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ぴあ「定価リセールサービス」~観客創造への一手となるか?

14.08/28

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ぴあ株式会社(以下、ぴあ)による、チケットの『定価リセールサービス』が7月から開始された。行けなくなったチケットを別の希望者へ再販することを可能にしたこのサービスは、大手プレイガイドでは初の試み。二ヶ月が経過した今、サービス設立の背景や現在の利用状況をぴあ担当者に聞いた。(担当:永滝陽子)


■定価リセールサービス■
「チケットぴあ」Web サイトでチケットを購入後、何かしらの理由で公演に行けなくなったユーザーが、クレジット決済済みで未発券のチケットであれば、チケットを希望する別のユーザーに対して定価で再販売(リセール)できるサービス。興行主催者が適用を認めた公演が対象となる。

 

ユーザーの希望が出発点

 

山中伸浩さん

ぴあライブ・エンタテインメント統括局バリューイノベーショングループ・グループ長の山中伸浩さんによると、サービス企画自体は2年前から検討していたという。「チケットぴあサイトのユーザーからの問い合わせで最も多いのが、ID・パスワードに関するもので、次に多いのが『(チケットを購入後)行けなくなってしまった』『購入を取り消したい』というもの。キャンセルはいかなる事由であってもすべてお断りするしかなく、この状況をなんとかしたいと考えていました」(画像:山中伸浩さん)。

だが安易にチケットをキャンセルできるだけのシステムではなく、いわゆる「オークションサイト」との差別化や、高額転売行為への対策という視点も重視した結果、定価でしかチケットの売買ができないという現在の仕組みに繋がっていった。

リセールマッチ率は65パーセント

サービス開始から約二ヶ月、オークション対策の効果は顕著に出ているという。リセールの申し込みは、公演当日間際と、他プレイガイドでの先行販売が集中する時期に購入されたチケットが最も多い。購入希望者の多くは「チェックリスト※」によるアラート登録を利用して、それらのチケットを購入する。「これまではそうしたチケットの大半がオークションに流れていたことを考えると、オークション対策としての効果は出ているのではないか」と語る山中さん。リセールされたチケットの購入が成立する「マッチ率」は65パーセント。山中さんたちにとっても、開始二ヶ月でこの数値は予想以上に高いものだった。
※「チェックリスト」サービス…チケットの発売情報を事前に登録、アラートメールが届くサービス

「Jポップ」の次に需要の多い「演劇」

演劇ジャンルにおける定価リセールサービスの利用状況を聞いてみると、一番需要が多いのは「Jポップ」で、次に多いのが「演劇」だった。サービスを利用する年代は、若い人からシニアまで平均的に分布するぴあユーザーの傾向がリセールにもそのまま出ており、「チケットぴあの会員IDがあればすぐに利用でき、ぴあが仲介することによる安心感から、演劇公演のユーザーの皆さんにも使っていただけているのではないか」と分析する。

興行主催者の反応

同サービスを立ち上げるにあたり、興行主催者の反応はどうだったのだろうか。「どのジャンルでも『まったく駄目』と言われることは少なかった。主催者様には今後も引き続き、詳しいレポートを提出しご説明していく予定です」と山中さん。現在、ぴあにチケットを委託する全興行数の約半数がリセール対象公演となっており、主催者との金銭的な契約はないという。その理由については「そもそもこのサービスはカスタマーケアー(CS)の観点から出発しています。リセール希望者からは、サービスが成立すると手数料10パーセントをいただいていますが、開発費やサービスの維持運営費などもかかっており、当社に利益が出るようなサービスではありません。主催者様には、いまのシステムでは金銭的なものをお返しするのは難しいとご説明しています」。

小澤聡子さん

広報室・チーフディレクターの小澤聡子さんは、サービス導入の大きな目的についてこう語る。「お客さまが気軽にチケットを購入できる機会が増え、結果的に『観客が増えていく流れ』ができるなら、ぴあとしては儲けが出なくとも、エンタテインメント業界の更なる活性化に繋がる、それはサービス導入の大きな目的の一つです」。実際に、海外のリセール販売の大手サイトでは、チケット委託販売とリセールによる二次流通サイトを並べて同時に利用できようにした結果、チケットの購入率が60パーセントほど上がったというレポートがあるという。山中さんは「同種のことは、ぴあの定価リセールサービスにも期待できる」という(画像:小澤聡子さん)。

舞台公演向けサービスとして成長を期待

最後に、今後の取り組みについて尋ねた。「このサービスは、とくに舞台向けのサービスに育って欲しいという思いがある。音楽などのジャンルは、アーティストの名前がわかれば前もって公演のイメージは描きやすいものだが、舞台公演はふたを開けてみるまでわからない部分がある。このサービスによってお客様がチケットを気軽に購入できるようになれば、ゆくゆくは主催者様への還元にもつながっていくのではないか(山中)」「ぴあとして、お客様や主催者様が抱える『ちょっとした課題』に寄り添い、その解決に向け『もう一歩できること』に取り組んでいきたい(小澤)」


「一度購入したチケットはキャンセル不可」というこれまでの慣習に、大きな石を投げたとも言える同社の新サービス。単なる自社売り上げを伸ばす策と捉えるか、観客創造へのあらたな可能性を切り開く一歩と捉えるか。いちプレイガイドにとどまらず、「カルチャーの担い手」として日本のエンタメ業界を牽引してきたぴあの今後に期待したい。

◎関連サイト◎
【大手プレイガイド初】チケットぴあ「定価リセールサービス」スタート|News-Headline


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