Next舞台制作塾

[武田知也ゼミ] 制作者たちが考える実践型アーツマネジメント ―舞台芸術の可能性を拡げる基礎スキル

こんな方に向けた講座です

長期的に舞台芸術に関わる仕事を続けたいと考えている制作者・劇場職員

 

アーティストの活動や作品を社会と結びつける方法を学びたい方


第一線で舞台芸術と社会を結び付ける活動をしている制作者たちが登壇する「実践型アーツマネジメント」の講座です。
講義では、企画・広報・助成金申請など様々な局面でアーツマネージャーに必要な「ことばを作り、伝える」力をトレーニング。
また、ゲストの事例紹介や舞台制作者の職能分析を通じ、一人一人の参加者がプロとして仕事を長期にわたり続けていくためのビジョンを、講師・ゲスト と共に描いていきます。

ゼミでは面談をはじめ、様々な角度から受講者をケア。一人一人の目標の設定・達成を補助していきます。


ナビゲータープロフィール

武田知也
1983年神奈川県横浜市生まれ。2006年、NPO法人アートネットワーク・ジャパン(ANJ)入社後、「にしすがも創造舎」の運営とプロジェクトの企画・制作に従事。稽古場協力を通した若手アーティストの制作支援、子ども向け舞台の制作、コミュニティ・カフェ「Camo-Café(カモ・カフェ)」のプロデュースに携わる(~10年)。08年からは国際舞台芸術祭「フェスティバル/トーキョー」の立ち上げから事務局スタッフとして関わり、11年〜13年には制作統括を務める。プロデュースに関わった主な作品・プロジェクトに、維新派『風景画』(11年)、地点『光のない。』(12年)、F/T13オープニング・イベントなど。舞台芸術制作者オープンネットワーク(ON-PAM)理事。

講師からのメッセージ

制作って何をする仕事ですか?と問われると、演劇公演において脚本、舞台の演出(照明など全プラン含む)、舞台設営、本番進行、出演以外のすべてをやる仕事だ、と答えることが多いのではないだろうか。確かに、公演の企画段階から精算まで全セクションのことを把握し進行していく役割で間違いではない。私もそう理解し説明してきた。だが、この「すべて」と表現してきた曖昧さに、日本の舞台芸術における制作職の未成熟さの一旦が現れているのではないか、とここ最近考える。本当に「すべて」やっているのならばとても素晴らしいのだが、企画、広報、営業、ファンドレイズ、チケット、公演期間の運営、会計、団体運営・経営…等々、そしてアートに対する価値構築、判断。制作者は本当にこれらすべての「専門家」として機能できるのであろうか。これを一人でやりきれるほど、作品(プロジェクト)を作り世の中とつなぐということは簡単ではないのではないか。もちろん一つ一つの仕事をすべて分業するような組織体制、経済力を一足飛びに望むのは非現実的だ。そのことが良いとも限らない。だが、制作職に関わる一人一人が自分の仕事=専門性をより先鋭化させていくことで、結果的にアートや舞台芸術のマネジメントに関わる職の幅や質の豊かさを創り出していくことはできないか。このような考えから、この講座では舞台芸術の制作職に関して今現在必要とされる一つ一つの職能をできる限り俯瞰&分析し、捉え直していきたい。

一方、演劇という概念自体がそうであるように、制作職の役割や概念は時代や場所と共に拡張・変容してきたし、これからもそうなっていくだろう。この当たり前でありながら現場にいるとつい忘れがちなことを押さえつつ、拡張や変容の先にある未来のアーツマネジメントの複数の可能性を探る機会にもしたい。そのためには私と講座生だけでの発展はなかなか望めないので、現場の一線で活躍する制作者(Next舞台制作塾ならではということで)をお招きし、ゲスト講師が取り組むプロジェクト・公演を事例に、芸術活動と社会をつなげていく構想力とそれを着地させていく方法を考えたい。11月は私とゲストの話しが中心になりそうだが、12月23日の長い一日に講座生でワークをしたいと思っているので、それに向けた準備もしていくことになるだろう。

年が明けた講座の後半では制作者にとって数多必要であろうスキルの中から、「ことばを作り、伝える」ということに着目して開催する。公演やプロジェクトの展開イメージ・問題意識が芽生え、それを企画に落とし込み、最終的に対象とする観客まで届けるのが制作者の仕事だとすれば、その時必ず必要になるのは、多様な他者を巻き込んでいく「ことば」を見つけ作りだすこととそれを伝える作業だ。私がこれまでの仕事で協働した鈴木理映子氏と望月章宏氏をゲスト講師に迎えることで、講座生自身がこの二つの力に出会うきっかけとなればと思う。このような講座は両氏もこれまであまり行ったことがないとのことなので、講座生には貴重な機会となるだろう。

ということで、今回はこのような機会をNextさんからいただき、私自身が準備の過程で多くのことを学んでいるし、講座を通して私自身も多くを学べる構成を考えた。制作職を志す学生、20代~30代の私と同世代の制作職の方々に参加いただけたら嬉しいと思っているが、講座を通して講座生自身が自身の職能を見つめ、5年後、10年後くらいまでの未来の姿を共にイメージできるようになればと考えている。(武田知也)

ゲスト講師

植松侑子(フェスティバル/トーキョー 制作チーフ)
鈴木理映子(編集者/ライター)
田嶋結菜(地点 制作)
橋本裕介(ロームシアター京都/KYOTO EXPERIMENT プログラム・ディレクター)
松本花音(制作)
望月章宏(フリーランスPR/フリーランスプロデューサー)
ほか

カリキュラム

日にち テーマ 日にち テーマ
1 11/5(水)19:00-21:00 7 1/7(水)19:00-21:00
2 11/12(水)19:00-21:00 8 1/14(水)19:00-21:00
3 11/19(水)19:00-21:00 9 1/21(水)19:00-21:00
4 11/26(水)19:00-21:00 10 1/28(水)19:00-21:00
5,6 12/23(火・祝)13:00-17:30(途中休憩あり)    
「舞台制作者の職能、徹底分析!partⅡ」
劇団、制作会社、フェスティバル、アートプロジェクト、劇場、アート支援組織……etc、各所に広がる制作者の役割を分解し、ひとつひとつの職能をとらえ直す。4月に開催したオープンセミナー「舞台制作者の職能、徹底分析!」からより一歩踏み込み、制作者が仕事で直面する具体的な事例を参照しながら、講座生が自身の志望や、今後の課題を考えるレクチャーおよびワークを行う。
「劇団制作の可能性」ゲスト講師:田嶋結菜
2013年、自前の稽古場兼アトリエ「アンダースロー」をオープンさせ、国内外の劇場やフェスティバルとの共同製作・ツアーと並行して、ほぼ毎月のように上演を行う劇団地点。アンダースローのオープンと共に実施されたカルチベート・チケットシステムや今冬から始動するカルチベート・プログラム、紙&オンラインにて毎週発行されるチラシ「CHITEN BEAT」など、次々と新たな試みをリリースし、その活動の幅は「劇団」の可能性を押し広げている。劇団創設から制作を担当する田嶋結菜さんをゲストに、劇団制作としての思想・理念とスキルを学ぶ。
「これからの公共劇場の制作」ゲスト講師:橋本裕介
2016年1月に京都市がオープンさせる公共劇場「ロームシアター京都」の事業課長に就任したKYOTO EXPERIMENTディレクターの橋本裕介さん。インディペンデントのプロデューサーとして活動してきた橋本さんがあえて公共劇場の内部に入り、新たな公共劇場のモデルを模索するという。その構想からこれからの劇場制作者のあり方を考える。
「制作者のことば」ゲスト講師:鈴木理映子
確かなかたちが全くないところから作品構想、プロジェクトの価値を世に伝え、公演が終わればそれが何だったのかをまとめ、次のプロジェクトへとつなげていくのも制作者の仕事の一つ。そのとき重要な影響を及ぼすのが企画をより正確に表現し、時には企画の可能性や価値を引き伸ばす「ことば」だ。シアターガイド編集長を経て現在はフリーの編集者、ライターとして活躍する鈴木理映子さんをゲストに、自分なりの「ことば」を発見し磨くコツ、文章を作るスキルに着目したレクチャー&ワークを行う。
「多様な他者をつなぐ力」ゲスト講師:望月章宏
異なる個性やイニシアティブの足し算、掛け算が観客も含めて有効に働いたとき、そこには新しい価値が生み出され、人々を惹きつけるプロジェクトになる。その仕掛け人となるのも制作者の役割の一つだ。フェスティバル/トーキョーや札幌国際芸術祭など、公共の大規模な文化イベントのPRを担う一方、ファッション、アート分野等ジャンルを横断しながらプロジェクトのプロデュースを行う望月章宏さんを招き、多様な他者をつないでいく力を学ぶ。

募集概要

フォロー制度 各回、録画をしており、稽古や公演などのために欠席した回の視聴が可能です。
※映像データの貸出はしておりません。Nextセミナールームでの視聴となります。
受講料 一括13,000円(税抜き)
定員 25名
会場 Nextミーティングルーム(東京都江東区亀戸7-43-5 小林ビル 2F)
アクセス>>
申し込み
問合せ
※受付は終了しました。
有限会社ネビュラエクストラサポート
Next舞台制作塾事務局
TEL.03-5628-1325
e-mail Next@next-nevula.co.jp

提携:豊島区立舞台芸術交流センター あうるすぽっと/NPO法人アートネットワーク・ジャパン
助成:

アーツカウンシル東京(公益財団法人東京都歴史文化財団)

2015年05月25日 終了講座