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インタビューシリーズ:TALK 〜福井 学さん〜

15.10/06

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限られた世界のようでいて、実はさまざまな職種・活動が存在する舞台業界。そこに関わる多様な人々にスポットをあて、お話を伺います。(インタビュー・文:芳山徹)

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「表現者・観客それぞれの『困りごと』を、動画配信のビジネスで解決する」

株式会社ネクステージ 代表取締役 福井学(ふくい・まなぶ)さん

2013年8月より、関西を拠点に定額制・演劇動画の配信サービス『観劇三昧』を開始。動画登録は無料で、かつ再生回数に応じて劇団に対価を支払うという事業だ。「デジタル企業としての成功というよりも、あくまで演劇事業で成功すること」を目指す。今年7月には下北沢に東京支社を設立し、全国展開を図っている。

24歳で個人事業主として独立。PCの販売・サポート、システム開発などで業績を伸ばしていたが、リーマンショック後に経営環境が急変した。あわや廃業、という瀬戸際に追い込まれたある日、役者をしていた友人から初めて演劇公演に誘われた。「この偶然のタイミングには、何かあるのかも」。

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インディペンデントシアター(大阪市浪速区)での初観劇。舞台の上に立つ友人を見たとき、衝撃が走った。「なんやこれは!まったく別の人間がそこにおる!」。その翌日には支払先に頭を下げに回り、廃業の危機を免れた。「もっと芝居を観るために、仕事を頑張らないと、という元気が湧いてきたんです」。

それ以降、沢山の観劇を重ねて関係者とも親しくなるにつれて、劇団や俳優たちの苦しい台所事情が見えてきた。また、自身の会社に入社した、車いすのスタッフへ観劇を勧めようと思ったが、障害を持つ人が気軽に足を運べる公演・劇場が極めて少ないことにも気付かされた。表現者と、観客の側のそれぞれの「困りごと」を、自分の仕事でなんとか解決できるのではないか? 「演劇動画の配信ビジネス」というアイディアにたどり着いた。

この1年ほどは、投資家(および提携先を模索する企業)にプレゼンするピッチ・イベントにも度々参加している。小さな会社でも動画配信というサービスが実現できること、そして観劇三昧が「全国に数多くある“劇団”というパートナーとともに成長する、レベニューシェア(※)のビジネスモデル」であることをアピールし、手ごたえを感じている。

「自分は演劇関係者ではなく、『一人の観客』だとよく言っているんです。観る側の空気感を大事にして、観客と一緒になって演劇界を盛り上げていけないかと、常に考えています」。

※レベニューシェア(英: Revenue share)
アライアンス(提携)手段のひとつ。 パートナーとして提携して、相互の協力で生み出した利益を分け合うこと。

 

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1981年生まれ、大阪府出身。
高校の時にはバンドでボーカルやってました。プログラマーには意外に元バンドマンが多く、会うとすぐに「元ドラマーですよね?」とか分かっちゃうんです。私は比較的、バレにくい方ですが(笑)。

 

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