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「舞台制作インターンのよりよいあり方」参加者レポート・感想

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9月に実施した制作塾オープンサロン「舞台制作インターンのよりよいあり方」の参加者である田渕瀬那さん(東京学芸大学 在籍)に、ご自身の視点から話し合いの内容と感想をまとめていただきましたので、ご紹介したいと思います。

 


オープンサロン「舞台制作インターンのよりよいあり方」。近年では当たり前のように定着してきている「インターンシップ」という制度だが、舞台芸術の世界ではどのような状況になっているのか。インターンシップを受けたい・あるいは今まさに受けている立場の人と、それを受け入れる立場の人……。関わるジャンルも属する団体も、これまでのバックボーンもそれぞれに違う、実に様々な視点を持った参加者がそこに集まった。

 

講座開設のきっかけは、受け入れ側・インターン生側双方の視点から見えてくる複雑なインターン制度にまつわる現状。「各人にしっかりケアをしたいが、事業を抱えながらでは十分なサポートができない/修了しても雇用が保証できるわけでない(現状余裕がなく皆無)/授業の一環等、志望者のモチベーションが曖昧なケースもある」。またあるいは、舞台制作インターンを志望するも「情報がまとまっておらず思うように情報収集ができない/募集時期がバラバラで、条件差を比較しようにもできない/インターンを通しやりたかったことと任せてもらえることのギャップがある」などなど。これまで聞こえてきた声に反応する形で、では舞台制作インターンのよりよいあり方はどんなものとできるだろうかと探る場が今回となった。

 

事前に質問のあった「現場での人材育成についてどのような考えをもっているか」ということを含め、「各団体のインターンシップの目標」「インターンシップやボランティアの募集方法や採用基準」「参加条件と待遇などのバランス」「舞台制作志望者と、“舞台に興味がある”程度の参加者への接し方」「任せる仕事の内容とフォローアップ」の5項目を軸に、ざっくばらんに各人で現状をシェアし、インターンシップについて考えを及ばせる機会となった。15名程度だったので互いに話しやすく、時に質問もまじえつつなごやかに活発に進行していった。

 

立場としては志望者側の人間として参加していた自身にとって、個人的に印象に残った話は、相当なプレッシャーで皆が口をそろえた「社会人としての基礎力を学ばせる余裕がないので新卒ですぐに舞台芸術の世界にとびこむリスクは非常に高い」ということと、一方で、日々“歩兵”を欲する現場としては若いうちに飛び込んできてくれるほうが育てられる、ケータリングや票券等いつしか皆“その道のプロ”となって欠かせない人材となっているといった話。また、現場に職業者として出る前に経験しておくべき未経験のことや苦手なことを、インターンとして携わることで経験させておく意図的な“あえてのミスマッチ”があるということ、インターンの期間がその人にとって「この仕事に本当に就くか、就けるのか」をじっくり考える時間となることなどだった。これらは既に現職の方々・インターンシップを受け入れる側としての視点をもった方々だからこそ出てきた話だったので、なるほどと思う部分が多々あった。

 

参加していてなによりよかったと思うのは、その場に集まったのが制作者だけでなくまた志望者だけでもなく、芸術支援に携わる立場の方から劇場・カンパニー・アートフェスの現職の制作の方、舞台制作を志す方と、複数の立場の人だった点である。これにより広い視野で多角的にインターンシップの現状・課題を捉えることができ、約2時間半という短い時間ながら舞台制作インターンのよりよいあり方を探り、各人で舞台制作のインターンについて改めて思いを馳せる実に充実した濃密した時間を過ごすことができた。

2014年11月17日 スタディノート