制作ニュース

矢作勝義の「劇場オープンまでの長い道のり from 豊橋」Vol.11

13.03/09

開館まであと2ヶ月を切りました!今回は、内装、外装の最終仕上げの様子をたくさんの写真と共にご紹介。また、3月に入り公演チケットの発売も始まり、チケットシステムも稼働!さて、連載も11回目を迎え、3月の桃の節句も通過し、開館まで2ヶ月を切り、ラスト10㎞でスパートダッシュをかけたマラソン選手のような状況になってまいりましたが、皆様はいかがお過ごしでしょうか。
2月1日から劇場内に開設準備事務所を移し業務を行いながらも、まだ内装工事などが各所で行われているという状況でしたが、今や細かい手直しなどを残すばかりで、工事関係者も大半の方が現場から居なくなってしまいました。少し淋しい感じもしますが、完成間近と言うことで、劇場施設の全貌が明らかになってきたということに他なりません。
先日も最終仕上げの一つとして、館内照明と屋外照明の調整が行われました。外装のオーロラと呼ばれている建物のトップ部分を照らす照明と、館内の一部にLEDライトが仕込まれており、プログラムにより色が変化するようになっています。いくつかのパターンがあり、日替わりに変化すると共に、公演が行われている日は特別なプログラムが用意されているそうです。
写真はテスト中の館内の色変化の様子です。緑と青の光のところがそれです。

そして、屋外のオーロラの写真です。

テスト中の写真ですから実際には色味を更に調整してこれと同じにはならないかもしれませんが。
この屋内写真は竣工写真を撮影した後の様子なので、備品類が片付けられていて、とてもすっきりしています。竣工写真を撮影したカメラマンの方は、施設の建設中からずっと記録写真も撮影し続けていて、建物のことを非常に熟知された方でした。いくつかの劇場竣工写真を撮影した経験のなかでも、今回は過去最大のカット数となる撮影になったそうです。

穂の国とよはし芸術劇場の主ホール、アートスペースとも束立て式の床構造のため、舞台・客席形状を変えることができます。そのため形状変更の習熟トレーニングが行われ、それにあわせて竣工写真も撮影されていました。
主ホールは、仮設本花道・脇花道形式、2間・3間オーケストラピット形式の設置を行いました。ここで道具類の不具合なども確認し、今後の最終調整点などの洗い出しも行っていました。使用頻度と建設コストの関係で、形状変更のために機械化するのではなく、人力で対応できるような構造になっているのが穂の国とよはし芸術劇場の特徴でもあります。通常形式の舞台から仮設本花道やオーケストラピット形式へ変更するのに20人〜25人程度の人員で、5〜6時間かかるという状況でした。慣れてくればもう少し短くなるのかもしれませんが、見込としては年に1〜2回程度の使用頻度なので、慣れるという程ではないのかも知れません。

写真は脇花道形式舞台と2間オーケストラピット形式のものです。

また、アートスペースも3間と4間舞台の掘込エンド形式と5間舞台つまり平土間形式と、それぞれ袖幕を仕込んだ疑似プロセニアム形式と幕無し形式と可能な舞台形式に変化させました。
写真は、3間舞台形式で袖幕類を全く無くした形式のものです。
客席後方から舞台を見た写真です。

舞台から客席を見た写真です。

これまでは単に明るくするだけの照明で見ていたのですが、場内照明も調整していましたので、レンガの壁がとても美しく映え、建物自体の魅力を最大限に発揮した良い空間でした。設計デザイン事務所の担当者も鼻高々といった風でした。
私の好みとしては、舞台は平土間形式で幕類は吊っていないのをデフォルトにして、必要ならば幕類を仕込むというのがアートスペースという空間の魅力を発揮できるのではないかと思いました。
また、主ホールの場内も客席内の照明を調整すると、さらに魅力が増していました。以前にもご紹介してきた壁面もこのような感じになります。

館内も照明が調整されると、昼間とは異なるさらに魅力的な空間になっていきました。まとめてご紹介します。

駅から繋がるエントランスから主ホールホワイエへつながるメインガレリアです。右側部分だけに寄ったもの。

交流スクエアという建物全体のロビースペースからアートスペースの外部壁面を見たものと、その上部の回廊部分です。

交流スクエアから創造活動室Bという稽古場を見たものです。正面は大きな窓ガラスで室内が見え、内部にある銀色の化粧壁が浮かび上がっています。

公演を行う際の主ホールホワイエの受付ともぎりカウンターを設置したものです。座っている二人は2月から働いているスタッフです。
写真ばかりになってしまいましたが、このようにオープンに向けて着々と体制を整え、3月半ばには来場者対応のシュミレーションを兼ねたテストコンサートを行う予定をしています。

同時に、3月に入り開館後の公演チケットの発売が始まりました。チケット販売システムには『ぴあGettii』を新規に導入しました。ぴあGettiiとしても穂の国とよはし芸術劇場が稼動第1号で、3月3日のコンドルズ「GRANDSLAM」公演の会員先行発売がチケット販売としても第1号だったそうです。私も含めチケット業務の専門家が劇場スタッフにはいない中でのチケットシステムの稼働は、試行錯誤が続いています。しかし、それでも混乱無く運用ができるということは、システム自体が優秀だということの証明でしょう。
さらには、チケット発売に向けて公演情報発信をするため、劇場のホームページが本番体制に移行しました。2月はこの二つのシステムの立ち上げを同時に行っていたため非常に大変でした。しかし、両方とも立ちあげてそれでお終いではなく、常に情報を更新し続け、止まることなく運用することが必要なのです。それが一番重要なのですが、一番大変なことになります。
3月に入り新規スタッフの最後の一人も合流しました。開館まであと2ヶ月を切りました、いよいよ最後まで息を切らすこと駆け抜けるのみです。


■矢作 勝義(やはぎ・まさよし)■
1965年生まれ。東京都出身。公益財団法人豊橋文化振興財団『穂の国とよはし芸術劇場PLAT』事業制作チーフ。東京都立大学(現・首都大学東京)演劇部「劇団時計」から演劇に本格的に関わる。卒業後は、レコーディング・エンジニアを目指しレコーディングスタジオで働き始めるが、演劇部時代の仲間と劇団を旗揚げするため退職。劇団では主宰、演出、音響、制作、俳優を担当。ある忘年会で、当時世田谷パブリックシアター制作課長だった高萩宏氏(現東京芸術劇場副館長)に声を掛けられ、開館2年目にあたる1998年4月から広報担当として勤務。その後、貸館・提携公演などのカンパニー受入れや劇場・施設スケジュール管理を担当するとともに、いくつかの主催事業の制作を担当した。主な担当事業は、『シアタートラム・ネクストジェネレーション』、『リア王の悲劇』、『日本語を読む』、『往転-オウテン』など。また、技術部技術運営課に在籍したり、教育開発課の課長補佐を務めるなど、世田谷時代は劇場の何でも屋的な存在としても知られた。2012年3月末をもって世田谷を退職し、2013年5月オープン予定の“穂の国とよはし芸術劇場PLAT”の開館準備事務所にて事業制作チーフとして勤務中。


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