制作ニュース

新長田で考える、ダンスをめぐる現場から(身体ごと投げだすかのように)/横堀ふみ vol.2

13.07/10

神戸の新長田に拠点(小劇場ArtTheater dB神戸とstudio dB KOBE)を構え、おもにコンテンポラリーダンスのプログラムを企画制作する「NPO法人DANCE BOX」の
横堀ふみさんの連載コラム!
先月のコラムでは、地域のフェスティバルに参加した模様をレポートいたしました。「なぜ、DANCE BOXでは地域とコミュニティとコミットしたプログラムを多く実施するようになっているのか」について、この数回で書き進めていきたいと思います。


2009年「コンテンポラリーダンス・ツアーin新長田」パフォーマー:KIKIKIKIKIKI /場所:大正筋商店街劇場の様子Studio dB KOBEの様子ロビーに飾っているダンス公演の写真駅前にあるマンションの最上層にある料亭「高倉」からみた新長田

現在のDANCE BOXでのプログラムは、次の3つの点を起点にプログラムを立ち上げ実施しています。①(おもに)コンテンポラリーダンスを取り扱うこと、②劇場が拠点であること、③新長田に位置すること。これらがゆるやかに絡み合いながら、どの点が欠けても成立しないプログラムづくりとなっています。

①については、1996年、関西を拠点としたコンテンポラリーダンスに関わるアーティスト達が、自らの表現の場を獲得するためにDANCE BOX実行委員会を立ち上げ、トリイホール(当時のトリイホールのプロデューサーは現DANCE BOX代表の大谷燠)と協働しながら、公演やワークショップ事業等を精力的に実施したことから始まりました。つまり、自らの活動を継続していくための創造環境や、活動を新たな場へ繋げていくためのネットワークを整備するには、ひとりで出来ることには限界があり、個々の事情を複数で共有する課題として捉え、共に新たな活路を見いだそうとした<アーティスト・コレクティブ>としてDANCE BOXが始動したということです。この経緯の上に現在のDANCE BOXの活動があります。

②については、DANCE BOXには100席弱の小劇場<ArtTheater dB神戸>と(多目的ダンススタジオ)<studio dB Kobe>の2つのスペースを構え、活動を展開しています。DANCE BOX自らが運営する劇場は2002年に大阪・新世界のフェスティバルゲート内に<Art Theater dB>を設置したことが始まりで、2007年に閉鎖を余儀なくされて数年間にわたって次の場所を探す時も「場所があること」は絶対の条件でした。現在は、レジデンス事業や「国内ダンス留学@神戸」等のある一定の期間にわたって実施するプログラムに重きをおいており、<つくる現場>と<見せる現場>が地続きに接続しながら展開できる環境づくりを目指しています。

最後の③について、これは現在の私たちの活動で、最近とみに前面に出ているように見える点ではないかと思います。
2007年までの大阪時代のDANCE BOXの活動は、①(おもに)コンテンポラリーダンスを取り扱うこと、②劇場が拠点であることは欠かせなかったが、③大阪(千日前/新世界/新大阪)に位置することは、プログラムによっては重要なファクターにはなったが、全てのプログラムの底辺に流れるものではなかったと言えます。
なぜ、「③新長田に位置する」ことが、プログラムを成立させる上で、恒常的に必要な要素になったのだろうか。2009年4月に私たちが拠点を移したばかりの時は、現在のような活動展開になることは全く予想もしていませんでした。大阪の地を離れて、三宮よりも西にある「新長田」という地域。そこがどういった場所で、どのような人が住んでいて、どのような文化が嗜まれているのか、関係者の方々とは事前にお会いしたりしたものの、ほとんど知らなかったと言って過言ではありませんでした。唯一知っていたことは「阪神淡路大震災」で非常に大きなダメージを負った地域であるということでした。
私たちが、新長田で活動を開いていくためにまず行ったことは(身体ごと投げだすかのように)地域の方々と出会いながら、新長田のまちについて知ることからでした。



写真:倉科直弘

■横堀 ふみ(よこぼり・ふみ)■
NPO法人 DANCE BOX プログラム・ディレクター/制作
平成18年度文化庁新進芸術家国内研修制度研修員。平成20年度ACC(Asia Cultural Council)のグラントを得て、約6ヶ月間にわたり、アジア6カ国とNYにおいて舞台芸術の実態調査を実施。おもにアジア間におけるネットワークの構築を目指し、レジデンス・スペースや劇場、フェスティバルのディレクターらとの交流促進を行っている。


ピックアップ記事

令和5年度「北海道戯曲賞」七坂稲が大賞受賞

Next News for Smartphone

ネビュラエンタープライズのメールマガジン
登録はこちらから!

制作ニュース

ニュースをさがす
トップページ
特集を読む
特集ページ
アフタートーク 
レポートTALK 
制作者のスパイス
連載コラム
地域のシテン
公募を探す
公募情報
情報を掲載したい・問合せ
制作ニュースへの問合せ


舞台公演チラシをご自宅へ NEVULAのチラシ宅配サービス「おちらしさん」お申し込み受付中

フェイスシールド・消毒液など、ウイルス対策グッズ販売中!