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限られた世界のようでいて、実はさまざまな職種・活動が存在する舞台業界。そこに関わる多様な人々にスポットをあて、お話を伺うインタビューシリーズ『TALK』。語られる言葉(意思)を通じて、読者の方々にご自身の活動への新しい発見やヒントを感じていただきたい、そんな思いで取り組みます。

「国際交流基金の仕事って、ご存知ですか?」取材冒頭、逆に笑顔で質問されてしまった。アジア・大洋州(オセアニア)地域の国際文化交流事業で、おもに舞台芸術や文化協力事業を中心に担当する。昨年はASEAN各国との『Drums&Voices』Concert Tourなどを担当し、自ら現地に赴きスタッフ調整や創作合宿に参加するなど幅広い業務を行う一方で、国内で関連事業の記者会見や活動報告会に登壇するなど、積極的に表に出ることを意識してきた。
「基金の担当者の顔が浮かばない、公募以外の活動がわからない、といった声をよく聞くんです」と玄田さん。「海外で事業を展開するためには、国内におけるネットワーク作りが必要不可欠。もっと皆さんとの距離を縮めていけるように頑張りたい」。
京都で過ごした大学時代は、風景学の分野で古都の街並みについて研究していた。「その頃から、“文化に携わる”という意識が強くなったのかもしれません」。大学院卒業後は建築関係の企業に就職し、ミュージアムなどの企画運営に関わったが「世界のフィールドで文化に関わることがしたい」と基金へ。そこで初めて「舞台芸術」との出会いが訪れる。
「現状の社会を如実に現す、人間味のあるジャンルだな」と感じたという玄田さんは、舞台芸術について「表現したい時代性や社会性が、海外の人と繋がることで想像もしていなかった新しい可能性が生まれる分野」と、基金が関わる可能性もそこに感じている。
普段から心がけていることは?と尋ねると、「コンスタントに公演に足を運ぶこと」と答えてくれた。「今の文脈を把握することで、どういう流れで現状に至ったのかも理解できるようになる。今ある課題やニーズを汲み取って次への架け橋を作っていくことも、基金の大切な役割だと思っています」。
(編集部:永滝陽子)

1982年生まれ、兵庫県出身。2012年より現職。「『Drums&Voices』は、日本も含め計7カ国の伝統音楽や奏者を調査して公演団を結成しました。こうした事業を通じて、国や地域を超えた新しい流れや可能性が生まれることも大事な意義の一つと思っています」
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