制作ニュース

当事者たちのQSC(2)[主催者の視点から]

19.03/15

QSCの特殊性が時代と共に薄れてしまった

永滝 投稿数の変遷はどうですか?
森脇 1回目が110本、2回目が80位に落ちて、それ以降は80から100の間を行ったり来たり。不思議と増えもせず減りもせず。
糸永 作品のクオリティは上がっていったよね。
森脇 1回目は「とりあえず応募してみる」みたいな人が結構いたけれど、2回目以降は「ちゃんと作り込まないと勝てない」ということが浸透したのだと思う。
糸永 6年続けてみて、QSC自体の変化はあまりないかもしれないけど、映像創作の環境は劇的に変化した。特に大きいのはYouTuberの存在。動画撮影のハードルが随分下がったと思う。 QSCをスタートさせた当初、少し特殊なことを提案している気持ちがあり、変わったコンテストになると思っていた。けれど6回目には、よくあるパターンというか、割と普通のコンテストになってしまった。これはコンテストを停止した理由のひとつでもあるけれど、QSCの特殊性が時代と共に薄れてしまい、運営側がオリジナルの面白さを提供することが難しくなった。自分たちでどんどん動画を撮り、それをアップしてお金を稼ぐ人達が増えた時代に「15分の演劇動画をエントリーして下さい」だけでは、少しパッとしないよなぁという気が。

一度立ち止まって考え直したい、そういうことです

永滝 6年の間にスマートフォンで撮影する作品も増えましたね。
糸永 世間のスピードは本当に早い。
永滝 それってQSC立ち上げ時に予想してました?
森脇 予想してなかったです。
糸永 もし次にQSCをやるならば、今日の状況に見合ったインフラも含めて、新しい提案をしなくてはいけない。
森脇 1人1個ヘッドセットを持つ時代が来たら、また開催してもいいかも。新しい演劇動画の可能性が。
糸永 VR(ヴァーチャルリアリティ)はアリかもしれないけど、そこで何を見せるのか? ということで、また根本に立ち返るよ。
森脇 劇場の桟敷に座っている感覚で観られる演劇動画があるならば、それはそれで面白いと思う。
糸永 演劇動画をYouTubeにアップすることで、その劇団の存在を知ったり、将来的に観客を増やしたり、演劇仲間を増やしたり、そういうことが起きればすごくハッピーなんじゃないかと。その機会を提供できれば……、というのがQSC立ち上げ時のコンセプトだけど、今ではそれが個人単位で可能になった。そうすると、QSCは何か別のメリットを提供する必要があり、それを一度立ち止まって考え直したい、そういうことです。

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