制作ニュース

当事者たちのQSC(2)[主催者の視点から]

19.03/15

やはり、編集した方が面白い

園田 どんな視点でも構いませんので、QSCで得た気付きについて教えてください。
永滝 私はノミネート会議に参加させてもらっていましたが、選定については、明確な加点基準が設けられている訳ではなく、あえて作品の全体像から各自が自由に決めていたなあ、と。運営側も審査員の方々もそういう感じでしたよね。でも運営側が望む作品ばかりが選ばれることもなく、むしろバラエティに富んでいた。
森脇 演劇は、最終的に好き好きだと思うんですよ。それはもう個々の趣味の範疇じゃないですか。だからこそ皆さんの意見を聞きたいし、それでいいじゃないかと僕自身は思っていて。
永滝 なるほど。
森脇 気付きの話、少しネガティブなことでもいいですか? 僕が6回やって気付いたことは……、やはり、編集した方が面白いです。
一同 ええっ!?
森脇 それにはちゃんと理由があり、先程の糸永さんの話に繋がるけれど、YouTuberがアップする映像は2〜3分の動画でもしっかり編集されています。しかも食い気味(※間を詰める)で、僕がテレビ番組を作っていた頃のテンポよりガンガン早い。これが今の特徴。1秒単位で飽きさせない工夫というか、なるべく短い尺で面白いことをやろうとする。そのYouTubeという大海原で生き残る為には、上手な編集が必須。15分ノーカットというルールにとって厳しい時代になってしまった。

別個の「演劇の本質」を見つめ直し、その視点から関われた

糸永 「作品として編集した方が正しい」という気付きは良いと思うし、それ自体はネガティブじゃないよ。つまり我々は15分ノーカットの演劇動画を通して、演劇の本質的な面白さと向き合ってきたのだと思う。台本の大切さ、俳優の演技、それらを浮き彫りにするには、やはり編集してはいけなかった。ガンガン編集して、ガンガン効果を足していけば、映像作品として面白くなったかもしれない。でもQSCは、それを探すコンテストではない。みんなそれぞれ別個の「演劇の本質」を見つめ直し、その視点からコンテストに関わるのがQSCだった。
永滝 そこ、大きなポイントですよね。
糸永 森脇が言うように「これを編集したらもっと面白くなる」と、おそらく参加者自身も感じていたと思うんだ。でもそれは「演劇公演ならどう表現するか?」とか「自身にとって面白い演劇とは何か?」ということに繋げていくための、格好のハードルだったんじゃないかな。QSCはショートフィルムのコンテストではなく、演劇動画のコンテストなのだから。

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