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新長田で考える、ダンスをめぐる現場から(身体ごと投げだすかのように)/横堀ふみ vol.6

13.12/11

神戸の新長田に拠点(小劇場ArtTheater dB神戸とstudio dB KOBE)を構え、おもにコンテンポラリーダンスのプログラムを企画制作する「NPO法人DANCE BOX」の
横堀ふみさんの連載コラム!「みんなのフェスティバル」は11月24日に全プログラムを終了しました。ご来場/参加くださいました皆様方、どうもありがとうございました。あまりにも怒濤の一ヶ月間、振り返るのも至難の技です。

ひと月お休みしてしまいました。申し訳ありません。

「みんなのフェスティバル」は11月24日に全プログラムを終了しました。ご来場/参加くださいました皆様方、どうもありがとうございました。あまりにも怒濤の一ヶ月間、振り返るのも至難の技です。

まず始めに思い出すのは、「男性のための【真夜中倶楽部】※メタボ体操付き」でしょうか。サブタイトルは〜秘密の勉強会〜。講師やゲストは新長田のおっちゃん達です。第1回目は、阪神淡路大震災の際に先頭をきって地域の復興に尽力をつくされた中谷頌正さん(真陽地区防災福祉コミュニティー本部長)に、この街における防災についてお話を聞かせて頂きました。

新長田のほかの地区の方々、DANCE BOX(以降、dBと記載)の劇場が入っているビルの1階にある接骨院のお兄さん、近隣の小学校のPTA会長、長田区の方など、多くの方にお集りいただきました。始めの30分は静かにお話を聞いていましたが、皆さんじょじょにソワソワし始め、中谷さんの「そろそろいいんでない?」の一声をきっかけに、ビールで乾杯!お酒がほどよく回りはじめると、裏話もぽんぽんと飛び出し、かなりいいテンションに。そして、企画タイトルにもあるよう<メタボ体操>を劇場にて。約20名の男性の方々が劇場で体操している姿は壮観でした。ただ、このエクササイズで「お酒よけいに回ったで!」と、やはり!のダメ出しを頂きました。

第2回目は、dBが発行しているミニ冊子「長田ルンバ」の編集員にも入って頂いている釣り名人の山本豊久さん(真陽ふれあいのまちづくり協議会 会長)が、dB代表の大谷に「アートって何ですか〜?」と聞く会を実施。さらに参加の方々も増えて劇場ロビーは溢れんばかりに。大谷が用意したダンスの代表的な映像(ピナ・バウシュやフォーサイス、トリッシャ・ブラウン、大野一雄等)を紹介していきました。前回の講師である中谷さんは「トリッシャ・ブラウンの映像をみて、黒沢美香さんとよく繋がった。(中谷さんには黒沢美香さんのdBでの公演を見に来ていただいたことがあります。)この映像をみても別にもう驚かないよ。」と非常に鋭いご指摘。そしてお約束のメタボ体操。今回はお酒を飲む前に行いました。そして、飲み会へ。なにかが始まりそう、いや始まっています。この勉強会は続けていきたい。そしてその後に続くことは・・・、、私たちにはその企みが密かにあるのですが、もう少し継続させる中で進めていきたいと思います。

次に印象深いことは、新長田在住の小学生が映画をつくる「ぼくらで映画をつくろうよ!」。ナビゲーターに、今年より神戸に拠点を移した映画監督の濱口竜介さん率いる濱口組のメンバー(野原位さん、高橋知由さん)。出演者は新長田在住の大人達です。非常に激しいダンスを踊りきったあとに、「もう一回撮り直し!」という子ども達からの過酷なオファーも。濱口さんたちも子どもたちと映画づくりを行うことは始めてで、試行錯誤の連続であったかと思いますが、非常にシュールで大人の発想ではあり得ない!?大胆な映画が二本誕生しました。

そして、濱口組で制作されたメイキング映画もまたよいものでした。子ども達にとっても、また出演者の方々、濱口組、私たちにとっても特別な時間であったことが鮮やかに見えて来ました。ダンスなら瞬間、瞬間、でその姿は消えてしまうものですが、映画のように一つの形として残り、それが再生が可能となるということも(当然のことのようですが)私たちにとっては新鮮なことでした。

このフェスティバルを通してできた数多くの新たな出会い。今後、一緒になにか作っていけるような予感があります。劇場<ArtTheater dB神戸>は、決してDANCE BOXのものではなく、誰かのものでもないけど、誰かのものでもある。私たちがこの場所で何かを立ち上げることが大事なことではなく、この場所が一つの船のようなものとなって、様々な人によって立ち上がってきたことに(もしくは予想を越えて立ち上がってしまったことに)育まれながら、勝手に航海に出て行くことになればと思っています。遠く遠くに。

さて、このコラムも後半戦に入りました。次回の内容はまだ決めておりませんが、今までとは趣向を変えてみたいと考えています。どうぞお楽しみに!



写真:倉科直弘

■横堀 ふみ(よこぼり・ふみ)■
NPO法人 DANCE BOX プログラム・ディレクター/制作
平成18年度文化庁新進芸術家国内研修制度研修員。平成20年度ACC(Asia Cultural Council)のグラントを得て、約6ヶ月間にわたり、アジア6カ国とNYにおいて舞台芸術の実態調査を実施。おもにアジア間におけるネットワークの構築を目指し、レジデンス・スペースや劇場、フェスティバルのディレクターらとの交流促進を行っている。


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