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- 「おなかも心も、満たされる」仙台ならではの演劇祭
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17.11/22
「おなかも心も、満たされる」仙台ならではの演劇祭 『杜劇祭スタイル』をめぐるインタビュー
宮城県仙台市内の街なかのカフェや居酒屋、レストランなどを舞台に行われる『杜の都の演劇祭2017』が、12月7日から2018年2月25日にかけて開催される。10周年となる今回、三浦直之氏(ロロ主宰)ほかをプログラムディレクターに迎え、全16プログラム、55公演が行われる。
同演劇祭は、世界中の戯曲・小説・詩・エッセイなどの文学作品を演劇化するリーディング(朗読劇)形式で行われる。お店の自慢の料理と共に、物語の多様性や奥深さを味わえるという「おなかも心も、満たされる」機会となっている。仙台では『杜劇祭スタイル』と呼ばれるようになった、演劇を楽しむ新しいカタチについて、演劇祭のプロデューサーをつとめる鈴木拓氏にメール・インタビューを行った。
-同演劇祭の立ち上げのそもそものキッカケは?
また翌2008年には、劇団四季が東北で初めてのロングラン公演を実施することになっており、合わせていくつかの劇場の改修工事が重なりました。一時的とはいえ表現する場に枯渇した演劇人たちにとっては、「どういう状況であれ、どこでも芝居はできるんだ」という矜持を持って企画に挑む、良い機会となりました。
-お客様はどのような方が多いのでしょうか?
また、アンケートを読むと、「観れて」ではなく「参加して」という表現がとても多く、客席で作品を消費するだけでなく、自身も参加している気分になっていただけているようです。これは企画側も意識していなかったことで、創客のヒントなのではないかと思っています。
(画像は過去開催より)
-この10年で見えてきたこと、形になってきたことは何でしょうか?
お客さんとの良い関係を築けてきたと思います。「普段劇場に足を運ばない、一般の方々に」というターゲットを意識しており、日常空間での公演が、演劇そのものに親しみをもってもらえているのではないかと思っています。映画やカラオケなどと同じように、フランクに選択できる演劇があること、また小さく専用空間ではないからこそ、お客さんとの距離(物理的にも、関係性的にも)が近いことで、創り手の意識も向上してきています。
また、お店を会場にしているので、足していく創作ではなく、マイナスすることが必要になることが多いのですが、そんな中でもやはり作品の質、演劇の本質的な醍醐味を失わないような作品を提供することが大事だなと思っています。
演劇文化に親しみを持っていただける方が増えた実感はあります。その一方で、劇場に足を運ぶ方々が激増しているわけでもないようです。むしろ「杜の都の演劇祭」は観るけど、劇場での公演は観ない、という傾向もあり、コアなファンに嬉しく思いながらも、次のステップの必要性を強く感じています。
・オリジナルプログラム 4本(地元クリエイションによる仙台市内街なかの公式プログラム)
・エクスチェンジプログラム 1本(那覇「なは街ナカ演劇シリーズ」からの招聘)ex
・コラボレーションプログラム 1本(大人のためのプレミアムマガジンKappoとの協働企画)co
・フリンジプログラム 10本 (公募によるオープンエントリー)
◆オリジナルプログラム
「モッキンポット師の三度笠」
2017年12月16日(土)、18日(月)
Forest Park 森のパルク
作:井上ひさし
プログラムディレクター(以下PD):丹野久美子(劇団I.Q150)
「演劇入門」
2017年12月23日(土・祝)~26日(火)
和醸良酒○たけ
作:平田オリザ
PD:横山真(丸福ボンバーズ)
「透明ポーラーベア」
2018年2月9日(金)・10日(土)
Pamplemousse 仙台店
作:伊坂幸太郎
PD:三浦直之(ロロ)
「星の王子様」
2018年2月17日(土)・18日(日)
COCTEAU
作:アントワーヌ・ド・サン=テグジュペリ
訳:池澤夏樹
PD:伊藤み弥
◆エクスチェンジプログラム
「地図」
2017年12月23日(土・祝)・24日(日)
宮城県 ラブミー牧場
作:太宰治
PD:当山彰一(劇艶おとな団)
◆コラボレーションプログラム
「臥竜の天」
(同公演チケット完売/追加席有の際はHPにて)
2018年2月9日(金)
仙台勝山館 日本料理 諄泉
作:火坂雅志
PD:澤野正樹(劇団 短距離男道ミサイル)
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