『利賀演劇人コンクール2013』（主催：公益財団法人舞台芸術財団演劇人会議）の審査結果が1日に発表された。最優秀演出家賞は昨年同様、該当者なし。優秀演出家賞は島貴之氏が選ばれた。

同コンクールは2000年から開催されている「演出力」を対象としたコンペティション。今回は、審査会ではほぼ全員が島氏を一位に推し、議論は「最優秀」とするかどうかに絞られたという。「リフトシアターという屋外の劇場を生かした空間構成のすばらしさ、一つ一つの台詞に対するていねいな取り組みなどが高く評価されましたが、一方で演出細部における粘り強い選択に欠ける点があったかとも思います。」と、同公益財団理事長、平田オリザ氏のコメントが特設サイトに掲載されている。

平田氏はさらに「全体の上演レベルは、毎年向上してきていると感じますが、一方で、東京である程度実績のある劇団、演出家が、利賀の空間に敗れ去るようにして上演が破綻していく光景も毎年見られます。私たちは、利賀という手強い劇場空間と、既成戯曲の上演という二つの負荷によって、演出家本来の実力が、より増幅してみられると考えています。」とも述べている。

尚、同コンクールは昨年から「地域を越え、国際的に活躍できる演出家の発掘と養成」をコンセプトに、受賞者を継続的に支援するプログラムへとリニューアルされており、昨年の優秀賞演出家賞を受賞した寂光根隅的父演出の『しあわせな日々』は、今年9月に鳥取の「鳥の演劇祭」のプログラムとして上演されることが決まっているという。

受賞者一覧は以下の通り。

◎インフォメーション◎
『利賀演劇人コンクール2013』審査結果
【最優秀演出家賞】
　該当者なし
【優秀演出家賞】（副賞70万円）
　島貴之（『紙風船』）
【奨励賞】（副賞10万円）
　堀川炎（演出／『冒した者』）
　中込遊里（演出／『桜の園』）
　村井雄チーム（『マクベス』）のスタッフワーク
　※順不同
【観客賞】
　1位：堀川炎『冒した者』
（2位：中込遊里『桜の園』　3位：島貴之『紙風船』、岸本佳子『冒した者』※同票）

◎関連サイト◎
利賀演劇人コンクール2013特設サイト