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「今あるモノを花ひらかせよう」鹿児島県大隅半島に移住したダンサーJOUの芸術地域おこし活動レポート Vol.11

15.02/10

「劇場」という枠をはみ出して、「地域」の中で活動されているダンサー・JOUさんによる連載コラム!

第3回踊る地域案内所では、念願のバリアフリー炬燵が実現しました。

新年おめでとうございます!
昨年2月から、ちょうど1年間、大転機が訪れました。とはいえ、表面上は何も変わらず、今年10月末までは、昨年同様、総務省の過疎地対策プログラム「地域おこし協力隊」を鹿児島県肝付町でやっています。面白いのは、表面上は変わらずですが、内面や土台の部分が、自分でもビックリする程変わりました。東京から鹿児島へ、拠点を変えて3年目、根っこの部分で変わり続けて来た何かが、3年経ってようやく芽を出したのかもしれません。「石の上にも3年」といいますが、1年目では見えなかったことが2年目に見えて来ます。2年目に気がつかなかったことが3年目にまた見えて来ます。新しい土地で暮らし始めた場合、3年目に慣れて来た頃、これまでの無理がたたって体調を崩したりする人も多いようです。何にしても、不調や不遇は、次のステージへ移行するためのサインだと前向きに考えて、何が本当に必要なのか、一番大切なものは何か、無駄や無理をしていないか、など、これまでのやり方や在り方を再検討する良い機会だと捉えて、どのような状況も前向きに活かす気持ちを持つことが大切と思って日々、粛々と目の前の課題をこなしております。
今回は、ランダムに活動を振り返りつつ、自分への気づきやメモ書きをしたためていきます。


第3回踊る地域案内所
別府からのゲスト、古原さんと大平さんによる「あたらしいあそび かいはつくらぶ」ゲストにとっても、住民にとっても、バリアフリーの可能性を発見できた時間。

【計画という名の設計図で大切なこと】地域おこし協力隊の任期は3年。延長は認めないことが原則です。
その時に、自分なりの3年計画を作りました。
1年目:まだ地域のことがわからないままの活動なので、地域の人に出会い、学びつつ、外部への発信を基軸にする。
2年目:1年目で培ってきた地域とのつながりを活かし、外部への発信へとつながていくと同時に、さらに内部のつながりを広げ、深めていく。
3年目:外部からの呼び込みの拡大を徐々にしつつ、受け入れの土壌や人材、場所などを育てていく。

3年計画の先には、5~6年、10~12年、という中期・長期のスパンでの通過点としてのゴールをイメージしたり言語化したりすると、タイミング的には大体、合っているようです。
最終的には、「自分がいなくてもコトを起こし続けることができる人材や人材のネットワーク、ノウハウなどを落とし込んでいくこと。
それを、10年後の目標にしています。10年間は、続けてみよう。10年間は続くように、体制や仕組みを創る試みをしてみよう、ということです。


地域の神事、お正月の登山にも参加してくださった別府からのゲスト、大平さん。
昨年11月に結成された車椅子ダンスチーム「い~すかぁ」のパフォーマンス風景

【自分がいなくても大丈夫な環境を作ること】これは別に、地域おこし協力隊の仕事に限らず、どの仕事でも共通して言えることだと思います。「自分がいなくても」という点が重要です。カリスマリーダーだから、なんとか成り立っている、では、世代を超えて浸透していかない、分野として広がっていかない、ということです。
ところが、ビジネスの世界では、そうやって会社が大きくなっていきますが、アート系では、なかなかそうはいきません。市場に出すコンテンツそのものが「個人技」が基本であるという特色もありますが、売る人やマネージメントする人にも同じことが言えるためです。ビジネスとして成り立たないものを売っているわけなので、売る人そのものもまた、開拓していく、創造していく、という面において、アート的な活動なのだ、とも言えます。
団体や組織を考えた時には、カリスマな誰かが君臨して成り立つ現場、そうしたトップがいなくても現場の人間が個々に工夫し、楽しみ、協力し合いながらコトを起こせるコラボレーション型の現場、その混合、という分類分けができます。自分がいる環境や団体は、どちらの方向を目指しているのか?によっても、現場の人間に求められる能力や意識、設計図が異なって来るでしょう。
どのような違いがあったとしても、一般的に、自分がいる環境をより社会的に成長させようと思ったら、「自分がいなくても大丈夫な環境を作ること」です。部下や同僚に任せて自分の仕事がなくなったら、またその先にやるべきことが自然と現れて来ます。


JOUの健康ストレッチ教室には、車椅子メンバーも参加。

【イメージというナビゲーター】目指す方向をどこに定めるのか、その先に何を創造していくのか。設計図を描く時に大事なことは、その先の先に生まれるであろう見えない何か、をできるだけ言語化し、感覚的に明確にして共有していくこと、だと思っています。
具現化に置ける最強のナビゲーターは、身体感覚を伴う強いイメージ。イメージを創造する力、感覚として実感できる力をどれ位もっているでしょうか?イメージを創造し、具現化する力は、ダンスであり演劇であり、パフォーマンスでもあると言えます。舞台の上の人間も裏で支える人間も、人間にしかできないそうした創造の力を駆使して仕事をしている希有な人種です。日常の小さなことから大きなことまで、その力は有効です。よく見ていると、成功している人や自分のやりたいことができている人は大抵、人を責める言葉や後ろ向きの気持ちを言葉にすることはないようです。自分の頭の中にあるビジョンを現実化したかったら、自分から発信する全ての言葉や感情、自分が世界を捉える感覚をポジティブに磨いていくと良いかもしれません。

計画という名の設計数珠栗で大切なことは、言葉の選び方、創造を実感覚として置き換えられる力や感性、なのではないか、と思います。


東京からのゲスト、マトロン製作所の提案による、再生古民家での上映会では、ゲストハウスの新しい可能性を開いて頂いた。
マトロン製作所のドキュメント映像を興味深々で見いる地元の皆さん。

【未知の世界を体験した時に、自分の世界に置き換えてみます】鹿児島の人達、温かくて頭が良くて人情味があって豪傑で、、、大変面白く魅力的な人ばかりです。ところが、どの地域に行っても一様に「地元の人間が動かない」「自分のやり方が一番で、人と協力することができない」「文句ばかり言う」など、悲観的否定的な言葉が出て来ます。言霊の力を信じるなら、それが例えどれだけ正当性があり、真実であったとしても、嘆いたり不満を言ったりするこては御法度だとわかるでしょう。笑う力、想像し現実化する仮定と過程を楽しむ力。「まず、否定」「つい、文句」「結局、嘆き」の3段下降の道を辿るのでは、叶う夢も叶いません。「まず、聞くこと、観察すること」「まず、肯定。受け入れること」「そこから何ができるか、考え、まずはやってみること」「楽しみながらやり続けること」の4段跳びでいけると、知らぬ間に、かなりの高い水準まで到達することができます。過疎地の人達に限らず、都市部でもそうですが、その根底にある一番大切なものは「前向きで温かい言霊」と一緒に暮らすこと。そういう癖を付けていくこと。言霊の力は大きいということを、いつも思い出し続けること。他人への批判や非難など、ネガティブなエネルギーを持つ言葉を発していると、それは、自分に、あるいは自分の地域に返って来るという自然の法則があります。宗教を越えて、都市部や地方などの地域性も越えて、全ての世界に共通する法則です。地方の持つ魅力「温かさ」「おせっかいな世話焼き」は必ずやっただけ戻って来る。同時に「何もない」と卑下したり「誰々のやり方は良くない」と批判しただけで何の解決策を提案するわけでもなく、ましてやそれを実行するわけでもなく、ということをしていると、それもそのまま、自分に返って来る。「あの人、頑張ってるけど、ココが足りないな」と気がついたら、「ココがなってない!」と指摘するだけでなく、それを補うための何かを考えてまず、「自分がする」ということを1人1人が積み重ねていけば、きっと地域は良くなると思うのです。
社会の中ではまだまだ少数派な芸術分野においても、同様のことがいえるのかもしれない、、、。地域おこしをしながら体験する様々な現象をそのまま、芸術界に置き換えて考えても、共通事項は沢山あるようで、オモシロイです。


地域の行事に関わり、知り、地域を活かすには、どれだけの人を楽しく巻き込むことができるか?

【ゲストと住民の出会いから生まれる奇跡】3年目を迎えた「踊る地域案内所」、今年は、時間をずらして3組のゲストを迎えました。1組目は、オランダのドキュメンタリー映像作家のバスさん。2組目は、大分県別府市の別府アートプロジェクトから独立したばかりの古原さんと画家の大平さん。3組目は、東京のドキュメンタリー映像作家のマトロン製作所。古い友人、新しい出会い、いろいろでしたが、迎えた地域が、ゲストの皆さんによって少しずつ開かれ、どんどん面白くなっていったのが顕著に現れた3年目でした。
夏、冬、春、秋、となんだかんだ、国内海外含めていろいろな人種のゲストを迎え、様々な繋ぎ方で地元の皆さんとつなげていったので、少しずつ「受け入れ慣れて来た」ということもあるかもしれません。「石の上にも3年」とはよく言ったものです。やりながら、自分自身も、地域の皆さんも、ゲストの皆さんも、それぞれが何か新しい発見をして、変化していくのでした。それは奇跡と言っても良い位、キラキラと輝いて見えます。現場の周囲の輝きと自分自身のワクワク感が、それまでの苦労を吹き飛ばしてくれます。予想を上回る結果を出すには、予想ないでは収まらない未知数が必要になって来ます。毎回、未知数を抱えて、ギリギリセーフの冒険があり、のどかな田舎にも関わらず、やっていることはジェットコースターのようで、笑ってしまいます。完璧主義者には、しんどい現場です。ざっくり丼型で尚かつ、締めるところはおさえないと、、、という、マニュアルや言葉では伝え切れない動物的な直感や自身の思考力、判断力、対応力が試される日々です。その結果は、素敵なミラクル。プロのこだわりと力量と人間性とに助けられ、また、地元の皆さんの好奇心や向上心、人間力にも助けられ、結局最後は「人間力」なのかもしれません。


一緒に考えて実行できる仲間がいることが、活動の支えになっている

【怒ったら、負け】どんな時にも、怒りの感情は、良い結果を残しません。相手の言葉や言動が原因であっても、怒りの感情には、自分自身の問題が隠されているからです。自分自身の問題を他人にぶつけて、良い結果が出るわけがない、ということを忘れないようにしたいです。自分の問題を気づかせるサインだ、と思えば、怒りは実に有効です。「あ、なんだかイラッと来てる」と思ったら、「何故なんだろう?」を深く何度も自分に聞いてみることをおススメします。そうした意識が持てるようになるまでに、本当に沢山の失敗をして来ました。例え、どんな正当な理由があったとしても「怒ったら、負け」、ということを年々実感しています。


【笑う門には福来る】「おむすびころりん、すってんてん」のお話をご存知ですか?おむすびを落としてしまったおじいさん、歌が聞こえて来て、大喜びの大はしゃぎ。普通に食べれるおむすびも「オモシロイから」という理由でわざと転がして、姉妹には自分も歌って踊って「ああ〜楽しかった!」というこの脳天気さ。それだけ楽しみを満喫して「おむすびをなくして損した」ではなく「超・面白かった!得した!」と大満足していたら、さらに素晴らしい「打ち出の小槌」を与えられる、という素敵なお話です。これって、実は、自然の法則なのかも。自分の状況を楽しみ尽くす、やり尽くす。「今」に大満足する。その技は、心持ちひとつ、意識ひとつ、次第。やり尽くした時には、きっと、次への招待状が届くはずです。


【これから】連載も、残り1回になりました。
2月からお休みさせて頂いて、今回の情報が、皆さんのお役に立つかどうか、わかりませんが、自分自身への語りかけとして、確認の意味でも書かせて頂きました。

初めてのバレエでは、車椅子メンバーも参加。3年目にして、ようやく山の地域の皆さんが揃って応援してくださった。
ポーターの女子大生を迎えて、一気に若返る村の皆さん。

 

最後は、川上地区の皆さんと、校歌斉唱で終わった第3回おおすみ踊る地域案内所


踊る地域案内所
facebook : おおすみ踊る地域案内所 dancing arts & area infomation center in Osumi Kagoshima Japan
http://on.fb.me/15BG9hr

空き家活用ゲストハウス
facebook : きやんせ肝付町(Kiyanse Kimotsuki-town)
http://on.fb.me/15BGa4W

おおすみ-かごしま芸術祭2014
facebook : おおすみ-かごしま芸術祭実行委員会
http://on.fb.me/15K2Y38

大隅文化生活
http://osumiart.exblog.jp/


■JOU(じょう)■
23才で踊り始める。ダンスで人やモノや場をつなぐ作品作りをする。2008年ソウル国際振付祭にて外国人振付家特別賞を受賞。2013年、肝付町踊る地域おこし協力隊として鹿児島県に移住し、劇場舞台の枠を越え、地域おこしとつながったダンス活動を創作中。おおすみ夏の芸術祭(OAF)2012発起人。おおすみ踊る地域案内所所長。

JOU日記: http://odorujou.net
大隅文化生活http://osumiart.exblog.jp/


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