広報担当として、ポスターや劇場等で配布するリーフレットの作成に勤しんでいるところです。
今回は、11月札幌に演劇を観にきてみませんか、ということで、少し早いですが、11月の1ヶ月間に渡り開催される札幌の劇場の祭典についてご紹介します。
毎年秋、札幌市を主催に「さっぽろアートステージ」というイベントが開催されています。札幌市民がアートに触れることを目的とし、音楽部門、学生音楽部門、美術部門、舞台芸術部門の4つの部門で、アートへの入口、アーティストと市民の出会い、を提供しています。
札幌劇場祭(以下、TGR)は舞台芸術部門のひとつで、2006年より本格的にスタート。札幌の公共、民間をあわせた9つの劇場で構成される札幌劇場連絡会を主催に開催しています。
◆さっぽろアートステージ公式サイト
http://www.s-artstage.com/2012/
※2013年バージョンはまだまだ工事中なので昨年のものをどうぞ。
◆参加9劇場 | |
◎演劇専用小劇場BLOCH ◎扇谷記念スタジオ シアターZOOH ◎cube garden ◎札幌市こどもの劇場 やまびこ座 ◎札幌市教育文化会館 |
◎札幌市こども人形劇場 こぐま座 ◎サンピアザ劇場H ◎生活支援型文化施設コンカリーニョ ◎ターミナルプラザことにPATOS |
2011年の公開審査会、授賞式より。
(アートステージ公式サイトより引用)
11月の1ヶ月、劇場が企画を競う、ということにはなっておりますが、自主プロデュース公演を並べられるほどの補助金があるわけでもないので、11月に参加劇場を借りて公演を行えば参加できるというのが現状です。旗揚げしたばかりの若手から老舗劇団まで毎年40団体前後が参加します。当然、作品の質が良いものばかりではありません。そう言う意味では、札幌演劇の様々な側面をみることができる見本市、であると思います。
TGRの特徴の一つが、審査員による評価でエントリー作品から大賞が決まる、ということ。
大賞作品には賞金20万円+参加劇団が支払ったエントリー料(昨年までは1団体2,000円)の総額、翌年参加時の劇場費無料、再演の際の支援金30万円など、となかなかの副賞があります。7名の審査員がエントリーされた約30弱の作品のほとんどを観劇し、議論の末に大賞、新人賞ほか各賞を決定します。その議論の一部は、公開審査会というかたちで、参加劇団の代表者が集まる会場で行われています。昨年は3年目の挑戦で念願の新人賞を受賞した劇団が名前を呼ばれて泣いてしまうという場面もありました。TGR2013では昨年より協賛いただいているローソンからの特別賞も設けられ(賞品はからあげクン1年分という噂です)、審査会はさらに盛り上がることでしょう。
終了後は懇親会があり、審査員と劇団関係者が作品について意見交換しあう場となっています。今ではTGRもすっかり定着し、11月は1年で一番上演数の多い月となりました。
札幌は人形劇が盛んな地でもありまして、TGRでも沢山の人形劇団が参加し、下旬には道内の人形劇団が集う「札幌人形劇祭」もあります。札幌には公立としては初めて昭和51年にオープンした人形劇場・こぐま座があり、毎週末人形劇が上演されています。同じく公立のやまびこ座でも公演のほか、人形劇講座などが盛んに行われています。国内外で活躍する人形劇アーティスト、沢則行さん、平常さんも札幌の出身です。
金曜〜日曜の3日間も滞在すれば、どの週でも若手や実力派、人形劇など4作品は観劇できることでしょう。やや寒い時期ではありますが、ぜひこの機会に札幌へ。
また、広報も充実しているので、道外のカンパニーの皆様には、初の札幌公演は11月に、というのもオススメです。昨年は7年目にして初めて、道外のカンパニーが大賞を受賞しました(弘前劇場「素麺」)。今年はどこが大賞を受賞するのか?
公開審査会はUstream中継も予定しておりますので、札幌まで来られない方も覗いてみて下さい。
■小室 明子(こむろ・あきこ)■
1974年生まれ。札幌市出身。コンカリーニョ演劇プログラムディレクター。大学在学中に演劇と出会う。大学卒業後、タウン誌の編集者などを経て2001年に上京。東京ではフリーライター・エディターとして生計を立てつつ演劇の世界もうろうろ。2006年、fringe主催の「PmP2006」に参加したのをきっかけに、2007年4月に札幌へ戻り、以来、NPO法人コンカリーニョに勤務。札幌演劇の活性化、演劇人の実力の向上を願い、他地域の劇団などとの交流企画や演劇祭、在札劇団の道外公演のプロデュースなどを行っている。