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「時間堂スタジオ・オープニングイベント」スペシャルトーク

14.06/23

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東京を拠点に活動する劇団「時間堂」が、手作業でリノベーションした劇団所有の地下スタジオ「toiroan 十色庵」をオープンした。そのオープニングイベントが去る6月13日から16日の3日間にて開催され、最終日に行われたスペシャルトークでは、時間堂主宰の黒澤世莉さん、同プロデューサーの大森晴香さん、そしてSPAC–静岡県舞台芸術センターの佐伯風土さんが登壇し、時間堂がなぜスタジオを持つことにしたのか、そしてどのような状況を目指しているのかなどが語られた。(編集部:芳山徹)


「アーティストの『拠点』と『経営』~東京の小劇団が専用スタジオを持つまでとこれから~」
□ 日時:2014年6月16日(月) 19:00~21:00
□ 会場:時間堂スタジオ赤羽(仮称)東京都北区神谷2-48-16 カミヤホワイトハウスB1
※オープニングイベント初日に、スタジオの正式名称が「toiroan 十色庵」(といろあん)と発表された。
 
-何故スタジオ?リノベーションはどうやって?
進行役の佐伯さんは、現職の前に時間堂で演出助手を務めていた経緯から、現在でも劇団の「味方」にクレジットされている。そんな佐伯さんから「スタジオを所有する」というそもそもの動機は何か、という素朴な疑問が投げられ、会はスタートした。

黒澤さんは「20歳くらいの時から『スタジオ欲しい!』と言っていた」そう。しかし、なぜそう思ったのかは「もう覚えてない」と語る。

「一つ言えるのは『24時間使える自分たちの場所を持ちたい』ということ。そして同じように拠点が欲しいと考える若い人たちは、演劇人に限らず、アートの分野の人もそうだし、更にもっと大きなくくりで捉えれば、結構な数の人が居るのではと。そんな人たちと、今回の経験から蓄積したノウハウを共有できればと思っています。」

スタジオリノベーションの記録を綴ったWEBサイト(note)を公開するなど、積極的にプロセスを開示し、多くの人と情報を共有すること。時間堂が「スタジオを所有する」ことの背景にあるその意思が提示された。

このほか、
● リノベーション予算は約100万円程。進めて行く中で、石膏ボードや木材などの廃棄コストが高額であることが判明し、それを手作業/内製化することで大体予算内に収めることが出来た。
● この物件(もとは演歌カラオケ・スナック)に決めたのは、「居抜き(現状引き渡し)」の故に安価であったことと、契約終了後の原状回復も義務もなく、好きにリノベーション出来ることが大きかった。
● 赤羽ありきでの物件探しではなく、立地条件/コスト面/契約条件/防音面/設備(水回り)など、諸々の条件を勘案し、この物件に決定した。
● スタジオ(地下)の上は配食センターで、その上は一般住居(マンション)。すでにこのオープニングイベント中に、マンションの住民の方が来場してくれたりしている。
など、非常に具体的な事例が紹介された。

-「演劇が職業です」と言えるように。
トーク後半には、スタジオ所有や法人化にまつわる、劇団の今後の目標が語られた。プロデュサーである大森さんは、「私たちはプロの演劇屋です/演劇が職業です、と言えるようになりたい」と語る。

「スタジオを所有することにより、小さな空間でやっている人たちでも、演劇を仕事として捉えることが出来る状況をつくりたいと思います。何よりも、一番時間をかけて、一番頑張っている俳優が後回しになって、正当な対価としての報酬を満足に得られることが出来ない状態を何とかしたい。」

「劇団の法人化は、サークルではない“プロの集団”としての組織づくりの一環。そしてその一番のメリットは『外からの目がかわること』、そして何より『メンバーの意識が変わる』ことではないか、とも考えています。」

リノベーションWEBサイト内のコラムでも、【芸術団体が芸術で経済的な自立を実現する】というテーマに対して、「目に見えて成果を上げるということで初めて、認めてもらえるんだろうと思います。」と大森さんは綴る。

「発信し続けて成果を出した暁には、私個人だけじゃなく演劇を本気で仕事にしようってひとみんなのことを、それも『あり』な生き方なんだと、ひとつのれっきとした職業なんだと、演劇は仕事なんだと、わかってもらえるようになるんじゃないでしょうか。」
【閑話休題・Pの独り言】より引用)

-少しでもポジティブな状況をつくりたい
最後に、登壇者それぞれのコメントをもってトークイベントは終了した。

佐伯さん:正直なところ、最初に聞いた時は(スタジオ所有というリスクを背負うことに)反対だったのだけど、「不確かな未来を待つのではなく、勇気をもって踏み出す」ことの大事さを、今は強く感じて応援しています。

大森さん:今日お話ししたことは、全部が劇団で共有出来ている内容という訳でもなくって、もしかしたら初めてしゃべるような事もあったかもしれないです。色んなことが今でも議論の真っ最中だったりもするのだけれど、「演劇を職業にするため」にはそれも必要なプロセスだと考えています。

黒澤さん:自分たちが活動している分野が職業にならないという、ある意味では「演劇界の負の遺産」とも言える状態を、下の世代には渡したくないと考えています。演劇をやっていることが社会で認められる、少しでもポジティブな状況を此処でつくりたいと思っています。

◎関連サイト◎
時間堂スタジオリノベーション「note」|2014年、東京の劇団がスタジオを持つまで


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