制作ニュース

PINstage高崎の 「さくてきネクステージ from 福岡」Vol.9

12.12/25

今年も残すところ10日あまりとなりました。最終回となります今回の「さくてきネクステージ」では、福岡や九州の今後の展望や、他地域や韓国との交流などについて触れていきたいと思います。

まずは今後の展望についてですが、今後、地域演劇シーンに入ってくる人材は減っていくだろうと考えています。
ひとつには、少子化に伴う国内の人口減(母数減)があります。もうひとつは趣味や価値観の多様化により演劇活動以外の選択肢も増えてきたことや演劇のような濃厚な人間関係を要求される活動が避けられている傾向があることで、演劇シーンに入ってくる率が低下するだろうということです。

母数と率は、いずれもあがる見込みはありません。演劇シーンに入ってくる人材が減少することは避けられないでしょう。「ガラスの仮面」クラスの人気漫画が出るなど、よほどの追い風がない限りは地域演劇の劇団数や公演数は減ってくると思われます。
量は質にも影響しますので5年後、10年後を考えた時に展望が明るいとはいえません。

福岡・九州はこれまでの5年間とこれからの5年間がもっとも重要な時期だと考えています。ここでどれだけ踏ん張れるかによって、20年後の安定飛行できる高さが決まってくると見ています。
スクリーンショット(2012-12-16 11.57.36)

現在活動している劇団が、活動の質を上げ規模を広げることによって地域演劇シーンの存在感を増していくこと、そして地域全体の表現団体の創作への意識や基本的ノウハウのレベルの底上げ、それくらいはやって当たり前できて当たり前という水準を上げていくことが重要です。

九州では、県域を超えたネットワークがほぼ確立していますが、そのネットワークを切磋琢磨につなげるのか、コミュニティ化にとどめるのかは、各表現団体の意識次第で、今後の推移を見守って行きたいと思います。

福岡市に限って言えば、2035年まで人口は増え続けるという人口推計がありますが、高齢者の人口増によるものであり、20代の人口には大きな変化はないようです。それでも相対的に有利な状況といえるでしょう。九州の他地域から人口を吸い上げることで、人口を維持する福岡には大きな責任があります。

2017年に、福岡では創造事業も視野に入れた公共劇場の開業が予定されています。この劇場が規模性を生かし、九州の演劇人材育成に成功すれば未来は明るいかもしれません。

九州と他地域の交流状況についてですが、国内では東京や大阪とのつながりがもっとも太く継続性がある状況で、これは今後も変わらないでしょう。
海外に目を転じれば、韓国との交流が見られます。しかしながらその交流状況は単独の劇団や単独企画での交流にとどまる範囲で、今後これが大きな流れになることは難しいと思っています。
現在の交流状況は、例えるならばチャーター便を飛ばしているようなものです。この頻度が上がり定期便になるためには、単独の劇団や単独の企画ではなく、もっと多くの団体や拠点がそういう企画をやる必要があります。

演劇は言語に大きく依存するメディアなので(少数の例外はありますが)海外公演に適した活動や作品は多くの活動や作品があって初めて生まれてくるものでしょう。福岡や九州の規模性では、海外との定期便になるほどの企画数を備えることは難しいでしょう。
もちろん例外はあるべきですが、九州内で十分な観客が獲得できているわけではない状況で、海外に重点を置くのも大きな流れとしては違うように思います。

最終回はやや暗い話になってしまいましたが、多くの地域でおそらくこのようなところが現実なのではないかと思います。地域演劇自体はマクロ的には縮小が避けられないとおもいます。しかしながら演劇文化が滅ぶことは絶対にない。問題は安定飛行できる高度をどうやって高く保つのかということにあるだろうと思います。
各地域のアートマネージャーには、各地域の状況を広くバランスよく長期的な視点でみて、限られた資源をもっとも有効な部分に投入していくことが求められます。

最後になりましたが、これまでのご購読に感謝いたします。


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■高崎 大志(たかさき・たいし)■

地域演劇プロデューサー NPO法人FPAP事務局長 九州地域演劇協議会理事・事務局長
高校の時より演劇をはじめ大学演劇部をへて在学中に劇団旗あげ。役者・制作・照明・舞台監督を担当。

2003年NPO法人FPAP設立、事務局長。演劇公演企画やセミナー・ワークショップ等の地域演劇振興の自主事業の企画、地域演劇の劇評や、福岡・九州の演劇状況、国内の芸術環境格差に関するレポートなども手がける。
2008-10年(財)広島市文化財団 南区民文化センター主催「若手演劇制作者育成講座」講師。09年金沢市民芸術村「地域演劇制作者のための実践的制作講座」講師。2010年福岡・九州地域演劇祭の総合プロデューサー。

NPO法人FPAP:http://www.fpap.jp/

個人ブログ:http://sakuteki.exblog.jp/

twitter:@tahahahi


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