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キーワード:東京、地元密着、演劇祭、盛り上げる 制作塾オープンサロン・東京の地元密着型演劇祭を盛り上げよう

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舞台制作塾事務局の斉木です。4月19日、制作塾オープンサロン・東京の地元密着型演劇祭を盛り上げようを開催しました。話題提供者も含め、24名の方がこのテーマに集まりました。「東京、地元密着、演劇祭、盛り上げる」の四つのキーワードをテーマに盛り込んでおり、どれも一つ一つ深掘りできるテーマではありますが、今回はこれらを横断的に見ていきながら話を進めていきました。

 

演劇祭とは?地元密着型演劇祭のさまざまなタイプ

演劇祭は、ある期間に、何かしらのテーマ性を持って、集中的に上演が行われるイベントです。演劇祭には、大きなテーマを掲げて広範囲にわたって行われる大型の舞台芸術祭と、局地的に実施される小規模な演劇祭があります。小規模な演劇祭は、自治体が主導して実行委員会を結成しているもの、民間の団体が主導して行うもの、民間の団体が持ち小屋を使って行うものなど、さらに細かく分けられますが、今回はこうした小規模なものをまとめて、仮に「地元密着型演劇祭」と呼ぶことにしました。
 

今回は、話題提供者として三名の方にお越しいただきました。佐藤佐吉演劇祭佐藤佐吉ユース演劇祭を行なっている王子小劇場の芸術監督・北川大輔さん(カムヰヤッセン 脚本・演出)、したまち演劇祭in台東の企画運営をされている有限会社ぷれいす代表取締役の飯田亜弓さん、下北沢演劇祭の実行委員会事務局を務める本多劇場で制作部の半澤裕彦さんです。

 

このお三方の担当されている「地元密着型演劇祭」には、こういった違いがあります。

演劇祭 目的・内容・特徴
したまち演劇祭in台東 区の魅力を高め、移住者を増やすことも視野に入れたブランディングとしてカンパニーをサポート。ともに演劇祭をつくるパートナーになってくれるような団体に参加して欲しい。
下北沢演劇祭 地域のお祭りとして始まった演劇祭で、区民が参加する演劇公演の枠組がある。演劇のまち・下北沢として、劇場の外に出ていきたいという意欲から、今年は劇場の外に出ていくことを試みた。
佐藤佐吉演劇祭 若手育成の理念を掲げたセレクション型の演劇祭。高齢化の進んだ地域が拠点であったことから、図らずもまちに若者を呼ぶきっかけを作ってきた。

 

企画・運営側と参加カンパニーのwin-winな関係 目的共有の重要性

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演劇祭に参加するカンパニー側の参加者からもお話を伺いました。演劇祭に参加する動機は、より多くの人に団体や作品を観てもらい、次のステップにつなげるためだといいいます。また、参加団体同士が交流し、刺激し合うことを求めているという意見もありました。しかし、企画・運営側と参加カンパニーがお互いに良好な関係性を築き、一体感を生み出していかないとwin-winであることは難しくなります。ここに温度差が生じてしまうという悩みも挙がりました。こういった問題は、どうしたらいいのでしょう?

 

ディスカッションでは、まず理念と目的を共有することの重要性が挙がりました。「こういう演劇祭にしたい。自分たちだけではこれしかできないけど、みんなと一緒にやればシナジーが生まれます!」と、演劇祭側が参加カンパニーに呼びかけて巻き込んでいくことで成功するという例は、非常に説得力がありました。

 

演劇祭によって理念や目的が違うため、成功の基準は一つではありません。それぞれの特性に応じた工夫で一体感を作り出す例もいくつか挙がりました。市民サークルの発表会、コンペティション型の演劇祭、セレクション型の演劇祭、地域のお祭り……それぞれ演劇祭の目指すところ、参加カンパニーの性質や求めているもの、観客の層も違っているでしょうから、一体感の作り方はそれぞれの特性に応じて、いろいろな方法が考えられそうです。

 

誰に向けた演劇祭?

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会の最後には、「誰に向けて発信し、誰と盛り上がりたいのか?」という議論が浮上しました。「こういう作品を観てほしい」ということと、「演劇そのものを知ってほしい」ということでは、目的がずいぶん違います。とはいうものの、「演劇そのものを知ってほしい」場合の観客は観劇初心者であり、観劇初心者なら「こういう作品を観てほしい」というアプローチが大切になる、というような関係性もあります。タイムアップのためあまり議論の時間が取れませんでしたが、両輪が重要だということを確認して、今回のサロンは終了しました。

 

これまでの議論を踏まえ、いろいろなタイプの演劇祭があることを考えると、この「誰」の部分は演劇祭によって違うということになります。いま取り組もうとしている/参加しようとしている演劇祭は誰に向けたものなのか?これを考えてみることによって、どういう演劇祭にしたらいいか、あるいはどういう参加姿勢が求められているのか、どんなことをしたら盛り上がるのか、いろいろなことが見えてきます。

 
 


テーマに色々な要素を盛り込みましたが、このようにまとめてみると「企画の重要性」と「周囲の巻き込み方」という二点に集約されていったサロンだったように思います。また、参加者からお話しを聞き、まだ参加したことのない地元密着型演劇祭がたくさんあることを知りました。事務局調べによると、東京には20以上の地元密着型演劇祭があります。いろいろな演劇祭に足を運び、そこでどんなことが行われているのか、引き続きリサーチしていきたいと思います。

 

2016年05月09日 講義・セミナーレポート