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フェスティバル/トーキョー14、ラインナップおよび新組織体制を発表

14.07/17

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11月1日から30日の1ヶ月間、東京・池袋を中心に開催される国際的な舞台芸術フェスティバル「フェスティバル/トーキョー14」の記者発表が16日、にしすがも創造舎(東京都東京都豊島)にて行われ、ラインナップが発表された。同時に新たな組織体勢も発表、これまでのようにひとりのディレクターを中心に進める「ディレクター制」ではなく、メンバー7名で構成される「ディレクターズコミッティ」を採用、昨年まで実行委員長を務めていた市村作知雄氏が「ディレクターズコミッティ代表」に就任した。2009年よりスタートし、今回で7回目を迎える「フェスティバル/トーキョー」は、新たなスタートを切る。

【キャッチコピーは「境界線上で、あそぶ」】
主催プログラム14演目・4企画、連携プログラム11演目からなる「フェスティバル/トーキョー14」、そのキャッチコピーは「境界線上で、あそぶ」。市村氏は「“境界線”にはいろいろな意味がある。演劇、ダンス、美術、音楽など、ジャンルの境界はそう簡単には取り払えないが、取り払うつもりで、その“境界線”を見ようと思っている」と、思いを語った。

また、これまで「若手」「アジア」のふたつの要素を重視してきた「公募プログラム」は今年度より廃止、若手アーティストは主催プログラムで抜擢することで紹介し、「アジア」に関しては新プロジェクト「アジアシリーズ」をスタートする。

「アジアシリーズ」とは、毎年1カ国を選定し対象国に現地調査やアーティストとの対話を重ねて企画を立ち上げるというもので、第一回となる今回は韓国を特集、多分野にまたがる芸術=多元(ダウォン)芸術アーティスト3組の作品を紹介する。来年度はミャンマーを特集する予定だという。

なお、フェスティバル全体の予算規模は昨年同様、3億5千万円程となっている。

【シンポジウムなどのプログラムも多数】
公演だけでなく、舞台芸術に携わる制作者にとっても、これからの活動に活かせる有意義なプログラムも多数用意されている。

「韓国多元芸術、その現状と可能性」「日本におけるドラマトゥルクの10年」など4つのテーマで語り合うシンポジウム『アートにおける多様性をめぐって』や、これからの日本社会に必要なアートマネジメント・人材育成について考察する3夜連続トーク『アートマネジメントについて考える』などを開催。また東京芸術劇場アトリエイーストには、より深くフェスティバル/トーキョーのプログラムを理解するためのスペース「まなびのアトリエ」が登場、作品に関する基礎知識講座なども予定している。

【7名のメンバーによる「ディレクターズコミッティ」制を採用】
組織体勢も大きく変わった。従来のようなディレクターの意志がプログラムに強く反映される「ディレクター制」を廃止し、市村氏を代表とした複数制の「ディレクターズコミッティ」制を採用した。メンバーは市村氏ほか、小島寛大氏(副代表)、植松侑子氏ら事務局スタッフ7名で構成されている。

市村氏は「『ディレクター制』は私が推進したものだが、数年やってみて、ひとりの人間の考えで方向性を決めてしまうディレクター制は日本社会では向かないのでは、と感じていた。そこで今年度は、複数の人間が相談のもと、それぞれの意見を出し合って決定する『ディレクターズコミッティ』を採ることとした」と経緯を説明。「人数が多くて会議ができるのかという疑問点もあったが、『できる』ということがわかってきたので、この方法を継承していきたい」と、新制度に対し可能性を感じているようだ。

市村氏が同制度を取り入れたもうひとつの意図として「世代交代」もあった。「私がフェスティバル・ディレクター制を設けた時、主導する人間を若返らせ、世代交代をしたいという考えがあったが、私がディレクターに就任することはその流れと逆行してしまう。今年は就任することにしたが、『若返らせる』ことは変えたくなかった。そこで、残りのメンバーがほとんど30代という複数制の『ディレクターズコミッティ』とした。若手を中心としたプログラムの見方は変えるべきではないと思った」と述べた。

また、同フェスティバル実行委員会の委員長には、今年度はアサヒグループホールディングス株式会社相談役の荻田伍氏が就任した。

なお、昨年度まで主催に名を連ねていた「東京都」が主催から外れることとなった。今年度は公益財団法人東京都歴史文化財団が設置する「アーツカウンシル東京」から助成を受けての開催となり「東京都が助成をしながら主催でもある」という矛盾を避けるため、そのような判断に至ったという。「フェスティバルの自由度を尊重しようとする東京都の厚意として理解している」と市村氏。来年度以降については、どのようなかたちが良いのか、改めて考察するとのこと。

会場からは「この時点で立ち止まりこれからのあり方を考えることは当然だと思うが、今まで積み上げてきた痕跡があまり残っていないように感じる。悪いところもあったと思うが、評価されるべき点もあったのでは」との声もあがった。それに対し市村氏は「今までの『上』に作るつもりはまったくない。我々独自で作るというのが基本方針。『ディレクターズコミッティ』による、まったく違うものになる」と、これまでのフェスティバルとは異なる新たな舞台芸術シーンの創造に向け、意気込みを見せた。

◎関連サイト◎
フェスティバル/トーキョー14


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