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インタビューシリーズ:TALK 〜森 隆一郎さん〜

16.03/24

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限られた世界のようでいて、実はさまざまな職種・活動が存在する舞台業界。そこに関わる多様な人々にスポットをあて、お話を伺います。(インタビュー:永滝陽子、構成・文:芳山徹)

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「互いに顔の見える関係性やコミュニケーションを重視しています」

アーツカウンシル東京 企画室広報調整担当課長
森隆一郎(もり・りゅういちろう)さん

2012年より東京都の芸術文化支援組織に所属。仕事の規模が大きくなればなおのこと、顔のみえる関係性に落とし込んで、細かく丁寧にやっていきたいと考えている。2020年にはオリンピックをむかえる。どんな大きな組織であっても、そこでモノをつくっているのは人だ。東日本大震災を経験してからは『ヒューマンサイズにこだわる』ことを心に決め、東京のアートシーンの広報担当を務める。

高校時代、宿泊研修(青年の家)で面白いお兄さん(社会教育主事)に出会い、「こんな仕事もあるのか」と感銘を受けた。大学で社会教育主事の資格を取り、卒業後、東京・江東区の財団に入社。そこで生涯学習講座の企画や、公共ホールの公演担当を務めた。並行してアサヒ・アート・フェスティバル(AAF)準備期間から実行委員会に参画。2007年、(開館を翌年にひかえた)いわき芸術文化交流館アリオスのマーケティング・マネジャーに就任。

マーケティング担当者としては、「施設の存在がコミュニティの中に入っていく」ことを意識した。広報紙の表紙には、公演情報ではなく市民の写真を掲載し、新聞折り込みで各戸に配布したり、市民企画によるアートプロジェクトに取り組んだりするなど、公共ホールの既成概念を崩すような取り組みを続けた。

「(アリオスのスタッフは)各自がいろんな方向を向きながらも、まとまりのある良いチームでした。AAFでもそうでしたが、そういうバラバラな人が集まるスタイルの方が面白いものが出てくる。施設運営やプロジェクトマネジメントにおいても多様な個人同士が互いに意見をぶつけながら力を合わせていく、民主的なプロセスが大事だと考えるようになりました」。

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2011年3月の東日本大震災。既存システムの機能が麻痺し、多くの人たちが立ちすくむ中、支援物資の運搬などで元気に活躍していたのは、アートプロジェクトや演劇、映画祭などに関わってきた市民たちだった。「できる!というポジティブなイメージをもって、色々な関係者を繋いでいく」アートプロジェクトの実践は、震災という緊急対応の訓練になっていたのかもしれない。「アートは、どこにでもアクセスすることのできる、そして何にでも化けることができる貴重な“ジョーカー”のような存在」、そんな思いも強めた。

現在所属するアーツカウンシル東京は、これまでの現場の仕事とは異なる中間支援団体。数年前にカルチャーシーンやクリエイティブコミュニティの視察で訪れたベルリンでは、「ジャンルレスな横のつながりが強く、面白いことが連鎖している」ことを感じた。東京のアートシーンの中にも、顔の見える関係性やネットワークをつくっていきたいと考えている。

「その繋がりの中に自分がいなくても、極端なことを言えば(そこで起こっていることを)見ていなくてもいいんです。欲がないのかもしれないですが、『東京という街が面白くてワクワクする場所であり続けていれば、それでいい』って思っています」。

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1966年生まれ、東京都出身

「2015年の10月末にこのインタビューをしてもらったんですが、その後、髄膜炎にかかり、約3ヶ月も休んでしまいました。そんなことで、この記事の掲載も随分お待たせしてしまい、関係の皆様にはご迷惑をお掛けしました。入院や療養生活を通じて、まさに『人の繋がり』の大切さを痛感しました」

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◇ アーツカウンシル東京


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