制作ニュース

矢作勝義の「劇場オープンまでの長い道のり from 豊橋」Vol.13

13.05/10

愛知県豊橋に新設された『穂の国とよはし芸術劇場PLAT』オープンまでの長い道のりを、事業制作チーフの矢作勝義さんが綴る「劇場オープンまでの長い道のり from 豊橋」。第13回の今回はいよいよ最終回!昨年の4月から開始したこの連載も、とうとう最後となりました。漸くというか、予定通りというか、2013年4月30日(火)に穂の国とよはし芸術劇場PLATが開館いたしました。
開館記念式典には、地元豊橋を初め、各地から大勢のお客様にお越しいただきました。また、5000通ほどの応募があった中から当選した300人程の豊橋市民の方にもご参加いただきました。

式典は、豊橋市長など挨拶から始まりました。続いての記念公演第一部は、万作の会による狂言で、世田谷パブリックシアターの芸術監督でもある野村萬斎氏の三番叟、万作先生の棒縛。第二部は、劇場に設置された特徴的な二台のグランドピアノを使った小曽根真さんのピアノ弾き初めでした。
ご来場いただいた皆様には大変喜んでいただけたかと思います。
翌日には地元エリアの新聞各紙にも取り上げられました。

 
そのせいもあってか、5月1日(水)のグランドオープンは、来館者や電話の対応で、お昼過ぎまでスタッフが息をつく暇もない状況でした。翌2日は多少落ち着いたものの、日中は落ち着く暇もなくバタバタとしていました。

そして、5月3日(金・祝)は高座開き「立川志の輔独演会」。劇場としてチケット発売を行った初めての公演が行われました。ある程度の混乱などは予想はしていたものの、結果としては非常に多くの課題が残ることになりました。

5月4日(土)は、少し小さな企画で、ピアノ弾き比べ会を実施しました。スタインウェイとグロトリアンのフルコンサートピアノ2台を創造活動室に設置し、好きなだけそれぞれのピアノを弾き比べ、音色やタッチなどそれぞれの違いを楽しんでいただきました。子供から大人まで、初心者からピアノの先生の様な方まで、幅広い方にご参加いただきました。

そして、5月5日(日)は、コンドルズ「グランドスラム」穂の国とよはし芸術劇場オープン記念スペシャル公演。これまで財団が実施してきた公演ではお越しいただいたことがない新しいお客様に大勢お越しいただき、コンドルズのパフォーマンスを堪能していただけたかと思います。この公演では、前回公演で明らかになった課題をクリアすべく、スタッフも全力で対応し、やっと形になったと思います。上演中の客席の反応も良く、終演後のロビーで行われたグッズ販売は出演者が行い、グッズの購入と共に、出演者との写真撮影、握手、サインをもらうなどで賑わい、お客様の笑顔がとても印象的でした。

そして5月6日は、劇場ツアーを実施。当初はどの程度の参加希望者がいるのか分からず、定員20人2回を設定していましたが、あっという間に定員いっぱいになったので、急遽30人3回に増やしましたが、結果としては数日で定員いっぱいになりました。
これで、このゴールデンウィーク中の一連の企画は終了です。
この一年間、劇場のオープンに向けて準備していきた様々なことが、ようやく現実となりました。

最後に、実際に開館した劇場の姿をいくつかご紹介します。
5月5日終演後の主ホールのホワイエです。オープンスペースになっているのでブラインドカーテンで区切りを作ることができるようになっています。

正面エントランスの5月5日の夜景

メインエントランスに繋がるポスターケース

交流スクエアから見る、創造活動室C&D

同じく交流スクエアから見る創造活動室B。開館記念式典で生けていただいた花がここは残しています。

2階からの交流スクエア。別なところにあった椅子とテーブルを設置し、カフェの飲み物を楽しむスペースや打合せスペースを増やしました。

「ヘンリー四世」にちなみ、彩の国さいたま芸術劇場からお借りしたポスター展を実施中のアートガレリア2。

夜間にライトアップされた、アートガレリア1のレンガ壁。

公演が終わってもまだまだ仕事をしているスタッフ。

そして22時を過ぎてもまだ働いているスタッフ。


初めて劇場で働くことになったスタッフにとっては、毎日、怒濤のように時間が過ぎ去る状況だと思います。しかし、あくまでもこれはスタートライン立っただけであり、これからが本当の勝負の始まりです。自分自身も含め、スタッフには目の前の業務に追われながらも、10年先の穂の国とよはし芸術劇場の未来を見据え、今何をすべきかを考え、行動してもらいたいと思っています。そのためにも、早く安定的な業務状態にできるようにすることが目の前の課題です。

13回の連載におつきあいいただき誠にありがとうございます。これから、穂の国とよはし芸術劇場がどの様な劇場になるのかを見守っていただくとともに、是非一度は劇場にご来場いただきたいと思います。
それでは、皆様のご来場を劇場にてお待ちしております。


■矢作 勝義(やはぎ・まさよし)■
1965年生まれ。東京都出身。公益財団法人豊橋文化振興財団『穂の国とよはし芸術劇場PLAT』事業制作チーフ。東京都立大学(現・首都大学東京)演劇部「劇団時計」から演劇に本格的に関わる。卒業後は、レコーディング・エンジニアを目指しレコーディングスタジオで働き始めるが、演劇部時代の仲間と劇団を旗揚げするため退職。劇団では主宰、演出、音響、制作、俳優を担当。ある忘年会で、当時世田谷パブリックシアター制作課長だった高萩宏氏(現東京芸術劇場副館長)に声を掛けられ、開館2年目にあたる1998年4月から広報担当として勤務。その後、貸館・提携公演などのカンパニー受入れや劇場・施設スケジュール管理を担当するとともに、いくつかの主催事業の制作を担当した。主な担当事業は、『シアタートラム・ネクストジェネレーション』、『リア王の悲劇』、『日本語を読む』、『往転-オウテン』など。また、技術部技術運営課に在籍したり、教育開発課の課長補佐を務めるなど、世田谷時代は劇場の何でも屋的な存在としても知られた。2012年3月末をもって世田谷を退職し、2013年5月オープン予定の“穂の国とよはし芸術劇場PLAT”の開館準備事務所にて事業制作チーフとして勤務中。


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