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矢作勝義の「劇場オープンまでの長い道のり from 豊橋」Vol.5

12.09/13

いよいよ9月、今年も既に後半戦に突入といったところでしょうか。前回も暑いと書いていましたが、夜の空気は少しずつ涼しくなり、陽も少しずつ短くはなってはきましたが、まだまだ日中は暑く、汗をかきかき書いてます。豊橋駅は、新幹線と在来線の駅があり、在来線の駅中にちょっとした売店というか出店がでていて、「あんまき」というどら焼きの皮をもう少し薄くしてしっとりしたような皮というか薄いホットケーキの皮であんこをくるんだものを売っています。中味は、小倉あん、白あん、チーズなどバリエーションがあり160円〜190円程度で売っています。これは知立市名物の和菓子なのですが、出張販売しており、なかなか人気で、ちょっと出かける時に何か食べたいなと思ったときに丁度良く、美味でもあり、時々買っては食べたりしてます。

さて、豊橋文化振興財団主催で8月上旬に人形劇フェスティバルと銘打ち豊橋市民文化会館ホールで上演した、平常「お花のハナックの物語」と「豊橋文楽」の公演にあわせて、大学生を対象としたインターンシップを行いました。豊橋市内にある愛知大学(私立)が、毎年8月から10月頃に市役所を始めとして様々な企業にインターンシップを受け入れを依頼しており、豊橋文化振興財団にも依頼があり、自主事業の実施にあわせて行いました。インターンシップを積極的に受け入れるには、現場の絶対的なボリュームが少ないので、現場実習と共に座学の講座も合わせて企画しました。

愛知大学には4年制と短大とがあります。4年制は学部により、名古屋駅前にある名古屋キャンパスになります。4年制の3年生と、短大の1年生は大学のカリキュラムとしてインターンシップを行い、3年生1名と1年生4名の5名がこの枠組みで参加。それ以外にも自由に参加可能な枠を設けたところ、4年制の1年生1名と、短大の2年生の1名、合計7名がインターンシップに参加してくれました。カリキュラムで受けている5名は単位になるはずですが、その代わりレポートや発表などが必要で、そうでない二人は全くの自主参加でした。終了後には、大学から担当助教がヒアリングにお越しいただき、丁寧にフォローしていました。私の大学生の頃とは全く違うんだな〜と実感しました。

初日はまずイントロダクションから。私の自己紹介を簡単にしたあとに、参加者の自己紹介を聞きました。全員女性です。事前にプロフィールを貰っていたので自己紹介を聞くまでもありませんが、豊橋出身者が5名、隣接する豊川出身者が1名、名古屋出身者が1名。

興味や演劇体験などを聞くと、ほとんどは演劇、舞踊や音楽などの舞台芸術に特に興味があるわけではなく、ちょっと美術が好きとか、何か面白そうだからということで応募してきたのでした。その中の一人は、今年の4月から愛知大学で教鞭をとっている吉野さつき先生の授業を受けていて、あまりに演劇をしらないので来たというのと、TEAM NACSの大ファンで北海道まで公演を観に行ったという人が一人はいました。他の6人はTEAM NACS知りませんでしたね。たしかにファンだというその子の回りも誰も知らないと言ってました。ということで、大半は劇場へ行ったという経験もほとんどなく、お芝居やダンスもほとんど見たことがないという状況でした。これは別に豊橋だからということではなく、かつて東京のある大学に非常勤で授業に行った時も、それほど大差ない状況だったので、現在の若年層の全国的な状況だと思います。

まずは、イントロダクションとして現在建設中の「穂の国とよはし芸術劇場」の事を中心に劇場という場が地域で行うこと、行えること、その効果と意味などについて話すとともに、舞台映像やワークショップなどの映像を見せたりしました。私が持っている舞台映像コレクションの中から、この秋に二兎社の「こんばんは、父さん」に出演して、参加者もテレビで知っている佐々木蔵之介さんの若かりしころの惑星ピスタチオでの舞台映像などを見せてこの日は終了。二日目は、平常さんのワークショップ現場実習、三日目は同じく平常さんの公演と公演終了後に実施したワークショップ実習。

二日間ほどお休みを挟み、四日目は、午前中は劇場法など劇場をとりまく状況についてを話し、午後から外部特別講師による講座が始まりました。今回はお二人の特別講師をお呼びしました。お一人は、いわき芸術文化交流館アリオス 企画制作課 第2制作グループチーフの前田優子さんで、もうお一方はプロデュースユニット ZuQnZ(ズキュンズ)主宰、劇団ままごと制作の宮永琢生さんです。前田さんには、劇場が劇場以外の地域に出向いて行う事業のことを、そして宮永さんには、小劇場の劇団の活動と制作の仕事についてを話してもらいました。宮永さんには「わが星」の映像も見せて貰いました。お二人とも、話しだけではなく、それぞれのテーマでワークショップ的に、企画を考えたり発表をしたりといったことまでやっていただけました。予想以上に企画を考えたり発表したりという機会が増え、参加者にとっても有意義な機会になったと思いました。

少し仕事のことから離れて、豊橋周辺の事を少し。レンタカーを借りて一日渥美半島をドライブしてきました。渥美半島は、豊橋市のお隣の田原市なのですが、まずは一気に先端の伊良湖岬へ。半島の先端には伊良湖灯台があり、ここからフェリーが三重県の鳥羽に向かって出ています。伊勢参りにはここから行くみたいです。車で太平洋沿いを走り、所々海岸に下りてみると、泳いでいる人はいないというか、どうも遊泳禁止のようでした。完全に外海なので海流も強く危険でしょう。天気もとても良かったので、日差しは強かったのですが、とても空が青く澄み切っていました。

場所によってはサーフィンをしている浜があったり、豊橋市に入ったところは、バーベキューをしていたり、少し泳いでいる人がいました。そこは、海岸沿いに崖が迫っていて、その上にパラグライダーの発着場があり、海からの風が丁度良く崖にあたって上昇気流があるようで、数多くのパラグライダーが空中を漂っていました。

さて、劇場建築現場も順調に工事は進んでいます。建物の中に機材などが入り始めました。こうなってくると、本当に細かい仕様が確定され、発注施行をひとつひとつ繰り返す状況になっていきます。例えば、鍵。施設としては、それほど大きなものではありませんが、当然のことながら数多くの扉があり、そして鍵があります。扉もどちらに開くことが必要なのか、そして鍵が必要なのか。必要ならどの様なタイプの鍵が必要なのか。消防法上の避難経路なのかどうか、セキュリティとしてはどういう構造が必要なのか。一つ一つを確認し、グルーピングをして、キープランを確定し、シリンダー等の建具の発注などをしなければなりません。確認をしたつもりでも、図面に反映させたときに抜け落ちていたりすることが無いように複数の人間の目で確認をしていくことになります。

これまでは時間など多少余裕がありましたが、ここからが正念場のようです。より具体的な事を決めていく段階になり、建物だけでなく、事業なども含め、開館に向けてさらに加速することになりそうです。

最後に、開館に向けて制作、技術とも新規にスタッフを募集する予定です。10月上旬から告知を開始する予定です。詳細は、豊橋文化振興財団のHPをご確認ください。制作については、どちらかというと若年層を対象にすることになります。新卒採用も検討しています。劇場の新規オープンの場に立ち会える機会はなかなかないと思います。全てがゼロからのスタートになるので現場はとても大変だと思いますが、きっとやりがいのある現場になると思います、というかやりがいのある現場にしますので、興味のある方は是非ご応募ください。そして、迷った場合はお気軽にお問合せください。それと、穂の国とよはし芸術劇場のプレサイトもオープンしましたので、そちらもご覧下さい。



■矢作 勝義(やはぎ・まさよし)■

1965年生まれ。東京都出身。公益財団法人豊橋文化振興財団『穂の国とよはし芸術劇場PLAT』事業制作チーフ。東京都立大学(現・首都大学東京)演劇部「劇団時計」から演劇に本格的に関わる。卒業後は、レコーディング・エンジニアを目指しレコーディングスタジオで働き始めるが、演劇部時代の仲間と劇団を旗揚げするため退職。劇団では主宰、演出、音響、制作、俳優を担当。ある忘年会で、当時世田谷パブリックシアター制作課長だった高萩宏氏(現東京芸術劇場副館長)に声を掛けられ、開館2年目にあたる1998年4月から広報担当として勤務。その後、貸館・提携公演などのカンパニー受入れや劇場・施設スケジュール管理を担当するとともに、いくつかの主催事業の制作を担当した。主な担当事業は、『シアタートラム・ネクストジェネレーション』、『リア王の悲劇』、『日本語を読む』、『往転-オウテン』など。また、技術部技術運営課に在籍したり、教育開発課の課長補佐を務めるなど、世田谷時代は劇場の何でも屋的な存在としても知られた。2012年3月末をもって世田谷を退職し、2013年5月オープン予定の“穂の国とよはし芸術劇場PLAT”の開館準備事務所にて事業制作チーフとして勤務中。


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